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流砂
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2016/10/28 |
JAN | 9784488010652 |
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流砂
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商品レビュー
4.5
4件のお客様レビュー
2013年のクリスマス・イブの朝、首の後ろの痛みからガンと診断され困惑の底に落ちたマンケル。それを脱して約6か月たってエッセイを書き始めたようだ。そこには治療の様子、治療に対する心境、そして幼い日々から青春の日々、アフリカなどでの劇場の仕事、そして父、出て行った母、愛した女性のこ...
2013年のクリスマス・イブの朝、首の後ろの痛みからガンと診断され困惑の底に落ちたマンケル。それを脱して約6か月たってエッセイを書き始めたようだ。そこには治療の様子、治療に対する心境、そして幼い日々から青春の日々、アフリカなどでの劇場の仕事、そして父、出て行った母、愛した女性のことなどが綴られる。 「流砂」は4番目の章で、幼いころの死を書く。氷の湖に落ちた同じ村の少女、彼女が引き上げられた様を見ていた自分、それが冷たく凍っていたこと。また同時期に読んだ本の中で砂の穴~流砂に落ち飲み込まれてしまう男のことを思い出し、まさにガンにかかった自分はこの流砂に落ちていると思う心境が書かれている。 放射性廃棄物に関心があったようで、ノルウェーやスウェーデンの地下深くの核廃棄物処理場のこととその憂慮が幾度となくかかれている。 病気の中で生と死について幾度となく考える中、「生きる喜びと生きたいという欲求なしに人は存在しない」「小さな子供は海岸や庭や家の表に座り、言葉の無い歌を歌いながらいつも遊んでいる」「歌う幼子の存在しない人間社会あるいは文明はありえない」・・としながらも一時住んだアフリカでは捨て子された幼子が生きるために歌う事は無かったことも記されている。 「安堵は、生きていくうえで経験するもっとも忘れがたい感情の一つである」「思考の上では、あらゆることが可能なのだ」「私たち人間が考える能力を発達させてきたのは、もちろんいうまでもなくサバイバル、すなわち生き残ることを目指すからである」「極端に言えば、 私たちが望むのはサバイバルだけである。私たちは生きたい。死にたくない。」 中学を途中でやめ一人パリでスウェーデン出身のジャズミュジシャンを訪ね、クラリネットとサクソフォンの補修アシスタントの仕事を得て暮らす。1980年代の中ごろ、ユーゴスラビアに車で向かっていてドイツのハノーバーを過ぎると、少年たちの乗ったバスで身を乗り出した一人が高架橋にぶつかり、その首がもげなんと後続するマンケルのフロントガラスに落ちてきたことが記されている。そしてまた別な章では、直前その少年が後ろを向き笑ったことを思い出したとも記されている。 2014発表 2016.10.28初版 図書館
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ヴァランダーシリーズやと思って予約してみたら、なんと作者ヘニング・マンケルのエッセイ…ではないな、遺書でもないし… マンケルががんを宣告されてから、何を考えてきたかを、自らの年齢と同じ67章の文章にした闘病記…闘病記という括りもちょっとずれるか。「へニング・マンケルとは何者であるか」を書いた哲学思想のつづれ書きなのである。 俺だって誰だって余命は分からない。明日死ぬかもしれないし、死に至る確率は年齢とともに増えていくのは事実。死ぬのは怖いが、死なない訳にはいかない。 マンケルは、がん告知と余命宣告を受けてから、その現実をどのように受け止め、何を考えてきたのか? そんなことをきちんと書きとめてくれているのが、いずれそうなる身の我々には、非常に心強いではないか。そして彼は自分の死の事よりも、後に残る人々について想いを馳せる。 10万年間地中深くに放置される核廃棄物、彼はこのことについて何度も想いを巡らせる。我々の負の遺産をこんなにも長く後世に引き継がせていいのか?と。 死に直面しているからこそ、この問いかけは深い。優しい男ヘニング・マンケル。残念ながら治療の甲斐なくこの作品を上梓後1年でこの世を去る。冥福を祈らずにいられない。
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ヴァランダ-シリ-ズ作者のヘニング・マンケルのエッセイ。 というか、死と生に正面から向き合ったひとりの男の世界に向けて、人間みんなに向けての大いなる遺言。 もう、ヘニング・マンケル氏はこの世にはいないけれど残された本、この言葉には魂を揺さぶせられる。ありがとうと伝えたい。 人類学、地球学、歴史学すっかりひっくるめても彼ほど直接 心に訴えてくれた人はかつていなかった。もう翻訳された本はすべて読んでしまったけれど、また、この本を手にすることでしょう。 人類が滅亡したあとに残される物は無人探査機ボイジャーと放射性廃棄物の二つという章には鳥肌がたった。その他にも巻頭で紹介してくれた写真や絵画、若い頃のエピソードの数々。これは持っていなければならない本だと確信しました。
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