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日本の現場(2016) 地方紙で読む
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早稲田大学出版部 |
発売年月日 | 2016/10/01 |
JAN | 9784657160157 |
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日本の現場(2016)
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459pという分厚い本である。しかし、案外と読みやすい。デザインは、新聞発表時とほぼ同じ一行14字の4段組で通した。各シリーズの終わりに連載時のキャップが取材後記を書いている。わたしたちは新聞を隅から隅まで精読するだろうか?断じて否だ。わたしたちは記事を選んで、読む。すると、「事...
459pという分厚い本である。しかし、案外と読みやすい。デザインは、新聞発表時とほぼ同じ一行14字の4段組で通した。各シリーズの終わりに連載時のキャップが取材後記を書いている。わたしたちは新聞を隅から隅まで精読するだろうか?断じて否だ。わたしたちは記事を選んで、読む。すると、「事実」が目に飛び込んで来る。それが多い新聞がいい新聞だ。記者たちが足で書いた、いろんな人々の生の声が向こうの方から飛び込んでやって来る。そんなことをしているうちに、何時の間にか一冊の興味あるところを読み通していた。 地方紙の方が、朝日や毎日、ましてや読売や産経よりも鋭い記事が多いことは、戦争法をめぐる報道をチェックする中でも気がついていた。だから、ここには本にもなっている神奈川新聞の「時代の正体」も入っている。当然沖縄タイムスの「誤解だらけの沖縄基地」も入っている。東北ならではの「挽歌の宛先 祈りと震災」(河北新報)、「賠償の底流 東京電力福島第一原発事故」(福島民報)もある。しかしそれだけではない。新潟日報の「がんと向き合う」では、在宅医療の景色を地域の空気が感じられるまで描いているだろう。信濃毎日新聞は「群青の風 若者×社会」で、ラインでクラスの課題をまとめるやり方に一石を投じた。医療の問題、ひとり親問題、戦後70年の問題、地方の疲弊問題、テーマは全国紙でも扱えるが、アプローチは明らかに地方紙の方が読者に寄り添っていることがわかる記事が次々と目に入る。 良書である。是非とも毎年出して欲しい。 それにしても、百田尚樹の「誤解だらけの沖縄基地」発言を、ひとつひとつ反論している連載は、本土には1/10も伝わっていなかったとつくづく思う。「普天間飛行場は田んぼのなかにできた(だから県民の犠牲は少なかった)」発言にカチンと来た住民が、当時の集落の様子を再現したジオラマを作ったり、「基地の地主はみんな年収何千万」という百田発言にも丁寧に実際とは大きくかけ離れていることを書いている。「辺野古反対運動は日当制」「反対運動の資金源は中国」というとんでも意見にもきちんと取材して答えている。百田が自らの発言を訂正し、謝ったという事実はまだ聞こえてこない。反対に、ネットの世界で、こんな無責任な「意見」が、まだまだ拡散しているのが現実だ。 2016年12月26日読了
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