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昔ばなしの謎 あの世とこの世の神話学 角川ソフィア文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | KADOKAWA |
発売年月日 | 2016/09/01 |
JAN | 9784044000806 |
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昔ばなしの謎
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商品レビュー
4
3件のお客様レビュー
創作のために神話や物語を勉強しているときに出会った本。 そういうものだ、と当たり前に受け入れている昔ばなし。言われてみれば確かに不思議だな、と思う謎や疑問について納得のいくかたちで考察されており、ひじょうに面白かった。 特に一番ページ数が割かれている“桃太郎”についての考察は唸る...
創作のために神話や物語を勉強しているときに出会った本。 そういうものだ、と当たり前に受け入れている昔ばなし。言われてみれば確かに不思議だな、と思う謎や疑問について納得のいくかたちで考察されており、ひじょうに面白かった。 特に一番ページ数が割かれている“桃太郎”についての考察は唸る出来。 家来はなぜ猿、鳥、犬なのか。きびだんごとは? といった疑問に対して、なるほど! という答えが用意されている。 世界の他の神話や伝説との関わりをもっと勉強してみたくなった。
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桃太郎はなぜ桃から生まれ、犬と猿と雉を味方につけたのか。浦島太郎が玉手箱を開けて死ぬ定めにあるのはなぜか。人間を喰らおうとする山姥の正体とは。誰もが知りながら、荒唐無稽で謎めいた昔ばなしの世界。しかし多様な伝承の森に深く分け入り、古代神話や民間信仰にその足跡をたどるとき、死と再生...
桃太郎はなぜ桃から生まれ、犬と猿と雉を味方につけたのか。浦島太郎が玉手箱を開けて死ぬ定めにあるのはなぜか。人間を喰らおうとする山姥の正体とは。誰もが知りながら、荒唐無稽で謎めいた昔ばなしの世界。しかし多様な伝承の森に深く分け入り、古代神話や民間信仰にその足跡をたどるとき、死と再生、性と笑い、異界とこの世をめぐる共通の世界観が浮かび上がる。現代人が忘れてしまった豊かな意味を取り戻すための神話学。(アマゾン紹介文) 多少こじつけのように感じた個所もありました(桃太郎の犬猿雉)が、おおむね、なるほどなぁとうなずく内容でした。 また、知らない昔ばなしも多くあり、そも原典をあたってみたいと思います。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・古川のり子「昔ばなしの謎 あの世とこの世の神話学」(角川文庫)を ごく大雑把に言へば、日本神話を通して日本昔話を考へるとでもいふことにならうかと思ふ。実際、本書には記紀を初めとする日本神話の引用が多く、特にイザナミ、イザナギやアマテラスは頻出する。それだけ神話が昔話に多くの影響を与へてゐるといふことである。こんなところにもと思ふやうな場面もあるが、言はれてみればと納得できる場面も多い。私はこのやうに理詰めで昔話を読んで考へることを一切してゐないので、本書の内容は新鮮だし刺激的でもある。 ・個々の話でもさうなのだが、途中の2つの「昔ばなしの論理を読み解く」では個々の昔話を関連づけて極めて論理的に考へてゐる。この第一は5話をその分析の対象にしてゐる。花咲か爺、瓜子姫、桃太郎、鼠浄土=おむすびころりん、浦島である。この順に2話づつを対にして分析するのだが、分析は2話の共通点は何かといふところから始まる。すると、花咲かと瓜子姫は、「水界から現れた主人公が爺婆に拾われて大切に育てられ云々」(89頁)といふ共通点にもかかは らず、最後が異なるのは結局「主人公が『犬』か『人間』かという違いである。」(同前)つまり、花咲の主人公は爺ではなく犬の方だつたといふのである。そもそも、かういふ点から私は既にまちがひを犯してゐた。だから、この2話を別物と認識してしまふのである。以下も同様で、かくして「五つの昔ばなしはバラ バラに存在しているわけではないことがわかってくる。」(93頁)次の分析は異類女房譚が対象である。鶴女房、食わず女房、天人女房等の話である。これらは「異類の女が現れて人間の男と結婚するが、結局は離別する。」(169頁)といふ粗筋を共有する。この7種を分析すると、1つの表(177頁)に縮約さ れる。場所(横軸)は天界、陸界、水界、主人公の属性(横軸)は人間以上、中間、人間以下である。この9つの中に対立の構図、関係が示される。関係なささうな、しかし関係あるやうにも見える多くの異類女房譚が、この図にうまく収まつてしまふのである。いくつかの昔話を思ひ浮かべてみると、その内容は確かにこの通りに整理されるのに驚く。ここでも同種の話が「バラバラに存在しているわけではない」と知れるである。これは多くの話を分析的に読んで初めてできる ことである。古川氏が関敬吾等の厖大な資料を丹念に読み解いていつたその苦労は大変なものであつたらうと想像される。そこに日本神話をはめ込んでいくのである。これも丹念な読み込みによつてのみなし得ることと思ふのだが、それゆゑに、最初の桃太郎の分析のやうに実におもしろく読めるものがある反面、ごくあつけなく終はつてしまふものがあるのにも驚く。さういふのはそれだけの話だと言つてしまへばそれだけである。例へば最後の一寸法師、最初は「一寸法師ーー 逆転したはちかつぎ」である。はちかつぎが一寸法師と関係があるなどと私は考へもしなかつた。さうして最後にオオクニヌシがでてくる。因幡の白ウサギ以降のさまざまな試練である。オオクニヌシは兄が与へた試練によつて己が「脱皮による死と再生」(264頁)を果たした。一寸法師もまた様々な試練の後に死と再生を果たしたのである。脱皮して変態する昆虫のやうなものであつたのかと思ふ。直接的な神話からの影響もあるが、このやうにモチーフを同じくする話もある。いづれにせよ、多くの話を読み込んだればこそ分かることである。帰納的、演繹的に導き出された昔話の論理の書、これが本書だと言へる。昔、昔あるところにの話ではあつても、それは決して非論理的ではないのである。おもしろい。
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