大奥恋情絵巻～夜桜恋し～ ガッシュ文庫

吉田珠姫(著者), サマミヤアカザ

• 販売会社／発売会社: 海王社
• 発売年月日: 2016/09/28
• JAN: 9784796409230

商品レビュー

2019/03/11

面白かったです。

久々に日本の江戸時代を舞台にした小説を読みました。
ご存じ将軍様のお膝元、江戸城と花の吉原、共に江戸の二大名所？　が舞台に繰り広げられる物語りです。

吉原でもお職を張る太夫紅緒は、実は武士の子で、しかも男。女衒の左源太と相惚れの仲ですが、彼は前将軍のご落胤で、紅緒の危急を助けるため、不本意ながら将軍になったという経緯があります。
この辺りは、こちらの巻の前巻で描かれていようで、今現在、私は前巻は読んでおりません。興味を惹かれて先にコチラだけを買って読み始めたところで、前巻の存在を知り購入しました。
前に戻って読もうかなと迷ったけれど、結局、既に読み始めてしまっており、そのままコチラを先に読了しました。
結論からいうと、どちらから読んだとしても楽しめそうで、次巻から読んでも支障はありません。

口は滅法悪いが、共に情に厚いお二人さんが最後に幸せになれて、めでたし、めでたしといったところです。
将軍になった左源太は「幕府財政を傾ける最大の原因である大奥」の粛正を目指し、奮闘し、押しつけられた形ばかりの御台所を追放し、紅緒を御台様にするんですね。
なかなか痛快－特に破天荒な将軍様の物言いが－で、時代劇を見ているようで、楽しめました。

ただ、少し気になることがあります。
将軍職につくことを「即位」とは言わないし、将軍の逝去を「崩御」とはいいません。
即位と崩御は、京におわす帝のみに使用される言葉ではないかと思われます。
小説の中で左源太が「即位」した、前将軍が「崩御」したという表現がありましたが、ファンタジーといえども時代物であれば、その辺りは正しい言葉を使った方が望ましいのではないでしょうか。
ちなみに、将軍は「継職」、「薨去」と表現するのではなかったかと思われます。
サマミヤアカザ先生のイラストは、いつもながら素敵です。
あんな美男の上様がいたら、大奥女中は放ってはおかないでしょうね－笑