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悲の器 河出文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2016/09/06 |
JAN | 9784309414805 |
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悲の器
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商品レビュー
2.8
5件のお客様レビュー
名作かどうかはしらないけど、やっぱり進まんものは進まんわ。法律学に関する時代的な移り変わりとか、そんなものを読みたくて小説読んでる訳ではない。どうしても取り入れたい内容なら、もっと血湧き肉躍るものにしてくれないと。ドロップアウト上等!
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今まで読んだあらゆるものの中で1番厭でした。ぶっちぎりで最悪の本。 知識の優越を誇りたがるだけの、出世と保身しか考えてないジジイが、この世に存在するあらゆるハラスメントをする様を読まされるだけの小説です。 クソダサい誘い文句で逆らえない年増の家政婦と肉体関係になり、関係を清算...
今まで読んだあらゆるものの中で1番厭でした。ぶっちぎりで最悪の本。 知識の優越を誇りたがるだけの、出世と保身しか考えてないジジイが、この世に存在するあらゆるハラスメントをする様を読まされるだけの小説です。 クソダサい誘い文句で逆らえない年増の家政婦と肉体関係になり、関係を清算することなく若い女と婚約したところ、その不倫相手の家政婦に慰謝料を請求される訴訟を起こされますが、自分は何も法は侵していないと、逆に相手を名誉毀損で訴えて転落の道へ…と背表紙の紹介文にもありますが、全てがただの自業自得でしかなく、何を読まされているのか分かりませんでした。 また女性の登場人物への記述が特に酷く、婚期を逃した、栄養状態が悪い、化粧が下手、女には食膳の運び方にしか個性はない、挙げ句の果てには生理の時の酸えた臭いがすると、会ったばかりの相手に、この爺さんめちゃくちゃ気持ち悪いです… あと、この主人公には末期癌の奥さんがいるのですが、頑なに病院へは入院させないで自宅療養させるんです。それはどうしてかというと、自分が奥さんの身体で性行為したいから。でも奥さんの事は好きでも何でもないんです…奥さんの手首のためらい傷を見て汚いというし、口から癌のくさい臭いがするとか平然と言います… そして巻末の解説によると、こういう女性観は誰かモデルが存在するのではなく、作者本人のものらしいのです…梅原猛と小松左京によるとこの高橋和巳という作者は、お金を払った売春婦にしか相手にされないガチの非モテだったらしく、おそらく非モテを拗らせて今風に言うとミソジニーを抱くようになったのでしょう。男である自分のファンタジーを実現してくれないお前ら女は悪い、と。昔の男尊女卑がどうとかの文脈ではなく、マジで気持ち悪い小説と作者でした。 加えてこの作者の特徴なのですが、作中で哲学や思想から引用をするのですが自分に都合の良い部分を自分の都合の良いように解釈して、浅い理解とオリジナルの理論でドヤってきます。読んでいて恥ずかしいです。 また風景や心情の描写はめっちゃヘタクソです。この本の主人公は芸術の類いは全く理解出来ないという設定で予防線を張っていますが、例えば香水の匂いも食べ物の匂いも鼻で感じるものは全て"香料"と表現されています… …しかしそれがどんな香りなのか、それこそを文章表現するのが、謂わば文学なのではないでしょうか? あと戦後日本の歴史をパノラマに〜とアオリにありますが、歴史的な事件や事柄にはほぼ触れられていません。そもそも時系列がとても分かりにくい書き方でした。 パワハラセクハラする老害を俯瞰的に描いた小説ではなく、自分がパワハラセクハラクソジジイだと解ってない老害が書いた小説、です。 嫁ぎ先で上手くいっていない主人公の娘が出産のために帰省しているのですが、その娘が誰も私になんて構ってくれない、お父さんだって孫なんて欲しくないでしょ?と涙声で言うんです。 それに対する主人公の返事が、 そんなことはいいから、新聞を取ってきてくれ …… 焚書すべき本。
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本作を読み終わってまず思ったのは、はたして正木典膳は「特別」な人間なのだろうかということだ。正木は本作の主人公で、かつて最高検察庁の検事を務め、現在は大学法学部の教授として何不自由ない生活を送っていたが、私生活での婚約をめぐるトラブルから告訴され、以後歯車が狂い出してゆく。こう聞...
本作を読み終わってまず思ったのは、はたして正木典膳は「特別」な人間なのだろうかということだ。正木は本作の主人公で、かつて最高検察庁の検事を務め、現在は大学法学部の教授として何不自由ない生活を送っていたが、私生活での婚約をめぐるトラブルから告訴され、以後歯車が狂い出してゆく。こう聞くとよくある筋書のようだが、巻末エッセイによればじっさい本作にはモデルがいるようで、そこまで特別な世界を描いたわけではないということになる。くわえて、正木は女性をはじめ他者に対する蔑視を隠すこともない。当時の価値観でいえばムリもないことのように思うが、そもそもこういった思想は、正木に固有のものなのだろうか。同時代のエリートのあいだにある程度共有された感覚なのではないだろうか。大学教授と学生が完全に対等な立場で向かい合うことはありえないし、本作には学生運動に執心する学生が登場するが、逆に学生の立場からみると、大学教授はその地位に恋恋としているだけの、意識が低い人間と映るだろう。このように他者を見下すという感覚もまた、誰にでもある普遍的なものなのである。智的エリートでありながら普通、そういう矛盾した世界を本作は描いているのである。また、本作には『はだしのゲン』の鮫島伝次郎のように、戦後その思想を極端に転換した人人も登場する。思わず眉を顰めたくなってしまうが、しかしこれもまた「特別」なんかではない。たとえば現在のコロナウイルス禍では、あれほど大切にされていた多様性という概念はどこかに押しやられ、各国が「鎖国」に踏み切り、自粛要請に従わないような「異分子」を排除する動きが世界中に広まっている。世界もまた、変わり身が速いのだ。そもそも検事という「正義」であり、教育者という「模範」たるべき正木がこのようなスキャンダルを起こすことじたい、おおいに矛盾している。本作はこういった矛盾に満ちた世界に対する痛烈な諷刺であるとともに、そんな世界のリアルを描いた「実録」でもある。正木はわたしでありあなたでもあり、またそれと同時に社会でもある。そして、正木以外の人物もまた、わたしでありあなたであり社会なのである。
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