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丸山眞男の敗北 講談社選書メチエ629
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2016/08/01 |
JAN | 9784062586320 |
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丸山眞男の敗北
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タイトルに惹かれて手に取った。丸山眞男の思想的展開の概説書としてコンパクトにまとまっているとは思うが、とくに目新しい指摘はない。筆者は、戦時下の丸山における「近代」観の変質を「転向」と呼んでいるが、むしろ議論における重心の移動と見た方が適切ではないか。新しいことを言いたい、大向...
タイトルに惹かれて手に取った。丸山眞男の思想的展開の概説書としてコンパクトにまとまっているとは思うが、とくに目新しい指摘はない。筆者は、戦時下の丸山における「近代」観の変質を「転向」と呼んでいるが、むしろ議論における重心の移動と見た方が適切ではないか。新しいことを言いたい、大向こうにアピールしたいという思いが議論の強度を弱めているように感じられる。 また、21世紀に書かれた本として、丸山のナショナリズムが無自覚なコロニアリズムに支えられていることへの問題意識が欠けているのは致命的ではないか。結果、丸山の思考を現在の言葉に置き換えるだけにとどまり、テクストと緊張感のある対話ができていない、という印象を受けた。
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丸山の哲学を福澤諭吉流の「相対の哲学」と位置づけて、その弱点に迫る事により「敗北」を明らかにしようとする試みではあるが、思想内容そのものにアプローチするというよりも人物像に還元してしまっている。よって、評伝としては読みやすいかもしれないが、思想研究にはなっていない事に留意する必要...
丸山の哲学を福澤諭吉流の「相対の哲学」と位置づけて、その弱点に迫る事により「敗北」を明らかにしようとする試みではあるが、思想内容そのものにアプローチするというよりも人物像に還元してしまっている。よって、評伝としては読みやすいかもしれないが、思想研究にはなっていない事に留意する必要がある。
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戦後史のなかで、丸山眞男の政治思想および日本思想史における仕事がどのような意義を果たしてきたのかという問題を論じた本です。 著者は、丸山の福沢諭吉研究を手がかりにして、丸山が論じている福沢の思想的方法が、丸山自身の仕事にも見いだすことができると主張しています。その方法とは、状況...
戦後史のなかで、丸山眞男の政治思想および日本思想史における仕事がどのような意義を果たしてきたのかという問題を論じた本です。 著者は、丸山の福沢諭吉研究を手がかりにして、丸山が論じている福沢の思想的方法が、丸山自身の仕事にも見いだすことができると主張しています。その方法とは、状況認識にもとづいて社会という舞台での役割を演じるというものであり、著者はこの方法を「丸山の哲学」と呼びます。本書はまず、戦前の丸山が「近代の超克」の議論に対してどのように向きあっていたのかを明らかにし、つづいて戦後史の歩みのなかで丸山が、いわば逆風に向かって凧を上げるというしかたで、社会の動向や風潮に逆行してみずからの論考を提出してきたことを明らかにするとともに、政治の時代の終わりを迎え「無思想の時代」に入ったことで、そうした丸山の方法が通用しなくなっていったことを、「丸山眞男の敗北」というかたちでえがき出そうとしています。 著者は、丸山の戦争体験を参照しつつ、丸山の思想には自分たちが戦争で多くの死者を出したという「当事者意識」が欠けていたと批判しています。こうした著者の発想は、加藤典洋の『敗戦後論』(ちくま学芸文庫)の考えを引き継ぐもので、戦後の日本が繁栄のなかで「無思想」へと埋没していったことを、改めて思想の問題としてとりあげる必要があると主張しています。 時代のなかで丸山眞男の仕事の意義を論じたものとしては、水谷三公『丸山真男』(2004年、ちくま新書)や竹内洋『丸山眞男の時代―大学・知識人・ジャーナリズム』(2005年、中公新書)などがありますが、本書は丸山のいわゆる「本店」の仕事も含めて、丸山の仕事を時代状況のなかに位置づける試みといってよいのではないかと思います。
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