1,800円以上の注文で送料無料

一柳慧 現代音楽を超えて
  • 中古
  • 書籍
  • 書籍

一柳慧 現代音楽を超えて

一柳慧(著者)

追加する に追加する

一柳慧 現代音楽を超えて

定価 ¥2,200

1,540 定価より660円(30%)おトク

獲得ポイント14P

残り1点 ご注文はお早めに

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 平凡社
発売年月日 2016/08/01
JAN 9784582837353

一柳慧 現代音楽を超えて

¥1,540

残り1点
ご注文はお早めに

カートに追加するカートにいれる

商品レビュー

4

2件のお客様レビュー

レビューを投稿

2019/07/02

20世紀に入っての現代音楽も、「クラシック音楽」と呼称されるのであろうか。 少なくとも、「古典」ではないはずだ。 ならば、西洋の「クラシック音楽」は、これからどんな呼称で呼び習わされるのであろう。 そんな西洋「古典音楽」の伝統を引き継ぐ作曲家の問題意識が奈辺にあるのか、この著作に...

20世紀に入っての現代音楽も、「クラシック音楽」と呼称されるのであろうか。 少なくとも、「古典」ではないはずだ。 ならば、西洋の「クラシック音楽」は、これからどんな呼称で呼び習わされるのであろう。 そんな西洋「古典音楽」の伝統を引き継ぐ作曲家の問題意識が奈辺にあるのか、この著作にはそんな作曲家の模索が綴られている。

Posted by ブクログ

2016/10/09

作曲家一柳さんの文集ではあるが、実際に「書いた」テクストはごく短いのが3本だけで、インタビューと対談が分量的にもメインとなっている本だ。 特に焦点が当てられているのは、一柳さんがアメリカ留学からずっと米国で過ごした若者時代。ジョン・ケージとの運命的な出会いと親交。 私は後期の一柳...

作曲家一柳さんの文集ではあるが、実際に「書いた」テクストはごく短いのが3本だけで、インタビューと対談が分量的にもメインとなっている本だ。 特に焦点が当てられているのは、一柳さんがアメリカ留学からずっと米国で過ごした若者時代。ジョン・ケージとの運命的な出会いと親交。 私は後期の一柳さんの作品ばかり聴いてきたので、彼の音楽にケージ的な匂いを感じることはなく、その点、「もろケージの影響そのまんま」の近藤譲氏とは異なる。どちらかというと、いかにもアメリカンなミニマルの影響を感じていた。 ジョン・ケージは特に鈴木大拙との出逢いによって日本人より遙かに東洋的な精神を持ったアメリカ人となり、西洋音楽の文脈をかき乱すような「作品」を作るようになった。ケージはこれによって、十二音主義からメシアンを経てシュトックハウゼン、ブーレーズらへと続く主知主義的現代音楽とは全く異なる地平を開いた。 一柳さんはケージの「革新」に影響されて図形楽譜やら不確実性に基づいた作品を沢山つくり、日本音楽界にも持って行った。 そのへんの経過が本書にはよく描写されている。 その後、一柳さんは図形楽譜を離れ、古典的な記譜法に戻ってくるのだが、本書によると、現在に至るまで、クラシックと呼ばれる西洋近代音楽の構図と対立的に現出させうる東洋的/日本的な要素を意識しており、それは「空間と時間の一体化、一方への傾斜に対する相対的視点」の重視という作曲上のテーマへと結びついている。 実は私は、個人的には「西洋対東洋」という対立思考にはそろそろ飽きが来ていて、それは戦前においてたとえば和辻哲郎なども強調しており、その精神がやがて「八紘一宇」というヘンな言葉をヘンに解釈した人々が帝国主義日本を形成し、近隣諸国への侵略を進めていった流れを思えば、確かに不吉な面もあるのである。 そして現在の日本においても、「日本すげえ」「反日排除しろ」のネトウヨ化の毒に感染した人々が、全体主義的な「ヘンなナショナリズム」にどんどん突っ走っているのを見ると、私は今は「日本が」とか「東洋が」とかあまり言いたくない。むしろ人類学的視点に立って、世界民族音楽にも通底する「音楽」を見いだす方が楽しい。 しかしそれは置いておいて、本書はクラシックを演奏していた一柳さんの両親が、戦時中は敵性音楽にあたってしまうということでピアノを鳴らすのもはばかられた、といった興味深いエピソードもあり、なかなか楽しい読み物であった。

Posted by ブクログ