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からゆきさん 異国に売られた少女たち 朝日文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 朝日新聞出版 |
発売年月日 | 2016/08/01 |
JAN | 9784022618740 |
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からゆきさん
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商品レビュー
3.8
7件のお客様レビュー
想像していた内容とは少し違っていた。 けれどもからゆきさんとはどんな人達が何故からゆきさんになったのか。 それの事に関する時代背景や国、その地域での暮しからからゆきさんを知る事が出来た。
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明治時代、外国に売られていった女の子たち、その背景、女の子たちのその後。 綾さんの養母のキミが精神の異常をきたしている様子が、胸に迫る。 養子の綾さんに、このいんばいおなご!おまえのいんばいをようしっとるよ。ひとりの男も百人の男も同じこつ、と罵る。それは、おそらくキミさん自身...
明治時代、外国に売られていった女の子たち、その背景、女の子たちのその後。 綾さんの養母のキミが精神の異常をきたしている様子が、胸に迫る。 養子の綾さんに、このいんばいおなご!おまえのいんばいをようしっとるよ。ひとりの男も百人の男も同じこつ、と罵る。それは、おそらくキミさん自身の自己認識で、雇い主や客や故郷や社会からそう言われてきて、それが彼女の中に刷り込まれてしまったのだろうと想像できる。 炭坑夫を描いた「まっくら」の女たちは、まずしくてももっと、なんというか、正常だった。本来の人間の強さを持っているように読めた。それは貧しくても人間の暮らしだったからたみろう。 が、からゆきさんたちは、アウトオブノーマル。底辺よりも、さらに下。 日露戦争とか安重根の伊藤博文襲撃とか朝鮮の鉄道敷設とか。そういう歴史の背後にこんな物語があったことを、覚えておこう。 わたしは、選択肢を多く持ち、お腹いっぱいで自己実現とか平和に暮らせることを感謝しよう。 森崎さん、すごい仕事をありがとう。あなたの女性への眼差しが、本当に励みになる。女性が幸せであることを、こころから願った人。
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石牟礼道子は読んでいたのだが、サークル村の同志だった森崎和江は読んだことがなかった。 『からゆきさん』は昔から知っていたのだけど山崎朋子の本や『五番町夕霧楼』みたいな遊郭に娘が売られる話とごっちゃになって、なんだか暗い因習に満ちた救いのない話だと思い込んでいて、手に取っていなかっ...
石牟礼道子は読んでいたのだが、サークル村の同志だった森崎和江は読んだことがなかった。 『からゆきさん』は昔から知っていたのだけど山崎朋子の本や『五番町夕霧楼』みたいな遊郭に娘が売られる話とごっちゃになって、なんだか暗い因習に満ちた救いのない話だと思い込んでいて、手に取っていなかった。しかし石牟礼道子や藤本和子との関係を知り、これはちゃんと読まなければと思って読んでみた。 確かに貧しい家の娘が家計を助けるため、あるいは口減らしのため、密航状態で船に乗せられ東南アジアで身を売ったわけで、労働基準法もなければ健康保険ももちろんない中、性病の危険にさらされながらの毎日も辛かっただろうが、そこまで自分を犠牲にして働いても、故郷に帰ればまともに扱われない、というところはもちろん辛い。 しかしもっとずっと前から貧しさのため身を売る女性たちを「醜業婦」「淫売」「売女」と蔑む女性観が、経済・政治・ジャーナリズムなどすべてを握る男たちにあったのでである。娘を農村漁村から集めて(家畜同様)売りさばいていたのはほとんどが男であったのだが。 確かに悲惨である。しかし、意外にも救いのない暗さとは違う。 それはまず村の若い男女の性意識が現在とは全く異なることがきちんと取材されていること。性行為を淫靡なものとは思わず、「性が人間としてのやさしさやあたたかさの源である」(p64)と感じて育った娘たちは「おおらかでふてぶてしいエネルギー」(p65)があった。武士層やその後の中産階級が規範とした「二夫に見えず」といった貞操観念とは無縁であった。しかしそういった性意識と貧しさに付け込んだのが明治の男たちであった。 この本には「からゆき」になった後実業家として成功した女性も出てくる。悲惨な人生を送った者ばかりではなく、混乱の時代をたくましく生き抜いた姿に救われる。 しかし、男が集まるところには身を売る女が必要であるという男たちの意識は昭和になっても変わることはなく(石牟礼道子も水俣にチッソの工場ができるとすぐに女郎屋ができたと書いている。)、これが戦争中従軍慰安婦の流れになったことは容易に想像できる。女たちを集めて売る業者の男たちは役所からはお目こぼしで咎められず、女たちはつかまれば実名報道と「淫売」の烙印。 そこが一番暗澹とするところである。 売らせた男や買った男は咎めを受けず、売った女だけが貶められることは今も続いているのではないか。 取材を重ねるというより、「からゆき」だった女性と身を一つにしているといった書きぶり、貧しい人、蔑まれている人の中にある強さや美しさを描いている点も石牟礼道子と近いものを感じた。 男が書いた歴史には書かれなかった、たくさんの女性の声が聞こえてくるようだった。
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