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ぼくの花森安治

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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | CCCメディアハウス |
発売年月日 | 2016/08/01 |
JAN | 9784484162201 |
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ぼくの花森安治
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商品レビュー
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NHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」が人気だとか? ちょうど仲間内でも「暮しの手帖」が去年あたりから話題に。TVがない家なので、とりあえず本で。編集長の花森のことを身近な存在だった著者が語った本ということで読んでみた。 花森の下で、その死にいたるまでの9年間、そして大橋鎭子と40年働いた「暮しの手帖」元副編集長による手記だ。大橋のことはほとんど出てこない。タイトルの通り「ぼく」の視点から見た花森との想い出話だ。主に商品テストに明け暮れた日々と、怒られた想い出が延々続く感じ。よほど厳しく鍛えられたのだろうということが良くわかる。 寿屋の宣伝部時代の開高健の話ではないが、梁山泊とは言わないまでも、荒っぽい自由な空気が当時の「暮らしの手帖」編集部にも溢れていた感じそこはかとなく伝わる。 そんな戦後の、高度経済成長を迎える昭和の空気の中で、編集者、ジャーナリストとしての気概を花森から学んでいく著者。 「分かりやすい文章を書け。しゃべっているように書け」 「いまの編集者は、2,3聞いて10書く。ほんとうは、10聞いて2,3書く」 花森の残した名言としていくつか紹介されているが、それよりも日々逆鱗に触れながら修行してきたことのほうが、よほど身になったなたのだろうなと、長年「暮しの手帖」が手掛けてきた“商品テスト”にまつわる数々のエピソードのほうが強烈だ。 「ぼくたちはジャーナリストだ。世の中を動かすんだ。その気概を忘れるな」 権力への反骨精神はハンパない。それは戦争に加担した? 煽ったという責任を感じてのことだという。 「戦争を防ぐどころか、一生けんめい、それに協力してきたのだ」と、朝日新聞連載に記す(「わが思索わが風土」) 故に、戦後は、なまけるな、ペンを磨けと後進を叱咤、指導し、 「権力の方は、剣を磨いているぞ。」 と警告を発し続けた。そして、そのための手段として作り上げたのが「暮らしの手帖」だとは驚いた。なぜ日々の暮しが? なぜ家電の商品テストが? この主婦向けの雑誌(と当時は思っていた)のどこが?と思うが、以下の言葉で、はっとさせられた。 「今度の戦争に、だれもかれもがなだれうっていったのは、一人ひとりが自分の暮しを大切にしていなかったからだ」 暮しをかけがえのないものにし、日常生活の価値を高め、そして戦争で覆されては大変と思えるだけの意味を付加する。そのために、暮しを大切にするように仕向けていったということか。深いな、実に。ボトムアップ、草の根というより、もっと現実に即した深遠な戦略だったんだ。 “一人ひとりが”という訴えも、先日読んだ辺見庸『1★9★3★7』の中にあった、何万人が死んだということではなく、一人ひとりが死んだと思えという叫びと相通じる発想だ。大きな理想論より、地道な日常の積み重ね、それこそが強い、底堅いという気は確かににする。 上記、朝日新聞に寄稿した連載「一本のペン」で、花森が 「明治以来、新聞の果たした役割の最大のマイナス部分として、こんどの戦争を防ぐことができなかったことをあげる。」 とあるが、戦後、既に、花森はマスコミ、新聞、メディアに、戦争の抑止力はないと判断したということだろうか? 今の世を見ていても、メディアにその力はない、むしろ、時の権力にいいようにアシラワレ、再び大政翼賛しかねない勢いだ。 花森が、「暮しの手帖」が手掛けた商品テストで、日本の製造業が力をつけ、一般市民の暮しが“大切なもの”になったことで、これを戦火で焼け野原にされてたまるか!という思いが強く成れば、花森の勝利だということかもしれない。 著者はそこまでのことは全然語ってないのだけど、引用された花森の生き方、発言、文章に触れて、強くそれを感じさせられた。 (なので本書の評価は☆2つだけど、花森の思想は「暮しの手帖」にお世話になった想い出も含め☆4つくらい付けたい・笑)
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