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ブラックアース(上) ホロコーストの歴史と警告
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 慶応義塾大学出版会 |
発売年月日 | 2016/07/01 |
JAN | 9784766423501 |
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ホローコーストに関する以下の誤解を事実に基づき解き明かしている。 ・ヒトラーは狂人であった ・ホローコーストはドイツで行われた ・ホローコーストはドイツのユダヤ人の問題であった ・ホローコーストは強制収容所で起きた ・ホローコーストはすべてナチスによって行われた 自分も含め、アウ...
ホローコーストに関する以下の誤解を事実に基づき解き明かしている。 ・ヒトラーは狂人であった ・ホローコーストはドイツで行われた ・ホローコーストはドイツのユダヤ人の問題であった ・ホローコーストは強制収容所で起きた ・ホローコーストはすべてナチスによって行われた 自分も含め、アウシュビッツ=ホローコーストだと認識している人が多いと思うが、本書により、それはホローコーストを遥かに矮小化していることが理解できるし、ヒトラーが決して受け入れがたいが確固たる思想を持ち、極めて戦略的な行動を取ってきたことがわかる。ホローコーストが極めて戦略的に実施されたことは条件が揃えば現代でも起こりうることを示しており、ホローコーストについて理解することがこのような悲劇を繰り返さないことにつながることを筆者は訴えている。
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(上下巻あわせて) この5〜6年、全体主義、ナティス、ホロコースト関係の本をボチボチと読んできて、ようやく全体像がわかり始めた気になっていたのだが、そんなわたしの理解を簡単に吹き飛ばしてしまった驚愕の本。 ホロコーストの象徴となるのは、アウシュビッツ。ユダヤ人を計画的に輸送し...
(上下巻あわせて) この5〜6年、全体主義、ナティス、ホロコースト関係の本をボチボチと読んできて、ようやく全体像がわかり始めた気になっていたのだが、そんなわたしの理解を簡単に吹き飛ばしてしまった驚愕の本。 ホロコーストの象徴となるのは、アウシュビッツ。ユダヤ人を計画的に輸送して、工場で効率的に死体を製造するというイメージ。ユダヤ人に対する残酷な行為もさることながら、人を人として認識していない徹底した非人間的な扱い。そして、それを運営しているのは、普通の人々からなる官僚組織、さらにそのトップはクラシック音楽を愛好する教養人。そんなイメージがあった。 だが、この本は、アウシュビッツは、ホロコーストの全体を象徴するものではなく、比較的最後の方ででてきた3番目の形態であり、規模においても、他に比べ大きいわけではない、と主張する。むしろ、ホロコーストの全体を見えなくする、局所化するための機能すら果たしているとする。 ユダヤ人は、強制収容所よりも射殺されて穴に埋められたり、一酸化炭素などのガスで殺されたりしているほうが多かった。そして、その殺戮が多かったのは、ポーランドやウクライナといった地域なのだ。 こうした地域では、ナチスとソ連が入れ替わり立ち替わり支配し、というか、国家システムを破壊し、その都度、それぞれに対しての敵を虐殺するということが繰り返されている。そうしたなかで、程度の違いはあるが、ユダヤ人は常に殺戮の対象であった。 ブラックアースは、こうした暗黒の地であるとともに、肥沃な黒土地帯。 ナティスは、当初、ドイツ民族が生存していくために必要な食料を賄うという観点で、この黒土地帯を植民地化することを考える。ナティスは、一旦は、独ソ不可侵条約を結ぶものの、フランスを屈服させたうえで、当初のプランに戻り東側に攻め入る。 が、当初の目的の食糧確保にはなかなかつながらず、具体的な成果がみえるユダヤ人絶滅のプロジェクトにフォーカスは移っていく。 そして、ユダヤ人虐殺には、ナティス以外の普通のドイツ人、さらにはドイツ以外でも支配地域の多くの普通の人たちが参画することで進められていた。 ナティスは、新たな土地を求めるのではなく、国内の農業生産の技術向上に力をいれることで、より効率的に目的を達成できたはずなのだ。 ハンナ・アーレントは、ナティスのユダヤ絶滅にむけた活動は、体制に反対する勢力が実質的にいなくなり、ナティスにとって戦況がわるくなってきてから強化されたこととして、そこに全体主義の「運動」としての特質をみた。つまり、「運動」は、なんらかの権力の安定を生み出すものではなく。つねに敵を作りだし、よりエスカレーションさせていく必要があると考えた。 そうした側面もあるんだろうと思うが、この本によるとユダヤ人虐殺の大部分は、ヴァンゼー会議での「最終的解決」のまえに行われていたということ。「最終的解決」は、むしろドイツ国籍のユダヤ人に対する殺戮の強化・徹底という性質のものだったのかもしれない、わけだ。(ちなみに著者は、ハンナ・アーレント賞を受賞している) 著者は、今後の地球温暖化による居住環境や食糧生産の変化に注目しており、ホロコーストは昔の話しではなく、未来においても起きうることとして書いている。 そして、今、ウクライナで起きていることとまさにシンクロする内容が多く、読んでいて恐ろしくなった。
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「アウシュビッツ」はナチによるユダヤ人虐殺の象徴であるが、あまりに有名になりすぎて、虐殺は収容所という非日常の中よりも、むしろ日常の中に多くあったという事実を遠ざける。 原文をそのまま翻訳したのだろうか婉曲した言い回しが多く読解には労を要する。その中でどうにか読み取った最も重...
「アウシュビッツ」はナチによるユダヤ人虐殺の象徴であるが、あまりに有名になりすぎて、虐殺は収容所という非日常の中よりも、むしろ日常の中に多くあったという事実を遠ざける。 原文をそのまま翻訳したのだろうか婉曲した言い回しが多く読解には労を要する。その中でどうにか読み取った最も重要そうな記述が冒頭の指摘である。 ドイツ国内で殺されたユダヤ人は少ない、が、それは殺害場所がドイツ国外というだけであってドイツ内で捕らえられたユダヤ人は当然多い。 またドイツ人のみがユダヤ人を虐殺したのではなく、ドイツの同盟国、例えばルーマニアも虐殺に参加したし、ソ連の犠牲になったユダヤ人もいた。 資料や証言が膨大であり、またインパクトも絶大であったために様々な誤解や誇張がはびこるホロコーストについて、研究者の視点から丁寧に記述しなおす意欲作なのではあろうが、とにかく読みづらい。読解力不足で申し訳ない。
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