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漁師の愛人 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2016/07/08 |
JAN | 9784167906504 |
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漁師の愛人
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商品レビュー
3.4
32件のお客様レビュー
プリンに関する三部作に登場する何気ない老人たちに味わいを感じる。 主人公じゃないのに心に残ってしまう。 「少年とプリン」での用務員の64歳の老人。 あの味のあるじいさんを、あんたはどう敬ってんだ。 「老人とアイロン」の旧式の鉄アイロンを握りしめた老人。 皺の深さや目のくぼみからし...
プリンに関する三部作に登場する何気ない老人たちに味わいを感じる。 主人公じゃないのに心に残ってしまう。 「少年とプリン」での用務員の64歳の老人。 あの味のあるじいさんを、あんたはどう敬ってんだ。 「老人とアイロン」の旧式の鉄アイロンを握りしめた老人。 皺の深さや目のくぼみからして優に70は超えているはずだが、裸の上体は艶めいた褐色で、昼も夜もそこには大粒の汗が張りついている。 「ア・ラ・モード」の調理場の禿頭のじいさん。 田村爺の作る生クリームたっぷりのウエハース6枚も奮発のハート型のキウイでおもてなし精神はあるが、プリンなしのア・ラ・モード。 そういえば「あの日以降」も小西さんがいい味を出している。63歳の雨漏り修理工で、とても親切、丁寧で押し付けがましくもない老人だ。 表題作である「漁師の愛人」が、タイトルこそ愛人とあったのでどんなにドロドロしているのかと思ったが、意外なことに妻と愛人には電話のやりとりが普通にあることに唖然となる。 そうなると何が正解かわからなくなり、いやこれは正解とかの言葉を使うのは違うのだろうと思ったりして…。 「みんな俺が悪い。女々しい男ですまんの」に直ぐに反発する言葉が見つからないというのがなんともなぁ…と。 そして、ここにも喜寿の祝賀会に集まった酒豪の老人たちがいた。
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プリン三部作(と名付けました)はちょっと緩くてしかし主人公にとっては洒落にならない状況で気に入りました。 この本を読んで久しぶりに東日本大震災直後の自分の気持ちを思い出しました。 13年経って東京に住む私にとっては気持ちがだいぶ薄まっていたんだなと思えてよかった。ただ薄まっていく...
プリン三部作(と名付けました)はちょっと緩くてしかし主人公にとっては洒落にならない状況で気に入りました。 この本を読んで久しぶりに東日本大震災直後の自分の気持ちを思い出しました。 13年経って東京に住む私にとっては気持ちがだいぶ薄まっていたんだなと思えてよかった。ただ薄まっていくのではいけないと思えたからです。 『漁師の愛人』は映画みたいなタイトルですが、東京で愛人をしていたら相手が故郷に帰って漁師になることになってそれについていく話です。いや、実際ならなかなか厳しい状況だなと思いました。
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森絵都さん、最近ご無沙汰だったけど、久しぶりに読んでやっぱりすごくいいなあと感じ入った。 読みやすい文体なのに、もやっとした感情が的確に言語化されていて、ほんとそうなのよ、とグッと引き込まれる瞬間が何度もある。 特に好きだったのは『あの日以降』『漁師の愛人』。 『あの日以降』は...
森絵都さん、最近ご無沙汰だったけど、久しぶりに読んでやっぱりすごくいいなあと感じ入った。 読みやすい文体なのに、もやっとした感情が的確に言語化されていて、ほんとそうなのよ、とグッと引き込まれる瞬間が何度もある。 特に好きだったのは『あの日以降』『漁師の愛人』。 『あの日以降』は震災以降の話だけれど重くなりすぎず、震源地からは距離のある場所で「あの日」を迎えた自分としては共感しやすい温度感だった。 被災地にいなかったからこそ「幸せであったらいけない」と感じた人は多かったんじゃないだろうか。 『漁師の愛人』については、物語の大テーマではないものの 「良かろうが悪かろうが、彼女自身が望んだ人生ですもんね。それをね、不憫だ不憫だって、夫の酔狂につきあわされとる付属品みたいに決めつけられるのがストレスなんとちゃうんかなあ。」とか、 「人が少なければ少ないで、ほかの何かが空白を埋めるものなのだ」「都会ではいつも人に頼っていた。人のいない空白を人で埋めようとしていた。誰もがそうだった。コミュニケーションの希薄化だのと言うけれど、日進月歩のツールを駆使して、人々はますます人を求めているよう」とか、 ハッとさせられる文章がいくつもあった。 ラストも含め、酸いも甘いも少しずつ分かってきた大人になったからこそ胸打たれた短編。夫、妻、愛人の複雑な人間模様にいろいろ考えさせられる。
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