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ビリジアン 河出文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2016/07/05 |
JAN | 9784309414645 |
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ビリジアン
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商品レビュー
3.8
13件のお客様レビュー
何億年か前の海は山になって、そして高島屋の階段になった。(44) 家でテレビを見た。白い着物の侍が大勢の人を斬ってすべてが解決した。(60) 生温かい風が、カーテンのあいだから吹き込んできた。その度に、長く重いカーテンは昆布みたいに揺れた。(110)
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この小説(『小説』という鋳型に嵌め込むのもどうかと思う、解説も言っていたように連作散文詩という方が妥当)は、あえてジャンル分けをするとすればそれは心境小説という事になるかと思う。 古いカテゴライズで、有名所で言うと志賀直哉の『城の崎にて』、芥川龍之介の『蜃気楼』等々が挙げられると...
この小説(『小説』という鋳型に嵌め込むのもどうかと思う、解説も言っていたように連作散文詩という方が妥当)は、あえてジャンル分けをするとすればそれは心境小説という事になるかと思う。 古いカテゴライズで、有名所で言うと志賀直哉の『城の崎にて』、芥川龍之介の『蜃気楼』等々が挙げられると思うが本作はこれらをすべて千切り捨てている。柴崎友香のセンスが段違いなのだ。 同様に同世代作家も確実に差をつけられていて、保坂和志なんぞが待ってくれと言った所で、一生追いつけない位置まで柴崎友香は来たのだな、と再認識させられる傑作、怪作。 この頃で言う、心に〈刺さる、差さる〉表現がこれでもかとてんこ盛りで、文庫本でせいぜい200ページあるかないかだが、連載ものにしたってこれは書くのに相当、難渋したろうと思わせるものだ。 わかる人にだけ開かれた小説であり、わからない人には何の配慮もない小説だが、現代文学のエッジに位置する事は間違いない代物。
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※このレビューにはネタバレを含みます
色縛りの連作。 実は緑よりも赤のほうが登場している印象あり。 というのは、地の文が「微温的緑」のままだからこそ、火や火事や血や夕焼けの赤が衝撃的なのだろう。 そいえば語り手も相手も結構熱い台詞を吐いている(どうやったら、ら、かっこよくなれるんかなって、とか、意思があればどこにでも行ける、とか)。 緑と赤の落差、微温と熱の落差、が本全体を不穏にしている。 そして、やはり文体の凄まじさ。 徹底的に過去形しか使わない「寝ても覚めても」と同じ系列だ。 そしてまた、記憶。 決してその時期だけにフォーカスしているわけではなく「その数年後にこうなったからこのときはこうだった」といった行き来も、なきにしもあらず、なので、視点が浮遊しっぱなし。 それが緩さではなく凄みに達するのが、文体の効果ということか。 さらにまた、生活のディテール。 どうしてそんなものに着目して記述できるの、という驚きが、さりげなく組み込まれて、唯一無二の読後感を引き出す。 唐突に出てくる海外ミュージシャンがだいたい関西弁で気さくなのは笑ってしまう。
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