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世界地図の下書き 集英社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2016/06/30 |
JAN | 9784087454529 |
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世界地図の下書き
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商品レビュー
3.9
142件のお客様レビュー
朝井リョウさんのエッセイが好き。小説は「何者」に続いて2作目。 特別擁護施設の子供達の話とは知らず、「世界地図の下書き」というタイトルに惹かれて読んでみた。 とてもいいストーリーだと思うけど、読んでいて心苦しくなったので星3つ。もしも私と夫が死んでしまったら、自分の子供達もこ...
朝井リョウさんのエッセイが好き。小説は「何者」に続いて2作目。 特別擁護施設の子供達の話とは知らず、「世界地図の下書き」というタイトルに惹かれて読んでみた。 とてもいいストーリーだと思うけど、読んでいて心苦しくなったので星3つ。もしも私と夫が死んでしまったら、自分の子供達もこの本に出てくる子達のような思いをするのかもしれない、とどうしても考えてしまいました。 後書を読んで、著者が何でこの話を書いたのか知ることができ、なるほど、と思った。
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これからどんな道を選ぶことになっても、その可能性は、ずっと変わらないの。どんな道を選んでも、それが逃げ道だって言われるような道でも、その先に延びる道の太さはこれまでと同じなの。同じだけの希望があるの。 逃げることは弱いこと。 そう思って今いる場所で無理をしている人はたくさんいると思う。そんな人に逃げ道を選んだって良いし、その先にある未来の可能性はどの道を選んでも変わらないと勇気付けてくれる作品。
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「世界地図の下書き」という素敵なタイトルに惹かれて読み始めたが、この小説に「世界地図」は出てこない。児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らす子供たちの話である。 両親が交通事故で亡くなったあと、預けられた親戚の家で虐待を受けて「おひさまの家」に来た大輔。同じく両親がもういない...
「世界地図の下書き」という素敵なタイトルに惹かれて読み始めたが、この小説に「世界地図」は出てこない。児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らす子供たちの話である。 両親が交通事故で亡くなったあと、預けられた親戚の家で虐待を受けて「おひさまの家」に来た大輔。同じく両親がもういない淳也と麻莉の兄妹。母親の虐待を受けている美保子。両親がおらず、弟が入院していて、遠方の親戚から経済的援助を受けている高校生の佐緒里。この5人が同じ1班として、「おひさまの家」で一つの部屋を共有している。自分を守ってくれるはずの親を亡くしていたり、親に傷つけられたりと心に傷を負った子供たちだが、施設の中では互いに心配しあい、助けあい、家族のように暮らしている。 私の身近には「児童養護施設」の生活を体験した人はいない。朝井リョウさんの身近にはそういう方がいらっしゃったから、よく知ってられるのか?それとも取材されたのか?と初め少しだけ頭を掠めたが、いやいやそういうことでは無いだろう。 朝井リョウさんは人の気持ちに対する「想像力」がすごく長けているのだと思う。児童養護施設の生活を書きたかったのではないだろう。究極的に書きたかったのは、後書きに紹介されていた坪田文学賞受賞の時の作者の話にあるように「逃げ場のない小さな子供たちに「逃げる」という選択があることを伝える」ことである。 1班でみんなのお姉さんだった高校生の佐緒里。その佐緒里が高校を卒業したら大学進学の夢を諦めて親戚の家で働かねばならないことになった。落胆し、そして遠い所に行ってしまう佐緒里に対し、あとの小学生の4人の1班のメンバーはなんとかして佐緒里の夢を一つだけ叶えてあげたいと思い、力を合わせる。夜、布団を被っての作戦会議。夜、学校の図工室に忍び込んでの材料集め。神社に集まっての製作…。学校の先生も自分達を虐めるクラスメイトもみんな巻き込んでの大胆な作戦。そして、そして…。 ああ、この作品は、是非映画化してもらいたい。最後の映像が美しい…!!そして、是非、上手くて、嫌味のない子役たちに演じてもらいたい。 この「おひさまの家」の子供たちは休日の外出許可で実家や親戚の家に行くたびに「何があった?」と様子で察せられるほど、傷ついて帰ってきたり、外で出会うクラスメイトの様子から明らかに虐められいることが分かったりするのだが、お互いに踏みこまずに労わっている。 佐緒里の旅立ち前に行った作戦は成功し、その美しい光の中で、佐緒里だけでなく、美保子も淳也、麻莉も旅立つことを明かす。その先の道は明るいのか険しいのかは分からない。だけどこの「1班」の仲間はこの先の人生でまた、同じような仲間にきっと出会うことがあると信じて旅立つ。逃げたくなるようなことがあったら「逃げていい」。そして、逃げた先にも道があってきっとどこかでまた佐緒里、太輔、淳也、麻莉、美保子のような仲間と出会うことが出来るから。最後にそう信じることが出来るのだった。 朝井リョウさんが「ある高校の男子バスケ部の部長が顧問からの体罰が原因で自殺した」というニュースを見て、「逃げる」という選択肢が彼の頭の中に浮かばなかったのはどうしてだろうと考えたことから生まれたというこの小説。一昔前のように「頑張れば、我慢すれば報われる」という子供へのメッセージではない。子供にも社会に出始めた若者にも、仕事や育児に疲れ「虐待して」しまう大人にも読んでほしいと思った。
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