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翻訳出版編集後記
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 幻戯書房 |
発売年月日 | 2016/05/26 |
JAN | 9784864880985 |
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商品レビュー
4.5
2件のお客様レビュー
1979年に出版された本の2016年再版もの。 ある意味追われて退社した早川書房。なのに、常盤さんは、ハヤカワをすごくすごく愛していた… そして、翻訳をする人たちとエージェント会社への、やはりリスペクトとするどい眼差し。 そして、福島正実さんへの強い気もち、想い。 良かったです。...
1979年に出版された本の2016年再版もの。 ある意味追われて退社した早川書房。なのに、常盤さんは、ハヤカワをすごくすごく愛していた… そして、翻訳をする人たちとエージェント会社への、やはりリスペクトとするどい眼差し。 そして、福島正実さんへの強い気もち、想い。 良かったです。 私はマクベインというか87分署でハヤカワミステリ好きになり、タトル・モリとか日本ユニ・エージェンシーの存在も知ってはいたけど、ナニモノかをよくわかっていなかった…不勉強を反省。 でも、懐かしい訳者の名前が次から次へ… 福島正実、中田耕治、加島祥造、田中小実昌、井上一夫、都筑道夫…(敬称略)きりがありません… 再版にあたっての宮田昇(内田庶)さんの解説も良かった。宮田さんも2019年に亡くなっています。 矢野浩三郎さんのことも初めて知り…ミザリーを読もうと思ったところ(今さらですが…)。 生島治郎(小泉太郎)への様々な想い(常盤さん側、宮田さん側双方の)、フィリップ・ロスを知らなかった老翻訳家への様々な感情(何回も繰り返される…福島さんへの愛並みに(笑))など、本当に日本の翻訳出版事情の歴史を知る1冊でした。 早川書房も大変な歴史あり。これからも応援します。創元も好きですが、やっぱりマクベインびいき(笑) あ、角川春樹のことも書かれていました。ハルキは天才だったのですね… 本の雑誌 2016年8月号 新刊めったくたガイドで北上次郎(目黒考二)さんが紹介されていた1冊に最近気づき、読みました。 北上さんも、坪内祐三さんも西村賢太さんも亡くなりました。 もともと吉野朔実先生追悼号…合掌。
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今ではすっかりノンフィクション専門になってしまったけれど、貪る ように小説を読んでいた頃、私の本棚は東京創元社と早川書房 の文庫に占拠されていた時期があった。 海外エンターテイメントの両雄の出版社である。その早川書房で 10年間、編集者及び翻訳家として勤務した時期の回想...
今ではすっかりノンフィクション専門になってしまったけれど、貪る ように小説を読んでいた頃、私の本棚は東京創元社と早川書房 の文庫に占拠されていた時期があった。 海外エンターテイメントの両雄の出版社である。その早川書房で 10年間、編集者及び翻訳家として勤務した時期の回想録が本書。 1970年代に「出版ニュース」に連載されたエッセイをまとめた作品 なので、同じような話が繰り返されるのはご愛敬。 初めてのニューヨーク出張、海外作家のエイジェントとのやり取り、 版権料の話、海外小説の情報収集方法。多分、今では大きく違って しまっているのだろうが、翻訳書が今ほど豊富ではなかった時代に、 翻訳出版専門の出版社の内部の様子が面白い。 1ドルが360円の時代である。150ドルの版権料を115ドルに値切る のだって必至だよね、版元としては。 先輩編集者や翻訳者との思い出話がたくさん出て来るが、中でも 一番印象深かったのは初代「SFマガジン」編集長で、「SFの鬼」と 呼ばれた福島正実氏への親愛の情である。 これは本書の解説を書いている宮田昇氏も福島氏へのオマージュ が込められていると表現している。SFを愛し、SF一筋に生きて47歳 の若さで亡くなった福島氏の業績を書き残したくて書かれたエッセイ なのではないかと感じさせる。 海外のベストセラー情報が今のように簡単に手に入る時代ではな かった翻訳出版黎明期。常盤氏が書いているように「あの頃、翻訳 出版は冒険だった」のだろう。 それだけに翻訳も「名訳」と呼ばれる作品も多かったのだと思う。 「翻訳の問題は奥が深いと思う。何がいい訳で、何が悪い訳かは、 人によってちがう。私がいい訳と主張しても、これに反対する人も いるだろう。しかし、万人が認める名訳もあるはずだ。たとえば、 アーサー・ヘイリーなら永井淳、シムノンなら矢野浩三郎、チャン ドラーなら清水俊二、アイリッシュなら稲葉明雄というように。」 はい、ここ大事です。「チャンドラーなら清水俊二」。なんで村上 春樹訳にしちゃったんだろうな、早川書房。『長いお別れ』『さらば 愛しき女よ』を、『ロング・グッドバイ』やら『さようなら、愛しい人』 にされちゃったら、それはもう私が愛したフィリップ・マーロウで はないのである。 と、最後は愚痴になってしまった。でもね、本書を読んでいると 書棚の収容量の関係で既に手放してしまった早川書房の作品 を読みたくなるほどに、素敵な回想録でした。 昔のノンフィクションの作品、復刊してくれないかな。『パリは燃えて いるか』は復刊したけれど、他にも読みたい作品が多いんだよな。
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