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フィールドノート古今東西 FENICS100万人のフィールドワーカーシリーズ
定価 ¥3,520
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 古今書院 |
発売年月日 | 2016/05/01 |
JAN | 9784772271349 |
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フィールドノート古今東西
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商品レビュー
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様々な領域の研究者=フィールドワーカーが、自身のフィールドノートの使い方を紹介する。どの記事も、それぞれの研究分野の特徴が出ていて興味深い。洞窟研究者による、泥だらけになること前提のノウハウなどは、おそらくは私には活かす機会はなさそうだけれども、それを聞くだけで研究フィールドの過...
様々な領域の研究者=フィールドワーカーが、自身のフィールドノートの使い方を紹介する。どの記事も、それぞれの研究分野の特徴が出ていて興味深い。洞窟研究者による、泥だらけになること前提のノウハウなどは、おそらくは私には活かす機会はなさそうだけれども、それを聞くだけで研究フィールドの過酷さがにじみ出ていて面白い。
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フィールドノートとは、フィールドワーカーが研究調査の際に携行するノートのことで、古くは「野帳」とも言った。その存在を知ったのは、梅棹忠夫氏の『知的生産の技術』だった。特に何の研究者でもなかった高校生時代だったが、文化人類学という学問と、その研究方法に目を開かされる思いだった。現場...
フィールドノートとは、フィールドワーカーが研究調査の際に携行するノートのことで、古くは「野帳」とも言った。その存在を知ったのは、梅棹忠夫氏の『知的生産の技術』だった。特に何の研究者でもなかった高校生時代だったが、文化人類学という学問と、その研究方法に目を開かされる思いだった。現場で書き込んでいくことや、その調査内容をメンバーで共有してゆくツールとしてのフィールドノートという存在が、それまで漠然と感じていた学者や研究という象牙の塔に閉じこもったかび臭いイメージを払拭するものだった。 今回の本も案に違わず、行動する若き研究者の息吹のようなものが立ち上がってくる爽やかな一冊である。様々な分野で活躍する研究者が、自分の研究調査で使っているフィールドノートを実際に紹介しながら、その使い方について述べる、というものだ。ノートのハード面とソフト面について触れようとすると、研究調査の実態についても触れなくてはならず、それがまた絶好の読み物となっている。当然のことながら、理系の書き手になるわけだが、どの書き手も文章がうまい。達意の名文という言葉があるが、まさにその通りで、文章自体の量はしれているのに、伝えられる情報の量と質が半端ではない。 雨の降る熱帯の島の夜中や湿度100パーセントの洞窟の中といった過酷な条件下で書かれるノートなので、写真で挙げられているノートの字は読みやすいとはいえないが、現場の興奮が伝わってくる。今では、デジタル機器も同時に使う学者も多いが、湿度の高い現場では、かえって機能が維持できないらしい。雨の中でも灯りをともさなくても書き込める、防水機能を持つノートに鉛筆またはシャープペンシル、というのが扱いやすいという。 また、表紙の厚さや色も重要で、ジャングルの中で落としても見つけやすいように明るい黄色の表紙のノートを愛用する学者もいる。たしかに、ダークグリーンのノートだったら、一度落としたら最後二度と見つからないだろう。しっかりした厚手の表紙はメモを取るときに助かるだろうし、ハード面も大事である。 しかし、何より研究調査で訪れた土地のインフォーマントの話が興味深い。文字を持たない人たちの話を聞くときに、ノートをとると訝しがられるというのはよく分かる。その場で記憶して後でノートをとるのだが、疲れていて寝落ちしてしまう、というのも納得だ。文字に頼らない人たちが、身振りや歌を通して記憶してきたことを文字で表すことの限界に気づくこともあるという。どの話も面白かったが、カタツムリを食べる蛇と、何とか食べられまいとするマイマイのしっぽ切りの話が特に印象的だった。
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