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八月の青い蝶 集英社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2016/05/25 |
JAN | 9784087454413 |
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商品レビュー
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14件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
この物語の分岐点は希恵の娘が死産(もしくは、そして恐らくは福子によっての窒息死)したことの様に思う。もし、この子がいれば亮輔にとっては妹、希恵は本物の妾になった。とてもじゃないが、求婚など出来なかっただろう。 それにしても、希恵は幼い。妾になったのにも関わらず、その息子と結婚することが可能であり、それを囲っている強が受け入れると信じて疑わない。彼女の言葉を借りれば「なりたくてなったんじゃない」からなのだろうが、甘い話だ。敗戦で強の心が壊れた状態で希恵を奪い合うことになったら、後味が悪い。臭い物に蓋、である。 男性は生涯少年の様なものだと誰かが書いていたが、それを象徴するかの様な小説だった。誰もが忘れ得ぬ恋をする訳でも、それを実らせる訳でもない。そんな恋があっただけ幸せなのかもしれない。
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戦争を題材としたものは気分が落ち込む哀しい結末しかない物ばかりなので少し苦手でタイトルからは違うタイプを想像していたので、あれ?と期待を裏切られたスタートだった。 死を前にした被爆者の主人公が子供の頃の初恋を回想するが戦時中で今とは全く違う。 出征中にやってきた年若い父の愛人と後...
戦争を題材としたものは気分が落ち込む哀しい結末しかない物ばかりなので少し苦手でタイトルからは違うタイプを想像していたので、あれ?と期待を裏切られたスタートだった。 死を前にした被爆者の主人公が子供の頃の初恋を回想するが戦時中で今とは全く違う。 出征中にやってきた年若い父の愛人と後妻の母とまだ学生の主人公。 昆虫好きから心を通わせた2人の淡い恋。 無惨にも原爆が散らせてしまった。 主人公が自身の被爆体験を語りたくない思いを娘の学校の先生と言い争う場面でハッとした。 確かに原爆を忘れないために語り継がなくてはいけないとよく言われるが、それは体験していない者の意見であって当事者にしてみれば隠して死に怯えながら必死に生きてきて、忘れてしまいたい記憶なのに忘れることが出来ずに付きまとってくる忌まわしい呪いみたいなもの。 それを無理やり引っ張り出して語らせようとするのだから… 辛い思いで本当に酷いものだったのだと初めて気がついた気がした。 翅が少し焼けた青い蝶が特別な種類ではなくてどこにでもいるありふれた種類である事も特別ではない事だと示しているようで時代に翻弄された淡い恋がさらに切ない。
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