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雪まろげ 古手屋喜十為事覚え 新潮文庫
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雪まろげ 古手屋喜十為事覚え 新潮文庫

宇江佐真理(著者)

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雪まろげ 古手屋喜十為事覚え 新潮文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2016/05/01
JAN 9784101199276

雪まろげ

¥110

商品レビュー

4.1

8件のお客様レビュー

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2024/06/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

目次 ・落ち葉踏み締める ・雪まろげ ・紅唐桟 ・こぎん ・鬼 ・再びの秋 古手屋というのは、今でいう古着屋。 江戸時代の庶民は、今よりもはるかに古着に対する抵抗がなかったので、それほど儲かる商売ではないにしても、食うには困らなそう。 そして、古手屋のかたわら、同心の手下でもある。 面白いのは、普通の時代小説では、同心、岡っ引き、下っ引きは、心をひとつにして事件の真相解明に奔走するのだけど、この喜十は、っていうか、同心の上遠野(かどの)平蔵が、ケチでしみったれで人の心を逆なでにする発言を多発する男で、喜十は必ずしも上遠野に絶対的な信頼を置いていない。 しょっちゅう心の中で悪態をついている。(ということは、何か後ろ暗い過去の因縁で同心を手伝うことになったのか?) 最初の『落ち葉踏み締める』がとにかく良くて。 14歳の新太は、父親亡き後5人の弟妹を母と二人で食わせて行かなくてはならない。 本当は寺子屋で勉強をするのが好きだったけれど、苦手なしじみ採りをしながら、毎日をなんとか食いつないでいた。 けれど母親が、まだ赤子の捨吉を「どこかにやってくれ。育ててはいけないから」と新太に言ったことから、運命が狂い始める。 新太はとにかく、弟妹を自分が責任もって食わせていかなければと思いつめていたので、捨吉を捨てたりすることなんて考えられなかったのだけれど、子どものいない優しそうな夫婦者を見つけ(それが喜十とおそめ夫婦)、そっと彼らの店の前に捨吉を捨てる。 どこに捨てたかを母に知られたら面倒なことになると、自分ひとりの胸に閉まっては心を痛めていた新太は、今度はすぐ下の妹が売られていったことを知らされる。 多分吉原に娘を売ったのであろう母は、その後昼間から友だちと酒浸りになり、働かなくなる。 一層弟妹に対して責任を感じる新太。 時折り、そっと捨吉がきちんと育てられている姿を見るだけで、満足だったのに…。 もう新太が不憫で不憫で、途中から決して幸せになれないであろう新太の未来を予想しながら、なんとか幸せな未来を祈りながら読んだのに。 短編集なので、一応それぞれの話は独立しているのだけど、最後の話はまた、彼ら兄弟の運命を大きく変える話となっている。 捨吉が回らぬ口で話す言葉がとてもとてもかわいい。 「今朝のお菜は何だ」 「なっと」 「それから?」 「めそしり(味噌汁)」 「味噌汁の実は何よ」 「たふ(とうふ)とあばらえ(油揚げ)」 「よく言えた。捨吉はお利口だ」 「お利口、お利口」 もう得意げに胸を張っている捨吉のつやつやしたほっぺたが目に浮かんでしまう。 「雪まろげ」とは、雪玉のこと。 捨吉の笑顔のためなら、喜十もおそめも、なんだってする。 それは実の兄も姉も同じ事なので。 やっぱり泣けて泣けてしょうがなかった。 でもきっと、彼らの未来には笑顔があふれていると信じている。

Posted by ブクログ

2024/03/19

同名の舞台を観たことがあったから手にとりました。 が、違った…。 それでも読み進めていくうちに面白くなり一気に読めました。 江戸の庶民?の人情ある暮らしが描写されてていいですね。 これ、作者が亡くなりもう続きが読めないんですね。残念。

Posted by ブクログ

2022/02/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

どこで購入したか記憶していない…シリーズ2冊目だが、一冊目を持っているワケでもない。大好きな宇江佐真理の作品なので手にしたのだと思う。古手屋(古着屋)に同心が手先的な事をやらせている。その事件(?)簿的な短編集。とにかく宇江佐真理のストーリーテリングっぷりが素晴らし過ぎて、あっという間に江戸の生活が立ち上がり、連れて行かれる。古手屋の喜十は正義感などでこの仕事をしている訳では無い、駄賃も無くて嫌々だ。でも、心根が真っ当だから、見て見ぬふりが出来ない…という感じ。始めの一作で宇江佐真理の作品だったと思わされる。父親が亡くなり、母親一人で5人の子供を育てている貧乏長屋の親子。貝を剥いて具にして売ってカツカツの生活、14の長男が蜆を取って、売って助けている。14と言ったら今で言えば中学生だ、寺子屋で勉強出来ると言われていたが、父親が亡くなり、行けていない。現代の話かと思う。親の稼ぎが子の教育格差に繋がるわけだ。母親は12才の長女を吉原に売り飛ばし、更に末っ子の乳飲み子を捨ててくるように長男に言いつける。長男は歯を食いしばって、なるべく良いお家にと、浅草の喜十の家にたどり着く。しかし…すぐ下の弟を連れて様子見に行った事から母親に知れ、たかろうとする母親を手にかけてしまう。やり切れない筋だ。そして、川に身を投げる…、この後誰かが助けに…とか、運良くナントカ…と続きそうだが、そこは宇江佐真理だ。容赦ない、と言うかウソがない。彼は土左衛門となって発見される。リアルでシビアだ。江戸であれ、現代であれきっとどこかで起きていそうで本当に悲しくなる。彼の見た最後の景色が美しい星空で美しいと思えたのが救いだ。そこは決してクローズアップされることは無いのが宇江佐真理の本で、そこが本当にたまらない。この後に続く短編では少しづつ喜十が引き取った捨て子が大きくなり、絡んでくるのが面白い。そして、この子の生き別れた兄姉にも続いていく。同心は決して悪い人ではないが「こすっからい」ままだ。続きが読みたいシリーズだが、それもままならない。それが本当にやり切れない。

Posted by ブクログ

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