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喪服母娘 ひとりみ フランス書院文庫
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喪服母娘 ひとりみ フランス書院文庫

小日向諒(著者)

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喪服母娘 ひとりみ フランス書院文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 フランス書院
発売年月日 2016/03/25
JAN 9784829641439

喪服母娘

¥495

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2016/04/30

未亡人を娶ることで義娘との関係も生まれる中での現実感

38歳の未亡人とその娘18歳の間に挟まる28歳の社会人主人公というシンプルな構図ながら、この未亡人と婚約しているという設定が意表を突いている。亡夫の墓参りからの帰り道より話は始まるが、未亡人を怜悧なキャリアウーマンとして仕事のデキる女、仕事を続ける女として再婚の理由を1つ設けてい...

38歳の未亡人とその娘18歳の間に挟まる28歳の社会人主人公というシンプルな構図ながら、この未亡人と婚約しているという設定が意表を突いている。亡夫の墓参りからの帰り道より話は始まるが、未亡人を怜悧なキャリアウーマンとして仕事のデキる女、仕事を続ける女として再婚の理由を1つ設けている。元より主人公が娘の家庭教師だったという既知の間柄で、その頃から未亡人に想いを馳せていた主人公と、実はその頃より主人公への想いを秘めていた娘という背景から主人公は念願を成就し、義理の娘「義娘」が誕生する形となる。これが物語のゴールとなるパターンは多く見受けられるが、始まりとなることが意表を突く設定と言える。ここから関係が一転するからである。余談ながらタイトルにある喪服の場面は序盤のみである。 関係が一転する大きな要素は作中に漂う現実性と言えよう。仕事のデキる女ながら正しく母であろうとも努める未亡人は娘を溺愛している。自分の幸せを噛み締めながらも娘の幸せを一番に願うのである。これが物語のクライマックスとして起承転結の「転」の役割を担う。未亡人にとっては切ない結果を自ら選ぶこととなり、この未亡人をメインヒロインと捉えて読むとがっかりしてしまう展開ともなるのだが、本作は母娘のダブルヒロインなのだと思う。娘の想いを優先させること、つまり、最後まで母の矜持を保った未亡人に返ってきた娘からのプレゼントは、未亡人の「母」からの解放であり、1人の「女」になることだった。 本作のように母娘が同時に1人の男を愛することなないにしても、母でありながら恋人になるのは現在のシングルマザーにとっても今後の生き方のテーマの1つかもしれず、母でありながら女である、あるいは女でありながら母であるといった現実的な心情がそこはかとなく漂うことが本作の特色と言えるのかもしれない。サブタイトルの『ひとりみ』はなかなか意味深である。 冒頭の時点では婚約者である未亡人がキッチンで背後から迫られる官能描写があり、この淫猥度が実に高い。普段は清楚で奥ゆかしく、職場ではクールにキメている美熟女が年下の男に責め込まれて喘ぐギャップが何とも艶めかしい。代わりに中盤の時点では義娘である生娘とは戯れに終始した面があって官能的にはやや後退してしまうのは否めないところか。それでも未亡人が「女」となった終盤からは積極さも見せ始め、同時に秘められていたM性も開花するため、最後はなかなかイイ感じの歪な関係に発展していたように思う。どちらにせよ1つの場面をじっくり描く作風において今回は母娘が愛情たっぷりに関係を持とうとする描写なので、その分だけ直接的な官能興奮要素は削られたのかもしれない。 また、未亡人の変化によって主人公もまたご主人様然と振る舞う、いわゆる「荒ぶる主人公」と化していくのだが、今回においてはややもすると蛇足だったように思わないでもない。

DSK

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