武蔵くんと村山さんは付き合ってみた。(3) アース・スターC

なるあすく(著者)

• 販売会社／発売会社: 泰文堂
• 発売年月日: 2016/03/12
• JAN: 9784803008951

商品レビュー

2016/04/12

ついに、この作品も３巻まで来たか
しかも、２か月連続刊行で、今月にゃ、（４）が出るらしい
でも、人気があるのは当然だろう、こんだけ、読んでいて胸がキュンキュンしてくるんだから
どう言ったらいいものか、何でしょうね、この作品の良さを端的に言い表すなら
読み手の多くが共感を抱けるリアリティが、登場人物らの作る空気にあるからこそ、でしょうか
手を繋いで帰るのにも、相手の名前を真正面から顔を見て呼ぶのにも、ちょっとした用件なのに電話をかけるだけでも、とんでもない量の勇気を振り絞らねばならない
何かしら、この手の「はじめて」が生むプレッシャーに押し潰されかけ、どうにか乗り越えられた瞬間の達成感、それは読み手も経験した事があるんじゃないだろうか
武蔵君と村山さんが一緒に作っている初々しさの破壊力は、ホントに絶大
しみじみ、人を好きでいられるってのは何にも代えがたい幸せだな、と感じさせてくれる、質の良いラブコメだ
四コマ漫画って形式が、読み手にイイ意味でのもどかしさを覚えさせる、二人のマイペースっぷりを止めもせず、かつ、無理な加速もさせず、魅力を引き出せている。自分の色と味を存分に濃く出来る作風を掴んでいるなるあすく先生、さすがだ
先巻のラストで、むさむらカップルにつまらないチャチャを入れるんじゃ、と危惧しかけた本町さんだったが、思ってたよりイイ人だった。ラブコメにゃ、この手の視点を持ったキャラクターも必要だ
この（３）でも、他の少女漫画なら「遅い」と言われそうではあるが、この作品にしちゃ、トントン拍子に、恋人らしいイベントが立て続けに起こっている
その中でも、やはり、目玉と言えるのは、村山さんの下の名がついに判明するトコだろう
まぁ、確かに変わった名前であるのは否定できない。けど、名前ってのは、こうあって欲しいって親の願いがしっかり籠っている訳だから、他人が笑っていいものでもあるまい
村山さんがコンプレックスに感じていた下の名前を、下心もなく、本気で褒めた武蔵君、君は男の鑑だよ、うん。私の中で、またもや、株が上昇だ
また、セクシーさ炸裂な水着回が収録されているのも、男としちゃ、ホントに嬉しい
言い方こそセクハラに当たっちゃうかも知れないが、こんだけ、胸が豊満なヒロインなのに、水着を着なかったら、もったないですもんね
割りかし、武蔵君と村山さんの恋仲が好いペースで進展している一方で、神明君と伊奈平さんは相変わらず。伊奈平ちゃんが現在のスキンシップで満足していて、これ以上はメンタルがもたない、と思っているなら、今はこれくらいで十分なんだろう。まぁ、それに、男の子の中で、女の子へのＬｉｋｅがＬＯＶＥに変わるのは、ちょっとしたキッカケだ。独特なノリで伊奈平ちゃんに接している神明君だが、ふとした時に恋心を撃ち抜かれる可能性も小さくない
会長コンビは、何でしょうね、付き合いが長すぎて、最早、その雰囲気は幼馴染も恋人もすっ飛ばして、熟練の夫婦っぽい。ただ、こちらは巻の方が、空が男だって事を自覚したら、今までの付き合い方が出来なくなりそうだな。アワアワする巻も可愛そうだ
どのストーリーも良いが、姉妹の仲睦まじさを描いた、特別描き下ろし「村山さんのお姉ちゃん～水着編～」はお勧め。ラスト１ページは、思わず、〇チョウ倶楽部さんの真似をしちゃいたくなるくらい、眼福もの。今後、お姉さんがメインだったり、武蔵君と絡む話も見たいもんだ。また、武蔵君が村山さんが来た別バージョンの水着を目の当たりにしちゃってブッ倒れるって醜態も、これはこれで理解できる
この台詞を引用に選んだのは、誰かを好きって気持ちが、どんだけ凄いエネルギーか、が伝わってきたので。単純と言ってしまえば、それまでだが、人を好きになるってのは理屈で計れるもんじゃない。案外、心が重く沈んでしまった時は、相手の顔を見るよりも、電話で声を聞く方が効果的なのかもなぁ