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ターミナルから荒れ地へ 「アメリカ」なき時代のアメリカ文学
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2016/03/01 |
JAN | 9784120048333 |
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ターミナルから荒れ地へ
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理想的で立派な「アメリカ文学」を追い求める時代は終わり、移民作家の台頭によって変化しつつあるアメリカの小説たち。〈ターミナル化〉と〈荒れ地化〉をキーワードに、翻訳者が新しい時代の小説の地図を描く文学ガイド。 グローバル化によって「テクノロジーと移動が生み出す世界、かたやそれと...
理想的で立派な「アメリカ文学」を追い求める時代は終わり、移民作家の台頭によって変化しつつあるアメリカの小説たち。〈ターミナル化〉と〈荒れ地化〉をキーワードに、翻訳者が新しい時代の小説の地図を描く文学ガイド。 グローバル化によって「テクノロジーと移動が生み出す世界、かたやそれと同時に進行していく不毛化という両極」に身を置きながら書かれた世界文学(アメリカに限らない)の特徴を、著者は〈ターミナル化〉+〈荒れ地化〉と呼んでいる。ターミナルが多様性のポジティヴな面を指しているとすれば(その分ビジネスライクでもある)、荒れ地はポストアポカリプスSFが現実化したかのような混沌であり、従来の価値観では育たなかった新しい芽が生えてくる自由さの象徴にもなっている。グローバル化をこのように言い換えるのは文学以外にも有効だと思い、三品輝起『雑貨の終わり』の感想にも援用させてもらった。 第Ⅲ部の「伯父さんと戦争」にまとめられているように、〈マッチョなアメリカとの別れ〉というテーマが全体に通底しており、2016年当時の空気が思いだされる。女性作家も取り上げられているけれど、フェミニズムやクィアな小説としてまっすぐ語ることはなく、多様化によってメインストリームに浮上してきたカウンターというくらいの扱い。〈荒れ地化〉した文学界でむしろ生き生きと芽を伸ばしている人たち、とは見なされているか。 そして藤井さんに限った話ではないのだが、個人的にユージェニデスの『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』について話すとき、語り手「ぼくら」の有害さに触れない評者が気になって仕方がない。全てが「ぼくら」の妄想かもしれない、とすることで彼らの暴力性に言及しているつもりなのかもしれないけれど、その妄想こそが現実の「姉妹たち」を傷つけ、犯したということを描いた小説だと私は思っている。あの小説に書かれたことをある時代特有の「切なさ」に還元されるなんて堪ったもんじゃない。
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軽妙洒脱にアメリカ文学を語り、紹介していく。僕は、まるでラジオDJを聞いているような感覚を覚えた。 奇想、大陸横断、戦争文学における父性の不在や英語を母語としない者による英語による創作。テーマごとに比較や比喩を織り交ぜ、本屋の書棚から抜き取り、手にもってみたくなるように読み...
軽妙洒脱にアメリカ文学を語り、紹介していく。僕は、まるでラジオDJを聞いているような感覚を覚えた。 奇想、大陸横断、戦争文学における父性の不在や英語を母語としない者による英語による創作。テーマごとに比較や比喩を織り交ぜ、本屋の書棚から抜き取り、手にもってみたくなるように読み解かれていく。 僕が今まで読んだ本のうち、最も良かったと思う一冊『すべての見えない光』を翻訳されたのが、本書の著者でいらっしゃる。原作の持つ面白さはもちろんだが、翻訳者の藤井光さんの翻訳があってこその感動だったんだなと、強く思った。
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そう言えばこの著者の訳した作品を読めていないことに気づかされる。私自身の勉強不足を痛感させられる。アメリカ文学を中心にグローバルに(村上春樹も視野に入れて)文学を概観しようとする姿勢は生真面目そのもので、むろんややユーモアも交えてはいるのだけどそのギャグは滑っている。結果として読...
そう言えばこの著者の訳した作品を読めていないことに気づかされる。私自身の勉強不足を痛感させられる。アメリカ文学を中心にグローバルに(村上春樹も視野に入れて)文学を概観しようとする姿勢は生真面目そのもので、むろんややユーモアも交えてはいるのだけどそのギャグは滑っている。結果として読み物としては良く言えば真摯な英文学研究のドキュメントとなっており、悪く言えばもう少しコアに/冒険したものを読みたかったかなというところ。だが断じて駄本ではない。著者が訳する作家をもっと読み込み、ディープに奇想と戯れたいと思わされた
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