春秋あばれ獅子 他一編 山手樹一郎長編時代小説全集 28 春陽文庫28

山手樹一郎(著者)

• 販売会社／発売会社: 春陽堂書店
• 発売年月日: 1978/01/25
• JAN: 9784394101284

商品レビュー

2024/11/09

「春秋あばれ獅子」と「和蘭囃子」の二作品を収録しています。

「春秋あばれ獅子」は、作州藩士の相良矢太郎と、前藩主の娘である美保の恋物語です。矢太郎は、主である万之助が美保と結婚する意思があることを伝えるために彼女のもとを訪れますが、美保は矢太郎への恋を告白します。そんな折、嫡子である万之助を廃して、将軍家から養子を迎え入れるという話が起こり、立花十三郎が実現に向けて画策をおこないます。美保への想いを胸にいだきながら脱藩した矢太郎は、小扇という女に金をねらわれながらも彼女といっしょに旅をすることになりますが、十三郎のたくらみによって美保が心ならずも徳川家の養子と結婚させられることになっていることを知り、阻止するために仲間たちとともに立ちあがります。

「和蘭囃子」は、シーボルトのもとで学んだ若き蘭医の柳小路蘭平が主人公の物語です。旅の途中、お万という女が彼の懐をねらい仮病をよそおって接近しますが、名医の蘭平はたちまち彼女のうそを見抜きます。しかし蘭平は、鷹揚とかまえて彼女を責めることなく、そんな彼女はすっかり蘭平にほれ込んでしまいます。蘭平といっしょになりたいと彼のあとを追うお万と旅路をともにしつつ、蘭平は何人もの病人たちを苦境から救っていきます。