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震災学入門 死生観からの社会構想 ちくま新書1171
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震災学入門 死生観からの社会構想 ちくま新書1171

金菱清(著者)

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震災学入門 死生観からの社会構想 ちくま新書1171

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2016/02/10
JAN 9784480068781

震災学入門

¥220

商品レビュー

4.3

7件のお客様レビュー

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2019/02/28

カテゴリ:図書館企画展示 2016年度第9回図書館企画展示 「災害を識る」 展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。 開催期間:2017年3月1日(水) ~ 2017年4月15日(金) 開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペー...

カテゴリ:図書館企画展示 2016年度第9回図書館企画展示 「災害を識る」 展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。 開催期間:2017年3月1日(水) ~ 2017年4月15日(金) 開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

Posted by ブクログ

2016/09/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 海に背をむけることなく海で生業を営む人びとは、海と遠く離れて住むようなことはない。たとえ命や家屋を流されたとしても、津波を日常の連続性のなかに組み込んでいるのである。漁師や海の近くで暮らす人びとでも、流されればまた建てればいいだけの話とかなり割り切った言い方をする人はかなりの数にのぼる。  しかし、このような日々の暮らしの水準における時間は、自然科学者のフラットな時間軸に対して、かなり濃くて、自分が生きる前の時間は、30年前も何万年前と同じように現在から比べれば薄いのである。(p.39)  悲しみは、それだけ自分の人生に大きなものがもたらされていたことの証であり、死者は目には見えないが、見えないことが悲しみを媒介にして、実在をよりいっそう強く私たちに感じさせる、という。彼の言明は、死を彼岸に追いやる現代の趨勢に抵抗して、家族を突然亡くした人びとの感覚と非常に重なっているといえるだろう。(pp.98-99)  危険地域に堤防をつくるのは行政の仕事、浸水想定区域をハザードマップで示すのも行政の仕事、避難の必要があれば防災無線で知らせてくれる、これら自分の命を守ることに対する主体性が失われ、災害過保護的状態が顕著で、その結果として人為的につくり上げた安全は、物理的、確率的な安全性を高めたが、人間や社会の脆弱性をかえって高めることになっている。(pp.109-110)  原発避難とは何か。そこには直接的な放射能の被害は今のところない。しかし、原発事故から派生して避難生活のなかで食材や衣料を要領よく選べないことや、常に避難先で周囲の目を気にして生活しなければいけない暮らしがあった。いつ終わるとも知れない避難生活が彼女ら彼らの未来を閉ざすことになる。普段当たり前のようにやっていたことが環境が変わることによって、身体がついていかない歯がゆさやぎこちなさ、誰も知らないところで、自分のふるまいがあざ笑われているのではないかという過重な重圧を感じることになる。(p,170)

Posted by ブクログ

2016/06/11

■被災者同士のタブー。家族を亡くした遺族から話を切り出されれば自分たちも話すがそうでない人に対しては話さない。家族を亡くした遺族も亡くならなかった人も一線をお互いに設けている。 ■「記録筆記法」は被災者自らが大災害で経験した事象についていつ誰がどこで何をどのようにしたのかを書き綴...

■被災者同士のタブー。家族を亡くした遺族から話を切り出されれば自分たちも話すがそうでない人に対しては話さない。家族を亡くした遺族も亡くならなかった人も一線をお互いに設けている。 ■「記録筆記法」は被災者自らが大災害で経験した事象についていつ誰がどこで何をどのようにしたのかを書き綴っていくというシンプルなもの。 ■災害や戦争など生き残った人々が強迫自責を追うとされる「サバイバーズ・ギルト」に囚われている被災者遺族は「そのとき何かができたはずである」「亡くなった人に申し訳ない」という罪悪感を心の中に強く刻みつけている。 ■痛みは取り除くよりも,温存すること ■ポーリン・ボスは「曖昧な喪失」(行方不明)を「明確な喪失」と区別し,その状態が最終的か一時的かが不明であるため,残された人々は困惑し問題解決に向かうことができないとしている。 ■「曖昧な喪失」が多くの人々に長期にわたって深刻なストレスフルな状態を引き起こす一方で,経験的知見を加えながら失われていないものを明らかにすることを通じて,経験者がその人生を前進させている。 ■国の中央防災会議「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」において,二つの基準をつくる ・L1:数十年から百数十年に一度の頻度で訪れる規模の津波の高さ ・L2:数百年から1000年に一度の割合で訪れる当該地域で最大規模の津波の高さ ■国や自治体は津波被害を完全に封じることは不可能だとしてL2対策に舵を切っている ■防災は行政の役割という考え方が当たり前になっているがこれはとても危険。自分の命を守ることに対する主体性が失われ,災害過保護状態が顕著で,その結果として人為的に作り上げた安全は,物理的,確率的な安全性を高めたが,人間や社会の脆弱性をかえって高めることになっている(片田敏孝)。 ■宮城県気仙沼地域が市を挙げて巨大な防潮堤に反対している理由を探ってみると必ずしも費用対効果論では収まり切らない「文化的価値」が歴史的にみて比重が高く防潮堤をつくらない方向に向かわせていることが分かる。 ■「沖出し」は,水深50メートルの沖合に行くことができれば津波の被害受けないとされる。 ■「津波」という言葉自体,三陸沿岸で使われるようになったのも明治29年の大津波のときからで,それ以前は「ヨダ」という言葉を用いており,海霊を表す「ヨナ」に近いものとして単なる海のことではなく,そこには意志を感じるものが含まれている。 ■D・P・アルドリッチは,中央集権的な復興政策の計画の大半がうまくいかない背景には,地域が持つソーシャル・キャピタルの機能を軽視している点を挙げ,公的及び民間部門の意思決定者は災害前後の各段階においてソーシャル・キャピタルを高めるような政策を構築・適用していく必要性を説く。 ■避難生活を強いられ,初めての都市の暮らし,そこには匿名性でありながら,誰かに常に見られている「まなざしの地獄」がある。

Posted by ブクログ

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