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色覚差別と語りづらさの社会学 エピファニーと声と耳
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色覚差別と語りづらさの社会学 エピファニーと声と耳

徳川直人(著者)

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色覚差別と語りづらさの社会学 エピファニーと声と耳

定価 ¥3,850

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 生活書院
発売年月日 2016/02/03
JAN 9784865000481

色覚差別と語りづらさの社会学

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2016/04/15

重い本である。自分自身「赤緑色盲」の徳川さんが、社会学者の目から社会学の方法を通し(これはよくわからなかったが)、自分の来し方と、これまでの色覚検査の歴史、社会の言説を振り返ったものである。過去、いわゆる色盲色弱者は検査によって、職業選択の制限を宣告されてきたが、1990年代に高...

重い本である。自分自身「赤緑色盲」の徳川さんが、社会学者の目から社会学の方法を通し(これはよくわからなかったが)、自分の来し方と、これまでの色覚検査の歴史、社会の言説を振り返ったものである。過去、いわゆる色盲色弱者は検査によって、職業選択の制限を宣告されてきたが、1990年代に高柳さんの『つくられた差別「色盲」』がでたことをきっかけに、色覚検査が廃止され、進学や就職時における制限がかなり寛和された。しかし、それで問題が解決されたのかと徳川さんは問いかける。そもそも、色覚検査は人間を振るい分けるだけで、社会としてなにをすべきかを不問にしてきた。たとえば、銀行は伝票の色分けが区別できないということで、かつて就職に制限を設けてきたというが、それは色以外のもので区別すればすむことである。信号にしても、外国では、色だけでなく形を変えることで区別を表す工夫がなされているという。信号の場合は位置の問題もある。あれを順不同にして色覚を検査する方法もあったようだが、それは色による識別を絶対化するものにすぎない。ユニクロなどでは、色名を製品に添えている。こうしたことで、日本では静岡県の人口に匹敵するという300万の人たちの不便を少しは解決することができる。 色覚検査表としては石原式検査表が有名だが、これは本来軍隊での徴兵検査のためのもので、きわめてよくできたものだったらしい。ところが、これが一般人に対しても用いられたことで、「異常」と宣告された児童は将来に対し必要以上の自粛、制限を受けてきた。それが撤廃されたことは、衆目の中で奇異の目で見られてきた人たちを救いはした。しかし、逆に、検査がなくなったことで、夢を持ってある職業に就こうとしたとき、その段階で自分の色覚が一般人とは違うことを知る不幸につながることにもなった。検査の撤廃のあと、社会ではカラーバリアフリーやユニバーサルデザインというものが唱えられるようになった。ぼくの勤める大学の名古屋にある校舎はその認証をもらっているほどだ。(どこに工夫をこらしたかはわからないが)実際、東京の地下鉄路線図のように、色によってだけいろんなものを区別することは、色盲色弱者でなくても不便を強いることになる。だから、それはすべての人にやさしくすることなのだというわけである。ちなみに、過去色覚異常者による列車事故が例に挙げられることがあるが、それが色覚だけによって起こったかどうかは疑わしい。事故というのは複合的なものだからである。石原式検査表の石原さんでさえも、色が見分けられないことで事故が起こった例はいまだその例を聞かないとまで言っているのである(p135)  タイトルの「語りづらさ」というのは、他の目に見える障害と違い、社会が当事者の悩みがわからずどう扱っていいかわからいということもあるし、当事者もおおっぴらに告白するのをためらい、それによって相互にわけのわからない状況がうまれつつあるとぼくは理解した。

Posted by ブクログ

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