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唐物と日本のわび 淡交新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 淡交社 |
発売年月日 | 2016/01/01 |
JAN | 9784473040602 |
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唐物と日本のわび
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商品レビュー
4.5
2件のお客様レビュー
中国人でしかも文化史の研究者の観点から茶の湯を見れるのは大変ありがたい。 やはり国ぶりとして発展した茶の湯も当然原点は異国ぶりだったわけで、著者が茶の湯に多くの中国の姿を認めて驚くのも頷ける。 唐物は伽羅、きゃらのものとする解釈。中国ではそこら辺に転がっている小壷が一国の価値を持...
中国人でしかも文化史の研究者の観点から茶の湯を見れるのは大変ありがたい。 やはり国ぶりとして発展した茶の湯も当然原点は異国ぶりだったわけで、著者が茶の湯に多くの中国の姿を認めて驚くのも頷ける。 唐物は伽羅、きゃらのものとする解釈。中国ではそこら辺に転がっている小壷が一国の価値を持つ茶入になったこと。中国の田舎の飯碗のような珠光青磁、それは景徳鎮の染付が流行って龍泉窯が南宋時代の栄光を失って青磁が廃れていたことと関連するという説。中国人が青磁の色にこだわったのは碧玉を求めようとしたからで、それを実現した龍泉窯の粉青釉青磁だったために日本で重宝され、利休がひび割れた青磁の花入と絹を打つ砧のひびきにかけて砧と名付けたという説。侘傺(たてい)という古典中国語が日本でわぶと訓読されて侘びの概念になった。砧の恋しい人を思う音が侘びに繋がる。宋代の抹茶が白色だったために流行った黒釉の天目は、元代を経て明代になると葉茶による泡茶法が広まり白磁茶碗がよしとされて中国では廃れた。ただその黒は利休の樂茶碗に受け継がれた。曜変天目は天からの警告と見做され忌避されたために中国では残らなかった。牧谿の絵や破れ虚堂が中国でなく日本で尊重されたのは禅の受容があったから。釜で煎じた茶を汲むと茶液の上に花が浮かび、それが棗の花のようだと茶経にあった。范鎮が持っていた小黒木合子から禅僧が持ち帰った黒漆の合子が利休の黒棗に繋がるとする説。また、黒棗は神仙の食べ物で、王質爛柯の伝説とも繋がる。堆朱の香合は暗香と幽玄を感じさせるから室町人に賞翫されたのではないかとする説。屈輪紋は皇帝以外使えない龍紋の代わりに龍とともにある雲を模して漢代人が愛し、それが宋代に発展したもの。陸羽の文人茶と侘茶で用途と名前が一致する風炉。陸羽は倹の茶として竹を取り入れていて、それが利休の竹の花入に繋がった。交趾はベトナム北部でなく明末清初の福建省漳州窯で焼かれていた。交趾が会記にたびたび出てくるのは江戸中期からで、戦乱で廃れた景徳鎮窯などの代わりに需要に応えたのが交趾だったとする説。染付は織部に注目されたが、それは貫入を賞翫する土壌があった日本で、織部が好む虫喰いがあったからとする説。五良大甫呉祥瑞造の銘は、遠州は見ていないとし、遠州注文の祥瑞の写として1800年前後に日本で別れたとする説。諸葛亮も財源として目をつけた蜀江の錦は巴蜀という名前の持つ遥遠たる山国のイメージではとする説。最後には現代中国がなぜ祖先がつくり得た唐物をつくり得ないのかと問い、それは蘭を愛する気持ちを失ったからとしている。 とにかくこれだけ内容が豊富で大変勉強になる。著者の主著の妥当性は今後も折りに触れて考えていきたい。
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五島美術館の「中国の陶芸展」で出会ったこの本。 来日して茶の湯に出会い、入門した日中比較文化研究者でいらっしゃる中国人の彭丹さん。 中国から取り入れられた茶の湯が、日本の中で独自の茶道として続いていく不思議さや発見を中国人の視点から知ることができ、本当におもしろく有意義でした。...
五島美術館の「中国の陶芸展」で出会ったこの本。 来日して茶の湯に出会い、入門した日中比較文化研究者でいらっしゃる中国人の彭丹さん。 中国から取り入れられた茶の湯が、日本の中で独自の茶道として続いていく不思議さや発見を中国人の視点から知ることができ、本当におもしろく有意義でした。 日本で珍重される唐物が、中国ではそれほどでもなかったり、今では知る人もいないようなものだったり、文化や物の価値はその物にまつわるストーリーや人々の想いで決まるのだなという驚きもありました。 唐物が日本の茶の湯に取り入れられ、どのように「わび」となるか。 22の茶道具について、日中の歴史と共に著者との出会いや想いが語られていてとても興味深く、勉強になり、いろいろな唐物を見たいなと思いました。
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