真珠湾の真実 歴史修正主義は何を隠したか 平凡社新書796

柴山哲也(著者)

• 販売会社／発売会社: 平凡社
• 発売年月日: 2015/11/01
• JAN: 9784582857962

商品レビュー

2016/07/01

特殊潜航艇が戦艦アリゾナを魚雷攻撃で撃沈されたことは事実ではない

沖縄からのハワイ移民は本土からの移民よりも後発
本土からの移民は山口、広島、神奈川の出身者が多く、11885年の日布両国の政府間契約で官約移民といわれた出稼ぎ移民だった

沖縄移民 1902から　当山久三

ライフ社長　ヘンリールース　中国国民党の駐米大使のようだった

太平洋戦争と石油　2004

2016/04/10

●：引用。→：感想。

●結局、ハワイの「勝った組」の運動が解散声明を出したのは１９７７年（昭和５２年）１１月のことで、戦時中から連綿と続いた日本勝利の願望と夢はここで消滅したことになる。敗戦後３０余年もの間、この運動が続いたということになる。折りしも「勝った組」の運動消滅は、戦後日本の高度成長期と重なっている。（略）いずれにせよ、ハワイの「勝った組」は、本当の勝ち組となって、その役割を終えたとみることもできるだろう。→「勝ち組」の話は、ブラジルだけと思っていたが、南洋群島でも、ハワイでもあったことを知った。ハワイの「勝った組」が、本当の「勝ち組」になったという言説は、高度成長期にブラジルから帰国した「勝ち組」の人が、「なんだ、やはり日本は勝ったんじゃないか」と言ったという話を彷彿させる。
●日中事変を契機に始まった米国のマスメディアの持続的な中国報道が、真珠湾直前の日米交渉で日本にはマイナスに働き、現状維持の「暫定協定案」から強硬な「ハル・ノート」の原則論へと米国を引き戻した日米交渉の結果に何らかの影響を与えたと考えられる。→「昭和史講義－最新研究で見る戦争への道」参照。
●アメリカの著名な歴史学者でコロンビア大学教授のキャロル・グラックはシカゴでのＡＡＳ開催時に「日本の歴史は日本だけのものではない。日本の歴史は世界に属している。当然、日本史を研究する他国の研究者もいる。ＡＡＳでの議論は日本史が世界史に属することを明らかにしている」という趣旨の公園をしたことがあった。
●長年、日本の右傾化問題を考え続け、思い当たった一つの結論は、日本人が自力であの戦争を総括しなかったからではないか、ということだった。３００万人死んだ悲惨な敗戦で政府も国民もポツダム宣言を無条件に受け入れざるを得ず、東京裁判でも一方的に裁かれた。ＧＨＱに武装解除され、憲法も押し付けられたという敗戦国指導部の抑圧された被害者意識が、７０年間ずっとわだかまり続けた。他国に与えた苦しみに思いを致す心の余裕がなかったのである。
●戦争の原点となった「真珠湾の真実」を知るためには、これまでに解明された史実を再検証し、日本の視点、アメリカの視点、さらに奇襲攻撃を受けたハワイ側の視点などを調査して多用な見方を組み合わせることで、新しい真珠湾の実像が立体的に見えてくるのではないかと考えた。真珠湾の歴史は、大東亜戦争史観と太平洋戦争史観の日米二極に分裂した中にあるのではなく、世界の歴史の中に正しく位置づける必要があるのだ。

2016/03/16

最終章で歴史修正主義への痛烈な批判が続く。著者が真に述べたかったことかなと思えてくる。国内で強弁を押し通しても、世界では通用しないと一蹴する。

私には戦前のあんな時代を懐かしむ人がいるのを不思議としか捉えられない。私も司馬遼太郎と同じく戦後の時代が好きだ。