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指揮官の条件 講談社現代新書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2015/10/01 |
JAN | 9784062883399 |
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商品レビュー
3.9
9件のお客様レビュー
国を守る自衛官がいい加減で適当な気持ちで任務に当たってしまったら、国家が数千億を投じた軍艦や戦闘機などの損失に繋がる。民間企業ならクビや降格で済まされるだろうが、自衛官もクビにすればいいという単純な話では済まされない。彼らには国を守るという他のどの組織も持たない使命感と、国民の血...
国を守る自衛官がいい加減で適当な気持ちで任務に当たってしまったら、国家が数千億を投じた軍艦や戦闘機などの損失に繋がる。民間企業ならクビや降格で済まされるだろうが、自衛官もクビにすればいいという単純な話では済まされない。彼らには国を守るという他のどの組織も持たない使命感と、国民の血税の上に成り立つ国民の資産を扱うという極度の緊張感もあるだろう。 本書は海上自衛隊で護衛艦隊司令官や横須賀地方総監などを務め上げた元海上自衛官による組織統率の指南書と言える。海上自衛隊と言えば五万人規模の組織であるから、民間企業で言ってもかなりの規模の組織体である。 大きな組織、様々な隊で構成される組織であるからこそ、目的達成には上に立つ者の指揮能力に大きく依存する。また、それを可能にするのは日々厳しい訓練に耐え、肉体的・精神的に鍛え上げられた自衛官の努力に支えられている。 本書で記載された内容は民間企業の管理職にも大いに参考になる。私も筆者に比べる事も憚れるほどの僅かばかりの人数であるが部下がいる。読んで納得感が充分得られる。 指揮される側の利益代表になってはいけないといった言葉には管理職なりたての若い自分を今でも恥ずかしく思い起こされると共に、今でもそうなってないかチェックするポイントだ。また、細かいことばかり見る、部下に好かれようとする、楽ばかり求めていないか、常に俯瞰して見て部下を察し、そうしながらも行くべき方向性を示して、部下の苦しみを自分ごとの様に思う。これらは日々できているか未だ不安を抱えながら職にあたっている。 時には感情に流されてしまう。ついつい甘い事も言う。自らも明日でいいか、と甘える。部下はそうした上司の悪いところを全て真似する(中には反面教師にするものもいるが)。自制心とは非常に重要な要素である事は、本書を読むと痛いほど伝わってくる。 また、企業においても目的達成のために必要なのは、下手な愛社精神では無く達成に十分なスキルであると説く。現状・状況に応じた今必要なスキルが何かを踏まえた教育の重要性を改めて感じる。愛国心(愛社精神)よりも、責任感・使命感を重視し、それが自衛隊という組織に欠けてしまったら、それは単なる「暴力装置」と化してしまう。職場でも信頼できるのは、そうした責任感・使命感のある人だし、私の部下にもいるが、自分の持ち場に誠実に寡黙にこつこつと自分の役割を果たす人こそ大切な人材だ。彼はほとんど喋らないが、資料作りや面倒な業務処理も誰よりも遅くまで独り残って片付けて行く。文句も言わずに。この責任感は毎日誠実に仕事して少しずつ身につけるしかないと思う。 また、目的達成に必要な士気についても触れる。士気を維持するには終わりの見える仕事ばかりさせてはダメで、実践的に終わりの見えない訓練を続ける事で持続力をつけさせ、モチベーションを落とさない組織作りが必要だと感じた。 そして、点(最も細かい仕事の単位)が見えなければ線が引けない(仕事と仕事の関連性)、線が引けない者に面は作れない(全体の整合性)。この言葉は正に自分が管理する組織を見て大いに感じる。担当者は基本的には自分の仕事に閉じこもる。その中から時間をかけて目標地点に向かい、他人の仕事と合流して線を成す。最終的にそれらを束ね揚げ面にし、更に効果を底上げして立方体にする。私もよくやってしまう、点をあれこれ細かく指示する必要はなく部下の仕事に任せる(多少の誤りは容認する)様にしないと前述の立方体を作れる人材が育たない。 また組織のメンバーには末端まで考えさせる事が重要だ。組織全体が思考できないと目的を早く達成することが出来ないし、思考を繰り返すことなく意識しなくてもできる状態には成らない。 チームのリーダー職にはよく言うが、これも全員に徹底したい一回級上位の考え方に立つ思考力。上位者の立場で考えるから、中身の濃い補佐ができるようになる。要は全て教育=人づくりだと感じる。 途中羽生善治さんの言葉を紹介するが、ミスをして困難な局面に陥っても反省しない。打開に向けて瞬時に次の判断、手を打たないといけない。これにはトラブルに陥ってすぐに原因追及したがる部下の顔が思い浮かぶ。そんなの後回しで、今の業務を再開・継続させることが最優先なのだ。この辺りは将棋だけに限らず、自衛隊でも民間企業でも全く同じことである。反省は全てが終わってからで、戦いの最中ではない。 他にも沢山の言葉・教訓に溢れる本書は、組織を統率する管理職におすすめしたい。順風に至っては細心に、逆風に至っては大胆に、常に地球儀を置いて仕事する山本五十六など、私も自身の仕事を振り返りながら、反省・改善すべき点と促進すべき点を頭の中で充分整理することが出来た。
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元海上自衛隊の幹部で、インド洋での自衛隊の活動に参加し、東日本大震災では原発の処理にあたった著者が、指揮官のありかたを語った1冊。印象に残ったのは、ピンチになったとき、乗組員はみな、艦長の顔を見る、という言葉。リーダーは最後まで責任を持たねばならない。統率が取れていて、しかもコミ...
元海上自衛隊の幹部で、インド洋での自衛隊の活動に参加し、東日本大震災では原発の処理にあたった著者が、指揮官のありかたを語った1冊。印象に残ったのは、ピンチになったとき、乗組員はみな、艦長の顔を見る、という言葉。リーダーは最後まで責任を持たねばならない。統率が取れていて、しかもコミュニケーションが円滑な組織をいかにして作るかについて、学ぶところの多い1冊でした。
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180120 中央図書館 海将まで進んだ元海上自衛官による熱血で規律正しい組織統率の心得。部下とのコミュニケーション、静謐で澄明な意思決定の態勢を保てるよう、心身を鍛えろ、というようなところ。
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