花のある大地に生きる ノルマンディーの農園から パリのトップフロリストの自然に寄り添う暮らしと花

カール・フシュ(著者)

• 販売会社／発売会社: 誠文堂新光社
• 発売年月日: 2015/10/01
• JAN: 9784416715284

商品レビュー

2021/09/25

『カール・フシュ　花のある大地に生きる　ノルマンディの農園から』荒井好子(著)
カール・フシュ。 パリ近郊で1971年に生まれる。園芸学校を卒業後、パリの一流フロリスト ジョルジュ・フランソワ（シャンペトル：野の花やポタージェ：野菜の花束で有名）の店で勤務後、弱冠24歳でパリ16区の高級住宅街で1995年に店をオープンする。
トップフローリストになってのち、週末はノルマンディ地方ペルシュ（パリから車で１時間半）に所有する60ヘクタールの農園で牛を飼い、有機野菜や花を育て、19世紀に建築された古い農家で静かな田園生活を送る暮らしをする。
自分らしい生き方を求めて、自然に囲まれていたいと軸足を田舎へ移した。「本当に豊かな暮らし」とは何かを追求する。建物を修復し、季節の移ろいを感じながら過ごす。牛の世話、野菜畑、花畑、果樹の世話、ジュース作り、ジャム作りなどを自ら手がけ、自然の厳しさ、優しさ、美しさ、そのすべてを受け入れる生活をしている。パリとペルシュを行き来しながら、エコロジストとして大地に根差して生きる「シャンペトル(田舎風)スタイル」から生まれる花のあり方が紹介されている。
都会の生活に窒息しそうになって、田舎に拠点を作る。「孤独という豊かで幸せな時間」を大地の匂いがして、風の音が聞こえるところにいる。「お金を持っていても、使う時間がないなら意味がない」という。孤独が豊かだという。
田舎、自然に自分の感性をさらすことによって、花の有り様も変化する。「自然を活ける」って、ある意味では日本のお家芸のように見えたが、フランス人のフローリストの感性も変わらない気がした。今、ここにあること。その瞬間と季節の自然を花束にする。