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死では終わらない物語について書こうと思う
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2015/09/11 |
JAN | 9784163903309 |
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商品レビュー
3
4件のお客様レビュー
ぼんやり読み進めていたが、終わり近くのやよさんのエピソードでキリッとなった。死ぬ時はこのようでありたいと思った。 もう少し後の、梅原猛さんの「キミたちは、浄土へ往生してからもう一度、生きとし生けるものを救うためにこの世界へもどってくる覚悟はあるか」と聴衆に向かって問いかけ、自分は...
ぼんやり読み進めていたが、終わり近くのやよさんのエピソードでキリッとなった。死ぬ時はこのようでありたいと思った。 もう少し後の、梅原猛さんの「キミたちは、浄土へ往生してからもう一度、生きとし生けるものを救うためにこの世界へもどってくる覚悟はあるか」と聴衆に向かって問いかけ、自分はその覚悟があると答えられたエピソードにも、こういうところを目指したいと思わせられた。 そして、あとがきの釈先生自身の迷い(と言っていいのか)には安心させられた。 ぼちぼち考えていきたい。
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釈徹宗さんの本は分かり易いが、本書は共感を感じなかった。平安時代から種々書かれてきた往生伝を紹介し、市井のあるいは高僧の臨終の様子を紹介している。基本は亡くなるまで一心に、ときには愚鈍に称名を続けることによって、安らかな浄土往生を遂げるという話。私的にはもうひとつ。でも納得するこ...
釈徹宗さんの本は分かり易いが、本書は共感を感じなかった。平安時代から種々書かれてきた往生伝を紹介し、市井のあるいは高僧の臨終の様子を紹介している。基本は亡くなるまで一心に、ときには愚鈍に称名を続けることによって、安らかな浄土往生を遂げるという話。私的にはもうひとつ。でも納得することもあった。僧の話が「本人ひとりに」語られていると感じて開悟する話は、仏様との出遇いの瞬間である。また、臨終に際して良寛の歌「うらを見せおもてを見せて散るもみじ」。「死ぬ時は一人ではない阿弥陀仏とともに」など。112頁で中断。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
情報というのは、新しいものが手に入れば、それまでのものはいらなくなります。役に立たなくなるからです。使い捨てです。役に立つか立たないかがひとつの目安となります。 これに対し物語は「一度それと出会ってしまうと、もはや実現することはできなくなる」、そんな性質をもっています。たとえば、死後の世界や幽霊の話などを聞いてしまうと、もうそれを意識せざるを得なくなります時がありますよね。トイレの階段を聞いてしまうと、その晩からトイレが怖くなる。昨夜までは平気だったのに、誰しもそんな経験をもっています。 知らない時なら気にならなかったのに、一度それと出会ってしまった限りは意識せざるを得ない。それが物語です。時には「こんなことなら知らない方が良かった」と痛感することさえあります。(pp.117-118) 物語とは、数多くの意味によって編み上げられた織物です。我々は織物となった物語から発せられるメッセージ(物語り)を全身でキャッチします。そして、ある物語を「これは私のために編み上げられたのだ」と実感したとき、その物語は他のものでは代用できなくなります。(p.120) 注目すべき点は、臨終を通して、死の日本文化は独特の発達を遂げていったところです。阿弥陀仏信仰によって、死を直視して、生を再読する、という人々の態度が成熟していったことは「往生伝」や臨終行儀書からもひしひしと感じることができます。そこには宗教的情緒あふれる営みと、真摯な歩みがありました。(p.143) 帰る世界としての浄土は日本における死の文化を豊穣にしました。來迎の物語、臨終行儀、山越しの阿弥陀図像、いずれを取り上げても強烈な “死の一線を超える装置”だといえるでしょう。死は一面冷徹な現象ですが、他方では暖かく豊かな文化でもあります。生と死が交錯する物語によって、死はさまざまな姿を見せます。その諸相を通して、我々は自分自身の生を見つめ直すことになるのです。(p.146)
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