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満映とわたし
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2015/08/05 |
JAN | 9784163903149 |
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我が家にも満州に渡り引き上げてきた親類がいる。が、当時のことを聴く機会は一回もなかった。しかし、祖父の文箱から、戦時中の満州から届いた手紙が見つかった。現地の窮状と身の振り方を思い悩み、神戸空襲を気遣う伏字部分がある。 15歳から働きはじめ、満州に映画編集の技師として渡った女性...
我が家にも満州に渡り引き上げてきた親類がいる。が、当時のことを聴く機会は一回もなかった。しかし、祖父の文箱から、戦時中の満州から届いた手紙が見つかった。現地の窮状と身の振り方を思い悩み、神戸空襲を気遣う伏字部分がある。 15歳から働きはじめ、満州に映画編集の技師として渡った女性家族の半生。壮絶という一言では片付けられない。文字通り時代に翻弄され、生き残ったことが奇跡とも思える。そして今、そのような危機的状況に晒されている人が世界にどれだけいることか。
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岸富美子は大正9年生まれ、私の母も大正9年生まれ、他に原節子や李香蘭も同じ年の生まれ。結婚したのは25歳ということなので母とほぼ同じ年だ。でも人生は全く違った。15で第一映画社に入社し、編集助手として働く。ほかの仕事をやっていれば満州に渡ることもなかったのに。19歳で満州に渡り満...
岸富美子は大正9年生まれ、私の母も大正9年生まれ、他に原節子や李香蘭も同じ年の生まれ。結婚したのは25歳ということなので母とほぼ同じ年だ。でも人生は全く違った。15で第一映画社に入社し、編集助手として働く。ほかの仕事をやっていれば満州に渡ることもなかったのに。19歳で満州に渡り満映に入社 そこでも編集者として技を習得していく。終戦後はソビエトの略奪に合うなど、厳しい時代を生き抜く。八路軍から映画つくりを手伝ってくれと言われ、そのまま中国にとどまった。日本に帰ってきても食べるものもなく、住まいも不自由だったと思えば、残った方が良かったのではないか。しかし思想教育など厳しいことにも合う。日本に帰ってからも赤のレッテルを張られ、つらい思いをした。本人は映画の編集という仕事をしただけなのに、外からはそのようにみられたのだろう。晩年はどのょうに過ごしたのか興味がある。
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おばあちゃんの自分史レベルのものかと思いきや、その想像を裏切りかなり読みごたえがあった。ロサンゼルスで書店経営をしていたような一家のもと、満州で生まれた著者は父や兄の早逝や様々な事情も重なって十代半ばで映画編集の仕事に就く。日活に始まり満映を経て、終戦後もしばらく日本に帰ることが...
おばあちゃんの自分史レベルのものかと思いきや、その想像を裏切りかなり読みごたえがあった。ロサンゼルスで書店経営をしていたような一家のもと、満州で生まれた著者は父や兄の早逝や様々な事情も重なって十代半ばで映画編集の仕事に就く。日活に始まり満映を経て、終戦後もしばらく日本に帰ることができず新生中国や北朝鮮の映画製作にもかかわる。 満州に渡る前の窮乏生活なども波瀾万丈という感じだし、新京での生活も興味あるところだったが、よかったのは終戦後の中国に残っての日々。書中で岸さん自ら述べてもいるが、映画技術陣は監督の言うことに従う姿勢でいたり、映画をつくるということには関心をもちながらも、その映画がどのような意図や使われ方をするこかということには無頓着だったというのにうなずけるような終戦前に比べ、理不尽な「精簡」を経て中国や北朝鮮の映画人に指導しながら映画製作に協力するような頃は、その筆致からも自覚的に満足しながら映画製作にかかわったことが伝わってくる。その意味では、戦時中のとか、満州での……といったところは呼び水だろうし、自分もそこに興味を引かれ読みだしたのだが、建国前後の共産主義台頭の中国の空気など、あまり見聞きしたことがなかった部分を一般女性的な目から伝えてくれているのも価値あることだと思う。 プロのもの書きでない岸さんを石井さんがサポートしたかたちだが、各章末の解説は石井さんが自ら述べてもいるように、ほぼ本編の繰り返しで不要。不十分であっても、(実際は本編にもかなり石井さんの手が入っているようだが)生の岸さんの筆が感じられるほうがいい。
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