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世界史の中の日本国憲法 立憲主義の史的展開を踏まえて
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世界史の中の日本国憲法 立憲主義の史的展開を踏まえて

佐藤幸治(著者)

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世界史の中の日本国憲法 立憲主義の史的展開を踏まえて

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 左右社
発売年月日 2015/08/01
JAN 9784865281279

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商品レビュー

3.5

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2023/12/29

日本国憲法は確かにGHQが作った占領憲法かも知れないが、それを70年間改正してこなかったのは日本国民の意思であり、事実上自らの手で作ったと看做して差し支えない。そう考える佐藤は、個別条項は時代に合わせて変えれば良いが、平和と人権という現行憲法の根幹は変えるべきでないと主張する。遺...

日本国憲法は確かにGHQが作った占領憲法かも知れないが、それを70年間改正してこなかったのは日本国民の意思であり、事実上自らの手で作ったと看做して差し支えない。そう考える佐藤は、個別条項は時代に合わせて変えれば良いが、平和と人権という現行憲法の根幹は変えるべきでないと主張する。遺言のつもりで書いたという前著『立憲主義について』に続いて、本書でも「自主憲法制定」を目指す安部政権への懸念をにじませている。 どちらかと言えば保守派の憲法学者として知られる佐藤が、戦争終結の条件に過ぎない「ポツダム宣言」を憲法史のメインストリームに位置づけるという、あまりに素朴な連合国史観を受容していたとは正直意外だが、現実をみればこの70年の国際環境の変化に対応して、憲法解釈(特に9条)も国民の意識も変わってきている。制定過程の理想的平和主義は冷戦により後退し、今では学説も多くの国民も自衛隊の存在を受け入れている。湾岸戦争を契機に自衛隊の海外派遣も国民の理解を得ているし、集団的自衛権行使容認を公約に掲げた安部政権が誕生したのも、中国の軍事的脅威への国民の不安が背景にあることは否定できない。解釈を変更するなら憲法改正すべきだという小林節教授の主張は一見もっともだが、環境変化に合わせて解釈改憲を積み重ねてきたのが戦後の歴史であり、条文の文言をそのままに意味内容が変化し得るとする「憲法変遷論」の立場に立てば、それが必ずしも立憲主義に反するわけではない。ちなみに佐藤自身も「憲法変遷論」を認めている。 問われるべきは、それが憲法の根幹を変更することになるかどうかだ。9条は戦争放棄と戦力不保持を宣言している。では事実上の国軍である自衛隊は憲法違反なのか。佐藤を含め憲法学界は、自衛隊は「戦力」ではなく、自衛権行使のための最低限の「実力」であると辻褄を合わせる政府解釈を事実上追認してきた。自衛戦争はNGだが自衛権行使はOKというのもトリッキーだが、「戦力」と「実力」は違うと言うに至っては殆どサーカスだ。それが悪いと言いたいのではない。法律学とはそういうものだ。ただ、一方でこうした離れ技を用いながら、他方で個別的自衛権を集団的自衛権(しかもその極めて限定的な行使) に拡大することが憲法の根幹を揺るがすとまでどうして断言できるのか。安保法制が立憲主義の否定と言うなら、自衛隊の存在こそ立憲主義の否定と言うべきではないのか。(自衛隊を違憲とする樋口陽一氏はこの点首尾一貫している。) 急いで付け加えるが、本書で佐藤は集団的自衛権行使が違憲だとは一言も言ってない。長谷部、小林、笹田教授が揃って違憲との見解を表明した憲法審査会には、当初佐藤が呼ばれていたらしいが、佐藤は出席を拒んだという。おそらく佐藤の学問的良心からは違憲とまでは言えないだろう。ただ、今そのことを公言しても政治的に利用されるだけだと判断したに違いない。学生時代から佐藤を敬愛してきた者としては、樋口陽一や石川健治(本書のもとになったシンポジウム主催者)のようなエキセントリックな学者に同調して、政権批判の気焔をあげるというのは佐藤らしくもないと思うが、安保法制については沈黙を守り、樋口、石川とは一線を画したのだと考えたい。世論誘導に佐藤を取り込もうとしたメディアへのささやかな抵抗が本書に込められていると言ったら穿ち過ぎだろうか。 では佐藤は何を目指しているのか。思うに、平和主義の理念をあくまで堅持しながら、自衛権を現代的に再定義することで集団的自衛権の問題はクリアできると考えているのではないか。国際環境の変化に応じて9条解釈を柔軟に変えてきたように、パッチワークの積み重ねの方が、自主憲法制定といった男前路線より遥かに現実的だと言いたいのではないか。これは自民党穏健派の路線に限りなく近い。「立憲主義へのアフェクション」という佐藤の言葉がよく引かれるが、これほど誤解され易い言葉もない。「法の存在理由は・・・無秩序と秩序との間に均衡と適正な緊張関係を保持することにある。」ここで無秩序を現実、秩序を理念と言い換えてもいい。「無秩序を愛しみつつ、それに一定の秩序を付与する」のが法であるとすれば、改憲派も護憲派もあまりに硬直的な理念にとらわれ過ぎてはいまいか。理念を現実に照らして再構築しつつ、両者の往還運動を架橋するのが法的実践ではないのか。佐藤がこう呟いてるような気がしてならない。ここが樋口流のイデアリスティックな立憲主義との決定的な違いだと評者には思える。

Posted by ブクログ

2017/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2015年刊。著者は京都大学名誉教授。  立憲主義が成立してきた過程を踏まえ、世界の同時期の憲法との比較をしつつ、憲法と立憲主義の意義を解説する。短めであっという間に読める。  著者の東京大学での講演録というのに多少驚くが、樋口陽一氏との絡みなんだなあと思うと、さもありなん。  とはいえ、佐々木惣一が出てきたり、各国憲法との比較において、条文の文言と字句内容に強く配慮して叙述するのは、流石に「京都学派(京大学派)」の面目躍如。  なお、本書でも少し触れるが、滝川事件と天皇機関説問題はもう少し公知されるべきテーマ。その派生として、占領下の米軍による検閲は、戦前のそれより遥かにましで、占領下でも自由な中で叙述・討論できたという指摘は、戦前の記憶を引き継ぐ者の述懐、あるいは戦前期研究者の謦咳に触れることのできた著者の述懐として重く見る必要があろう。  そして、ラストに憲法97条を受講者に読み聞かせるのを持ってくる辺りは、著者の気根を感じさせるところ。

Posted by ブクログ

2015/09/01

佐藤幸治といえば、京大憲法学の重鎮、日本を代表する憲法理論家だが、いわゆる護憲運動とは一定の距離をおいて、政府の審議会に名を連ねることも多く、失礼を承知で敢えて言うなら、どちらかというと「政府寄り」の印象もある憲法学者だ。 その佐藤が、反安倍政権の立場を明確にする「立憲デモクラ...

佐藤幸治といえば、京大憲法学の重鎮、日本を代表する憲法理論家だが、いわゆる護憲運動とは一定の距離をおいて、政府の審議会に名を連ねることも多く、失礼を承知で敢えて言うなら、どちらかというと「政府寄り」の印象もある憲法学者だ。 その佐藤が、反安倍政権の立場を明確にする「立憲デモクラシーの会」に招かれて、シンポジウム「立憲主義の危機」の基調講演を行ったというニュースは、「ついにあの佐藤幸治まで立ち上がったか」と思わせ、衝撃的だった。 この本は、その講演の原稿を基にしている。立憲主義ならびに日本国憲法の歴史を確認しつつ、その根幹部分、「土台」を保持することの意義を、法律家としてストイックに説いて感動的。決して、党派的な物言いではなく、政治に対する法的統制が歴史から得た知的成果だとして、その安定的持続を静かに求める。この確固たる要請は、本来「保守」の人にこそ響く内容だろう。

Posted by ブクログ

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