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霧町ロマンティカ 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2015/07/30 |
JAN | 9784101334370 |
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商品レビュー
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離婚しリストラに会い退職金と失業保険で昔父親が建てた軽井沢のロッジにやってきた梶木岳夫49歳の物語。ホームセンターの女性店員、その母親が営む小料理屋「しののめ」の女将、キャリア官僚の妻である官能的な女性、知的な女性獣医などに囲まれながら少しずつ軽井沢の町になじんでいく。でも、一番...
離婚しリストラに会い退職金と失業保険で昔父親が建てた軽井沢のロッジにやってきた梶木岳夫49歳の物語。ホームセンターの女性店員、その母親が営む小料理屋「しののめ」の女将、キャリア官僚の妻である官能的な女性、知的な女性獣医などに囲まれながら少しずつ軽井沢の町になじんでいく。でも、一番寄り添って暮らしたのは、愛犬ロクだと思います。女性獣医の言葉:獣医になって、わかるようになりました。飼い主さんの犬を思う気持ちはもちろんですけど、犬の飼い主さんを思いやる深さにはいつも胸を打たれます。唯川恵 著「霧町ロマンティカ」
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改題される前に1度読んでいたのを気付かず買ったけどまた読んでしまった…やはり唯川さんはおもしろい。 「あなたは私が勝手に付いて来た、というスタンスを取りたかったんでしょう?だって、来て欲しいなんて言って、あとで私にこんなはずじゃなかったって文句を言われたくないもの。」
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この本を読見終える少し前に、友人の父親が亡くなったことを聞かされていた。あまりに突然の死に対し、友人は驚くほど普通の態度だった。そのことに私は戸惑っていた。 人はいつか人生を終える。 中年の50歳の主人公、岳夫は勤めていた会社のリストラに遭い、定年前に職も家族も失い独り身になってしまう。そこで訪れた軽井沢の古い家に引っ越すことになるが、幼少期行方不明だった父の謎や、その地で出会うさまざまな人たちと関わるうちに次第に心境が変化してゆく。 ラストでは、物語始めから一緒だった捨て犬のロクが亡くなって行くまでが感動的だ。ロクの寿命が近づくと共に、周りの人たちとの別れや新たな決断が印象的である。 「過ちは誰にだってあるだろう。俺だって過ちばかりの人生を送ってきた。でも、人には過ちを償うチャンスもあるんじゃないのかな。」 「生きるって何なんだ。死ぬって何なんだ。俺はこれからの人生を青臭く生きようと思う。」 物語冒頭では生きる活力すらなくしていた岳夫がロクを通じて生きることにもがき、意味を模索しているシーンが感動的だった。 私も、ふと友人のことを思い出した。置いて行く者、置いていかれる者、互いにどんな気持ちだったのだろう。どんな気持ちで別れていったのだろう。普段通り毅然と振舞っていた友人の隠れた本心は。彼女はどんな景色を見て、どんな思いを感じていたのだろう。 私はまだ20代だけど、いつかは老いていく。今だって十分人生を模索しているけど、まだまだ終わりじゃない。安定な人生なんてない。これからも選択の連続だ。でもだから生きるって面白いんじゃないか。 山に例えるなら、私はまだがむしゃらに頂上を目指して登っている途中。岳夫は山を下山しているところだろう。意外と登る方が簡単で何も考えずただ突き進んでいけばいい。下る方が転んだら怪我は大きいし、足だってもつれやすいし、後半の人生のほうがより慎重に行かなきゃって思ったりする。同時に今まで登ってきた道を振り返りながら、逆にこれからどんな道を行くのか未知の若者とすれ違いながら、自分のことだけでなく若者とも関わりながら、自分のことだけでなくいろんな人と関わって生きていく、なかなか難しく面白い年代なのかもしれない。 生きること、人生の選択、そして希望。 実に読み応えのある力強い小説だった。 いつかまた自分が中年になったころ読んでみたい。きっと今とは違った心境でこの物語を楽しめることだろう。
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