奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール

渋谷直角(著者)

• 販売会社／発売会社: 扶桑社
• 発売年月日: 2015/07/23
• JAN: 9784594072889

商品レビュー

2019/04/29

奥田民生に憧れる編集者コーロキ（男子35歳），ライフスタイル誌に配属され，その「オシャレ」感に戸惑う。取材で出会ったアパレルの広報担当女子に一目惚れ。彼女との付き合いが地獄の始まりだった。奥田民生のアルバムの歴史に沿いながらコーロキの心情が語られる。…そして物語は意外な結末へ。果たしてコーロキは奥田民生みたいになれるのかどうかに注目して読むと，期待は裏切られるかも。

2019/01/01

絶対くだらないだろうと思いつつ漫然と映画を観たらかなり面白かった。妻夫木聡と水原希子をはじめ皆演技がいい。とくにちょい役のリリー・フランキーが最高だった。どうやら監督は「モテキ」を撮った人らしい。ということでさかのぼってこちらも観てしまった。いや、偏見持っていて損した。笑える。Perfumeの使い方も絶妙にかっこよかった。

さて、「奥田民生」の原作マンガは、いかにもSPA!連載風のヘタウマ系で、こっちも読ませる。物語終盤のホラーっぽさはすごい。一方で、ネットで「原作マンガと違って映画は人物の掘り下げが浅い」みたいな評価が多かったがそれはどうなんだろう、と思う。映画は中途半端に内面を描かないことでむしろ成功していたと思う。かつ、原作者自身が書いているように、映画版での状況設定の変更がうまくっている点も多いと感じた。どっちもよい。

2018/12/27

パンチのあるほろ苦く潔い漫画だった。
奥田民生に憧れる中堅編集者コーロキが美人プレスのあかりに出会い、彼女の歓心を買おうとして翻弄される。あかりに翻弄されていたのはコーロキだけでなく、元彼、上司、カメラマン、様々な男がヒーロー願望に取り憑かれ平和な日常・家庭を捨て、波瀾万丈な恋愛に巻き込まれているのだった。

金子みすずの誰がほんとうのことをいうでしょう　という詩が引用されていて、あかりだけでなくファッションや記号などの情報によって結ばれる人と人との関係の希薄さや危うさが端的に描かれていた。

あかりの正体を知り、甘い理想から卒業し一端の業界人になったコーロキは若い日々を立ち食い蕎麦屋を見て思い出すのだった。