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天佑なり(下) 高橋是清・百年前の日本国債 角川文庫
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天佑なり(下) 高橋是清・百年前の日本国債 角川文庫

幸田真音(著者)

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天佑なり(下) 高橋是清・百年前の日本国債 角川文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 KADOKAWA
発売年月日 2015/07/25
JAN 9784041031728

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商品レビュー

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2024/01/14

昭和初期太平洋戦争に向かう時代に大蔵大臣として自分の身体を犠牲にしてまで日本の財政を健全化しようとした「高橋是清」の物語です。226事件で殺害された高橋是清については以前から興味がありましたが、この小説を書いたのが、あの「幸田真音」だったこともあり興味を惹きました。文庫本で読みま...

昭和初期太平洋戦争に向かう時代に大蔵大臣として自分の身体を犠牲にしてまで日本の財政を健全化しようとした「高橋是清」の物語です。226事件で殺害された高橋是清については以前から興味がありましたが、この小説を書いたのが、あの「幸田真音」だったこともあり興味を惹きました。文庫本で読みましたが、ここには2013年(10年以上前)に単行本で発行されたとあります。 この小説の中に出てくる為替相場(ドル円)については、彼女の綿密な調査に基づくものだと思います。円とドルがどのような関係にあったか、それらが経時的にどのように変化していったかを知る上でも貴重な情報源となりました。 ・銀は昔の半価(当初1:15.5から、明治30年には1:32)となったので、これまで1円=金4分としていたのを、新金貨の1円=金2分、つまり平価を半分に切り下げる。すると、円対銀の市場にも、一般の物価にもどちらにも急激な変動を与えず、円滑に金本位制に移行ができる、明治4年には1円=純金1500mgと定められていたが、それを750mgにすべきだという提案であった(p47) ・日清戦争の賠償金(当初3億両→交渉により2億両に減額、8回に分割)に加え、日本が要求した3000万両の遼東半島還付金は支払う清国にとっては、膨大な財政負担となった(p50)三国干渉ののち、ロシアは旅順、大連、ドイツは青島、フランスは広州湾、イギリスは九竜半島と威海衛を租借して海軍基地にしていく(p51) ・明治30年頃の2億円は、現在ならば3200億円に相当する、物価水準の変遷などを比較計算すると、係数を1600倍すると現在価値に相当する、この頃の日本の経済規模は20兆円程度(p53)2億円は、約1600万ポンド(p60) ・三国干渉を受けた頃のロシアは、国家予算は日本の約10倍、国内総生産は約3倍、人口は日本の3倍の1億2500万人、外貨準備高は8倍を超える大国であった(p115) ・日露戦争の前には政府支出の15%だった日本の元利返済費は明治41年には25%となった(p233)大正3年には政府債務は26億円(国民総生産の3分の2以上)であった、15億円は対外債務でありこれに対する正貨準備高は3.4億円、破産寸前であったが、それを一変させたのが第一次世界大戦による戦争特需である(p258) ・大正11年6月の対米為替レートは、100円=47.7ドルが、年末には48.5ドルまで強くなった。(p314) ・円の切り下げにより、昭和6年末の100円=49ドルから、1年後には28ドル、昭和8年には25ドルまで下落し、日本製品は海外市場で価格競争力を得た(p480) ・国債発行と、日銀による直接引き受けは、日本経済の危機を救うために編み出し、やむに止まれぬ思いで実行した財源捻出の奇策であった。それによって可能になった財政出動と、金融緩和政策によるポリシーミックスは世界でも例を見ない、時代を先取りする方法であり、その結果日本はいち早く恐慌を切り抜けることに成功した、しかし軍事費調達への道を開くことにつながったのも事実である(p400) ・226事件当時、1ドル=3.3円だった円は、第二次世界大戦を経て360円までに下落、国民生活を破壊するインフレ率は100倍以上となった。226事件は財政規律だけでなく、法治国家としての規律をも破壊し、是清が守りたかった国民生活にも犠牲を強いた(p410) 2024年1月12日読了 2024年1月14日作成

Posted by ブクログ

2024/01/13

難しい箇所もあったが、経済の話で分からない事を知りながら読めて楽しかった。 あとはどれだけ出世しても変わらない高橋是清の人間性が良いと思いました。

Posted by ブクログ

2023/06/10

【概略】  日本銀行西部支店に赴任した高橋是清が、2・26事件にて命を落とすまでの彼の人生の最もダイナミックで純粋な部分が描かれた後編。日清戦争から日露戦争に至るまでの期間、戦費を集めるための種まきから交渉、実現までの過程、また開放的な経済政策を行ったと思いきや緊縮財政にて支出を...

【概略】  日本銀行西部支店に赴任した高橋是清が、2・26事件にて命を落とすまでの彼の人生の最もダイナミックで純粋な部分が描かれた後編。日清戦争から日露戦争に至るまでの期間、戦費を集めるための種まきから交渉、実現までの過程、また開放的な経済政策を行ったと思いきや緊縮財政にて支出を削減するといった柔軟な発想、その根底にあるのは外側から自国を眺める客観的な視点と国を憂う純粋な精神。東洋のケインズとされる高橋是清の経済感覚を楽しみながら学べる一冊。 2023年06月10日 読了 【書評】  決して経済について詳しい訳じゃなく、せいぜいAFPの試験や行政書士の一般教養、そして普段の新聞等で得ている知識しかないのだけれど、公開市場操作の概念や金本位制度の感覚など、凄く楽しく理解できた。ストーリーテリングの真骨頂なのじゃないかな。  (本書は高橋是清を主人公に置いているため、もちろん高橋是清にスポットライトが当たることになるのは仕方ないが)歴史は繰り返されるなぁ、人が集まって何かを取り仕切る場合には時代や技術革新による細かな差異はあれど、似たような事柄で衝突や融和が起きるのだなぁ、だから人は歴史から学ぶ必要があるのだなぁ・・・なんて思ってしまったよ。貴族院と衆議院の格差であったり政党間の&政党内の意見調整であったり、自分が生まれて(こういったジャンルに興味を持ち始めて)からの世界と似たようなことが当時も起きてるもの。  さて自分のことに置き換えてみる。今年49歳になろうとする自分が高橋是清さんのような高邁な思想・・・とまではいかないまでも、嫌だというものをしっかりと嫌だと言えるようになるためには、拘泥を捨てることかなと思ったね。そして失ってしまうことに対する恐怖も捨てること。目に見えないココロの中にある芯、それだけをしっかりと守ること。そんな印象を受けた。ちょうど今月(6月)は自分の会社の決算月、7月から始まる新しい期のためにも良いタイミングでこの本に出会えたかな。  さぁ問題のオリジナル噺・・・まだ全く・・・何も降りてこない。困った。次の高橋是清本を手に取ってみることにする。

Posted by ブクログ

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