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孤島の鬼 江戸川乱歩傑作集 1
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孤島の鬼 江戸川乱歩傑作集 1

江戸川乱歩(著者), 咎井淳

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孤島の鬼 江戸川乱歩傑作集 1

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 リブレ出版
発売年月日 2015/07/01
JAN 9784799726280

孤島の鬼

¥220

商品レビュー

4.5

14件のお客様レビュー

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2024/03/28

中学生の時に読んで放心した作品。 主人公の婚約者が殺され、犯人を探すために雇った友人の探偵が殺され、原因を探るために自分に好意を寄せる青年医師と行った孤島で、、、あらすじを書くとありふれているのだけれど、被害者の主人公よりも相手役の方が不憫でしょうがない。 似ているものだとオペラ...

中学生の時に読んで放心した作品。 主人公の婚約者が殺され、犯人を探すために雇った友人の探偵が殺され、原因を探るために自分に好意を寄せる青年医師と行った孤島で、、、あらすじを書くとありふれているのだけれど、被害者の主人公よりも相手役の方が不憫でしょうがない。 似ているものだとオペラ座の怪人を思い出す。主人公の視点のようで、物語としては怪人の一生をかけた破滅を描いたものだ。 この作品の主人公が哀れなはずが、自覚のない、そんなはずはないと思う、行動が相手役の心を揺さぶるは尊厳を踏みにじるわでなんだかイライラしてしまう。 孤島にいる鬼と出会い、鬼になりはててもいいと全てを諦め、そして助かり、最後の2行に行き着いたのかと思うと、他にラストはなかったのか、いやここにしか落ち着けなかったんだと放心してしまう。 誦じられるほど衝撃だった。

Posted by ブクログ

2023/10/12

某古本屋を探索中にこちらを発見。ファンの中では1番の傑作との呼び声も高い本作、自称乱歩ファンの私なんと未読でした。(ファンの名を返上しよう…) こりゃあかん!表紙も格好良いし買うぞ!と手に取った私、帯の裏に気付く。「乱歩が遺した最高傑作にして唯一の同性愛小説!」とそれはもうピンク...

某古本屋を探索中にこちらを発見。ファンの中では1番の傑作との呼び声も高い本作、自称乱歩ファンの私なんと未読でした。(ファンの名を返上しよう…) こりゃあかん!表紙も格好良いし買うぞ!と手に取った私、帯の裏に気付く。「乱歩が遺した最高傑作にして唯一の同性愛小説!」とそれはもうピンクの字で強調されている。 そう言われるとそうにしか見えない装丁(でも本当に格好良くて面陳にして飾ってます)勇気を振り絞りレジへ。 「頼む!裏返さないでくれ!あっ!だめっ、あかん!!いやぁぁあああ!!」 店員さんは気にしていないだろうに、ノミの心臓なのでそそくさと退店したのですが、本作はホラーミステリーの様相を呈した純愛物語でした。 今回は2つのテーマに分けて感想を書いてみます。 かなり長くなりますので、気が向いた方はお付き合い下さい。 【ミステリー】 主人公の蓑浦の独白で物語は進むのですが、冒頭からぐいっと引き込まれる世界観の作り方が流石は乱歩さん!30代にして頭髪が全て白くなってしまった程の恐ろしい体験が今から語られるというのに、こちらも期待を胸に恐怖に備えます。 蓑浦の婚約者が密室殺人で殺された後、探偵役の深山木までもが群衆の中で殺害。この後に探偵役を引き継ぐのが、同性である蓑浦に10年以上も片思いをしているThe一途な男、諸戸。 非常に頭が切れるので割と早くにこの2件の不可能犯罪については解決します。この犯人も驚きでしたが、凄いのはここから。 2人の死に共通する点を探っていく内に、いよいよおどろおどろしい乱歩ワールドへ突入。 「孤島の鬼」とは一体何なのかが明らかになった時は恐ろし過ぎて私も白髪になる所でした。 今では禁止用語になる「かたわ」等の用語がバンバン出て来ますし、なんならこの物語自体が発禁スレスレなのでは…と思うと、2015年に再販して下さった出版社には感謝です。 話が逸れましたが、ミステリーとして話の構成が素晴らしく、エピソードの一つ一つに全く無駄がありません。点と点が線になるとは正にこの事。諸戸が蓑浦を愛する理由と、それ故の行動にも全て意味があり改めて乱歩さんの凄さを見せつけられました。 【恋愛(悲恋)】 乱歩さんの文章があまりにも美しいが故に、生々しいシーンは無いのに諸戸が蓑浦の手を握るだけでエロス満載になってしまいます。 2件の殺人について蓑浦の肩を抱きながら囁くように推理を話す諸戸。前代未聞、どんな探偵役やねん?!蓑浦曰く「いつもの愛撫の表情がうせて」いつもどんな顔してんねん?!と、突っ込みが止まりませんがうっかり危ない道に走りそうになりました。(諸戸が良い男すぎるのが原因です) しかし蓑浦はノーマルなので運命の女性と言い切る初代を愛していますし、初代が死んだ後も彼女の灰を喰らう奇行に走る程の熱愛ぶり。 しかし諸戸は一貫して変わらぬ熱愛運動(作中で何度も求婚する事を求婚運動と書いてたのが妙にツボってます)に励むのに、もう頼むから諸戸のモノになってくれ!と切に願っていた私を尻目に、なんと蓑浦はとある驚きの女性を愛してしまいます。 これには何故?!と度肝を抜かれましたが、これにもしっかりとした理由がありやはり乱歩さんには叶わないのでした。 しかし私は蓑浦に物申したいのです。 君、諸戸を拒絶してる癖に、彼の気持ちを知っていて甘えたり思わせぶりな態度をしてみたり…酷いじゃないか!改めたまえ!!! という私の叫びも虚しく、諸戸の悲恋は最も悲しい形で終わりを迎えるのでした…。 蓑浦の為に新しい恋人の体を手術して治してあげる諸戸。我が身も危ないのに蓑浦を勇気付けて守ろうとする諸戸…。 最後の一文があまりに切なく、私が美青年なら諸戸を幸せにしてあげられたのになあ…と訳分からぬ事まで考えてしまう始末。(レーエンデ国物語の時とは真逆の意見) という程に、ミステリーにも悲恋物語にもどっぷりと浸れる名作でした。 最高傑作と仰る方の気持ちも頷けますね。 安易にはオススメできませんが、耽美ホラーな世界がお好きな方はハマると思います。 しかし、悲しい…。諸戸…涙。

Posted by ブクログ

2023/05/25
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※このレビューにはネタバレを含みます

江戸川乱歩は初めて。 まず序盤から、諸戸と主人公の関係が妖しくてドキドキする。退廃的でアングラで、京極夏彦みたいな作風の祖なのかな、とか思っていたら、哀しい恋の話だった。 私はずっと諸戸が黒幕ではないかと疑っていた。 研究していくうちに生き物の体を弄ぶ楽しさに溺れ、親父と同じことをしようとしていたのではないか、とか、秀ちゃん吉ちゃんのように自分と蓑浦をくっつけようとしていたのではないか、とか。 だから意外とあっさり島の事件にカタがつき、気楽な後日談になり、すっかり油断していた。そこを射抜いてくるラストは切れ味鋭い。 主人公は無邪気で残酷だ。 諸戸の愛は拒みつつも、ずっと思わせぶりである。弱さを盾に、都合の良いときだけ諸戸に頼り、甘える。初代を失ってすぐに秀ちゃんに切り替え、最後にはちゃっかり財宝も手にするしたたかさもある。 激しい恐怖から、主人公の髪は真っ白になった。 その理由が、死の恐怖と諸戸への恐怖のどちらであったかのは明言されない。 しかし主人公は、諸戸の髪は白くならなかったのは、諸戸の方が強い心の持ち主だったからだろうと推測している。つまり、主人公と諸戸の共通の体験が原因になったということであって、つまりは死への恐怖のほうが原因だったのだと考えられる。 作者は、いかに恐ろしい体験をしたかを繰り返し匂わせ、ハードルをがんがん上げる。 そのわりに、いざ明かされると拍子抜けだ。あくまで、弱い蓑浦から見た激しい恐怖だったのだ。いや、洞窟で死にかけたら当然怖いだろうが、探偵ものや冒険ものとしてはありそうな話で、上がりに上がったハードルを越えるレベルではない。 それはおそらく、作品の最大の見せ場がそこではなく、あの哀切なラストだからだろう。 タイトルについて考える。 「孤島の鬼」とは誰なのだろう。 ①丈五郎 ②秀ちゃん吉ちゃんら、人造の身体的マイノリティたち 鬼畜の所業をしていた丈五郎のことだと考えるのが自然だろう。 また、丈五郎に造り出された身体的マイノリティたちもまた「孤島の鬼」だと読むこともできる。人外境とも表現されているとおり、孤島自体がこの世のものではないような雰囲気がある。そこに住む身体的マイノリティたちも、体のつくりが「大半の人間とは違っている」という意味で、作者が「鬼」と表現していたとしてもおかしくはない。 そしてこの②の意味、つまり「鬼」という言葉が「大半の人間とは違っている」という意味で使われているとするならば、性的マイノリティである諸戸もまた「鬼」なのではないか(言葉の使い方の是非の問題はあろうが、ここではおいておく)。 諸戸の思いは永遠に届かない。諸戸は主人公から断絶こそされないが、ずっと孤独だ。対岸は見えているのに隔絶された、孤島のような寂しさだ。 丈五郎は、気が狂う。結果、悪魔の所業をやめることができて、ある意味彼は救われている。身体的マイノリティたちも解放され、主人公と秀ちゃんに養われる。ひとりだけ、最後まで救われなかった孤独な「鬼」がいる。 「孤島の鬼」は、ミステリのていをとった諸戸道雄の物語なのだろう。少しオペラ座の怪人と似ているかもしれない。 主人公の白くなった頭髪を見て、諸戸は泣きそうな顔をした。秀ちゃんとの結婚は邪魔をしなかった。その心を思うと辛い。

Posted by ブクログ

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