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アメリカの高等教育 高等教育シリーズ
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 玉川大学出版部 |
発売年月日 | 2015/07/04 |
JAN | 9784472404696 |
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アメリカの高等教育
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商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
アメリカの高等教育システムの強さは、大学の数と多様性、複数の資金源、大学間の競争、さらには各大学の裁量権の大きさが生み出した。しかし一方で、激しい大学間競争は、脆弱性をももたらし得る。競争は商業市場ではうまく機能するとしても、高等教育では、学生がどこの大学で学ぶことが「長期的に最も有益なのかは」前もって知ることができないからである。そもそも大学が公表するデータは、学生が実際にどのくらい学んだか、成長したかとはあまり関係がないことが中心だ。多くの大学は、目に見える目標を通して、大学の評判を高めようとするが、このため「学生がいかに多くを学んだか」の測定に要する、資金と労力を奪っている可能性も否定できない。 また、競争は、大学の利害関係者(特に学生)に迎合しすぎる結果を招く。学生は、職業に直接繋がる学科(科目)に関心が強いからだ。しかし企業経営者は、批判的思考力(Critical Thinking)、効果的に口頭と文書でコミュニケーションできる能力、倫理的問題への関心と鋭敏さ、異なる文化・出身階層・人種の人を理解して協同すること、グローバルや他国に対する広範な理解能力)といった多様な目的を抱いたカリキュラム(リベラル・エデュケーション)を求めているも関わらず、である。 成績評価のインフレ(学生が宿題に費やす時間が少なくなっているが成績評価は上昇)も、高等教育の信用(Credit)を失いかねない問題だ。 また政策担当者も、新自由主義のもとで進行する、グローバル化・競争原理の浸透で、教育はあたかも経済成長と国際競争力に貢献することが目的であるかのように論じる。これら「競争」によって、大学が保つべき価値も損なわれてしまう可能性がある。 著者は、アメリカの高等教育で早急の改善が必要な課題として、学士号取得者の比率を高めること、そしてその前提として、教育の質の改善と勉学努力の減退の阻止(8・9章に有益な事例)を挙げている。これらは、大学進学率が50%を超えた日本の大学についてもあてはまる課題と言えそうだ。本書はアメリカのエリート校だけでなく底辺校も含めた分析がされており、日本の大学問題を考える際にも十分役立つ内容だ。
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本書はデレック・ボック著、宮田由紀夫訳コンビによる2冊目。前作は『商業化する大学』。長大な論文だが、訳にかなり助けられてなんとか読了できた。ボック自身の教育・研究・経営・行政の経験と、他の重要な研究結果を踏まえた指摘は、―いうのは誠に簡単なのだが執筆するには実に難しいことであるが...
本書はデレック・ボック著、宮田由紀夫訳コンビによる2冊目。前作は『商業化する大学』。長大な論文だが、訳にかなり助けられてなんとか読了できた。ボック自身の教育・研究・経営・行政の経験と、他の重要な研究結果を踏まえた指摘は、―いうのは誠に簡単なのだが執筆するには実に難しいことであるが―、バランスがとれていて、かつニュートラルな状態で読める土壌を与えてくれる。また政策関連の記述が多いが、これは各大学が自ら課題をとらえるために外部要因を概観することが意図されているためである。 序論では、アメリカの大学の質の高さを上げながらも、いくつかの問題があり国内の人々の満足にはほど遠い、と述べられている。ここで一つ省みておきたいことは、私たちが日々目にするアメリカの大学の煌びやかなニュースのイメージのみを参照枠とすることを控えなければならない、ということである。逆に本書にある諸課題から含意を得ることに注力する方が有用だろう。学費の高さとローン、コスト管理、大学というシステムの効率性、卒業率等、問題は少なくない。ただこうした諸問題を現段階で全て了解できなくとも、一読者の立場で関心のある章を読むだけで十分示唆が得られるかもしれない。 例えば、これまでの学校基本調査結果の推移からもわかるように、日本の大学事務職員の増加傾向は著しい。一方本書でも米国の状況にふれられ同様の指摘がある。この背景として両国に共通しそうなことは、プログラム数の増加とそれに伴う問題に対処する時間の増加、また関連して中核業務に専念できなくなること、調整すべき学内外組織の増加、資金調達コストの増、所轄庁からの法令や通達・行政指導によるモニタリングの対応といったことだろうか。 大学内の調整プロセスは、彼の友人もあるロソフスキーの取り組みが参考になりそうだ。概略から本書からも十分つかめるが詳細は彼の著者にあたったほうがよさそうだ。そして、とりわけ第8章の「何を学ぶべきか」は示唆的だった。今後精読する。
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