会社不正の9割を発見する方法 たった1人！たった3日間で!!

對馬英年(著者)

• 販売会社／発売会社: 清文社
• 発売年月日: 2015/07/01
• JAN: 9784433545956

商品レビュー

2016/02/21

最近流行りの企業不正もの。筆者の200社以上という監査・調査経験をもとに独自の企業不正への対峙ノウハウが多く記載されていて、その点好感がもてる書籍であった。不正発見の3つの技術として、実査、立会、確認を挙げるあたりは会計士ならではといった感じ。ただ最後の不祥事ゼミナールは蛇足な感があった。
P222
不正が潜む可能性の高い買掛金に「あたり」をつけて、確認という実弾を発射するというイメージです。そのためには、「異常値の素早い見つけ方」を知っていなければなりません。
買掛債務は売掛債権と違って相手先の資力による滞留などはありえない（自らが支払うかどうか決めるため）ことから、履歴管理を行っていない、すなわち、滞留買掛金を把握していない会社がほとんどです。よって、売掛金の滞留明細のような滞留先を一覧できる資料が買掛金にはありません。〜たとえば、会社の方針が「当月の支払額を翌月末に支払う」ということであれば、相手先の事情に関係なく、原則としてすべての取引先に対して一律に適用します。よって個別の買掛金について自社の支払サイトを外れている相手先を見つけられれば、それが異常値を示す買掛金となります。
問題のある買掛金を抜き出すために、売掛金の場合とは異なる方法を用います。〜
①当月の支払に基づく買掛金計上額より月末残高が大きい相手先（前月計上債務の全部または一部が当月末に支払われていないことを意味する。プール金のように、支払サイト通りに支払われない債務が潜んでいる可能性がある）
②当月の支払に基づく買掛金計上額より月末残高が小さい相手先（当月計上額を当月中に支払っていることを意味する。買掛金支払にみせかけた預金横領などがある。この場合、当該相手先の買掛金残高が異常に少なくなっていることが多い）
どちらも、会社の支払サイトから外れていることから、何らかの問題を抱えている相手先の可能性が高いと言えます。