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実地棚卸の教科書 プロが教える作業ノウハウと経理実務
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 中央経済社 |
発売年月日 | 2015/06/01 |
JAN | 9784502146619 |
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前半は実地棚卸の実務解説、後半は会計税務処理と内部統制構築例の解説という構成になっている。前半では主に小売業を中心に実地棚卸の意義、実施手順、棚卸担当者のあるべき心構えなどについてまで詳細に解説。実地棚卸といえば、現物を実際にカウントすることで期末在庫金額を確定するという数量管理...
前半は実地棚卸の実務解説、後半は会計税務処理と内部統制構築例の解説という構成になっている。前半では主に小売業を中心に実地棚卸の意義、実施手順、棚卸担当者のあるべき心構えなどについてまで詳細に解説。実地棚卸といえば、現物を実際にカウントすることで期末在庫金額を確定するという数量管理目的が中心と思われがちだが、本書では利益管理目的にこそ実地棚卸の意義があると説く。すなわち、利益を確定するということは、換言すれば計算上予定していた利益と実際の利益の差を明らかにするということであり、そのためには実地棚卸により不明ロスがどのくらい発生しているかを認識し、その原因を追究して対策を打つ必要がある。したがって、実地棚卸と利益管理は、不明ロス対策という点で密接に関連しているのである。 P111 最近の調査結果では、日本国内の300社の平均ロス率が売上高の0.57%となっており、前年が0.44%、前々年が0.65%と差はありますが、いずれにせよ0.5%内外です。 また、2009年の世界的な調査では、全世界で1.36%、日本では1.00%となっています。 まず、ロスの分類ですが、全体の42.2%は買物客による万引きやその他の不正行為などとされています。従業員による不正は35.3%、取引業者の不正が5.4%、その他の伝票や検品、事務処理などの誤りが16.9%とされています。このレポートによれば、全世界でのロス合計金額は1,073億ドル(およそ12兆円)だそうです。また、ロス防止対策としての費用は268億ドル(およそ3兆円)にもなるとしています。 P127 しかし、すべてを機械的に自動化するのは難しく、人間が介在する作業は多く残っています。そういうところにミスや不正が起きる可能性があります。たとえば、返品返金作業です。架空の返品を行い、返品分を着服するというものです。返品返金のルールがあいまいか、あるいはルールそのものが守られていない場合に起こりやすい不正です。 クーポン、値引きなどでもミスや不正が起きます。チェッカーとお客、もしくは従業員との不正ななれあいもなかなか発見することができませんが、発見されると常習化していることが多く被害額の大きさに驚かされることがあります。 P128 ロスを発見しても的確な対策が打たれなければ再びロスが発生してしまい”いたちごっこ”のようにいつまでも改善しません。重要なのはロスを予防することです。日本では「ロス対策」といわれることが多いのですが、欧米では「ロスプリベンション」(loss prevention)という用語が一般的です。また、組織としてロスプリベンション部門を置く企業も多いのです。 ロス対策にどの程度の費用を使っているかは、もちろん個人の企業によって異なりますが、欧米のチェーンストアでは平均するとおおよそロス総額の3分の1から6分の1程度のようです。より効果的にロス対策に投資するためには、単に機械やシステムを導入するだけでなく、むしろロス対策の専任の組織部門の設置や教育投資が重要です。 アメリカの大手ホームセンター企業であるロウズ社のロスプリベンションに対する取り組みや姿勢は、大変参考になります。その内容を要約すると、次のとおりです。 1.経営陣が率先して取り組む姿勢を明確にする。ロス対策は企業の最優先課題として扱う。 2.数値による効果測定と管理を徹底する。SKUレベルでの不明ロスを追究する。 3.専門教育、訓練でロスプリベンション専門スタッフを育成すると同時に、一般社員向けにもロスプリベンション訓練を継続的に行う。そのための投資を惜しまない。 4.不明ロスの問題だけでなく、セキュリティ、安全についての対策も行う。 P130 このように、LP部門は経営上、非常に重要な位置にあり責任も重いのです。確かにLP部門は直接的に売上を稼ぐ部門ではありません。そのために日本では専門部門として設置されることも少なく、設置されたとしても予算も人員もわずかというのが多くの企業の実態ではないでしょうか。しかし、すでに述べたように「ロス対策は利益創出の早道」なのです。
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