お色気PTA ママたちは肉食系

霧原一輝(著者)

• 販売会社／発売会社: 二見書房
• 発売年月日: 2015/06/01
• JAN: 9784576150932

商品レビュー

2020/03/15

ママ達の鍔迫り合いに翻弄される主人公

[ＤＳＫ]

回春路線で名を挙げた作者にも年下の主人公を配した作品はある。女性陣は概ね熟女なので年上のヒロインになるのが大半だが、本作もまた小学校の教師（２年目）で２５歳の主人公がＰＴＡのママ達に翻弄される物語になっている。夫との夜の営みが途絶えたママ達から貪欲に求められる構図はタイトル通りではあるが、単に色欲を貪るのみでなく、派閥争いとも言うべきＰＴＡ会長【慶子】３８歳と地区委員長【珠実】３７歳の確執を端緒とする鍔迫り合いがベースにある。この確執には主人公の予想を超えた愛憎劇が忍ばされている。

何かと紛糾するＰＴＡの派閥双方には取り巻きのママ達がいる。慶子派で主人公を誘惑したママには弱みを握られ、珠実派で主人公を篭絡したママ達２人の策略にも嵌められる。色仕掛けの応酬で早々に３Ｐが飛び出すのは思わぬ展開だったが、双方に弱みを握られ、陣営の味方を約束させられる主人公は教職の矜持による負い目もあって、何より人妻の色香に太刀打ちできなくて翻弄されるがまま。前半はヘタレである。

しかし、そんなママ達に対抗するための救世主が現れる。主人公の先輩にあたる女教師【舞子】３３歳である。オンナを知って、自信をつけて、つまりはオンナ経験値を上げてママ達を逆に翻弄すべしと自らのカラダで教えてくれる。急に現れたような印象で存在感も他のママ達に譲る舞子だが、にも拘らず彼女をただの指南役兼官能要員に留めないのは巧みなところ。最後に別の切り口で妙味のある役割が与えられている。

そのムスコがご立派であることは取り巻きから聞いていたものの、その手練手管を侮っていた慶子や珠実は経験を積んだ主人公から責めに責められて陥落する。逆襲的な後半の始まりである。ただ単に責め立てるだけでなくＰＴＡの運営に関する交換条件を突きつけることで事態が動いていく。この流れに乗じてママ達が学生時代に着用していたセーラー服姿で運動会の競技に参加するといった企画が可決され、この運動会の最中に保健室でセーラー服姿の慶子とこっそり情交に及ぶといった淫靡な場面も描かれている。

ママ優位で主導権を握る官能が多いことで必然的に騎乗位から始まる描写も多くなるのだが、後半へ進むに従い主人公がママを蕩けさせる変化が見られる。艶のある三十路のママ達が裏で貪婪な肉欲を曝け出し、まさに姦計と言える誘惑を繰り出してくるいやらしさが全面に満ちている。