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江戸の動植物図譜
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2015/06/01 |
JAN | 9784309255606 |
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江戸の動植物図譜
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(恐らく)狩野派に限らず、江戸時代の様々な動植物図譜が収められている、が、植物が中心。魚類は最後の1割ほど。特に鳥類の絵が、写実的過ぎて恐ろしいくらいのものと特に目元がデフォルメされてとぼけた感じになっているものとが混ざっていて、写生とは一体…? と思ってしまったりなどした。紹介...
(恐らく)狩野派に限らず、江戸時代の様々な動植物図譜が収められている、が、植物が中心。魚類は最後の1割ほど。特に鳥類の絵が、写実的過ぎて恐ろしいくらいのものと特に目元がデフォルメされてとぼけた感じになっているものとが混ざっていて、写生とは一体…? と思ってしまったりなどした。紹介されているものは写本あり、自身による写生本あり、だったのだが、雷鳥とか生息域が限られている生き物はそのためだけに旅をした人たちがいたのかしら、と思うと、わくわくしてしまった。 オススメ度: ★★★★☆ ふかし芋(図書館職員) 所蔵情報: 品川図書館 499.9/Ka58
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江戸時代、自然界から薬になりうる動植物を探求しようとする本草学は、医者が学ぶべきこととして、大きく発展した。 一方、各藩が殖産事業を起こすにあたり、領内の産物を調査し、まとめた「諸国産物帳」の編纂もなされた。 こうした動きから、本草学の流れから医師が写生を行うのみならず、大名自ら...
江戸時代、自然界から薬になりうる動植物を探求しようとする本草学は、医者が学ぶべきこととして、大きく発展した。 一方、各藩が殖産事業を起こすにあたり、領内の産物を調査し、まとめた「諸国産物帳」の編纂もなされた。 こうした動きから、本草学の流れから医師が写生を行うのみならず、大名自ら図譜を描き、また絵師を抱え、さらには武士や町人からも、自然の事物の観察を行い、写生をするものが現れた。 また、当然のことながら、この時代、「コピー」などというものは存在しない。版画はあるにはあったが、手間も費用もかかる。そのため、直接見る機会が滅多にない珍しい動物の図などは盛んに転写が行われた。この際、図だけではなく、注記や日付まで書き写された場合もあるというから念が入っている。 こうして多くの動植物図譜が生まれた。 本書は、多くの図譜から優れたものを選び、その図版を紹介するものである。 大まかに植物・鳥類・獣類・蟲類・魚介類に分けられている。 書影からも窺えるように、いずれも非常に詳細・精緻な絵である。 江戸という時代は、平和が維持されたこともあってか、園芸が盛んになった時代でもあり、ツバキ・サクラ・ウメなどの樹木から、後にはオモト・アサガオ・フクジュソウなどの草本まで、数多くの園芸種が生み出されたという。収録された図譜には、店が多様な種の販売のために作成した展示会用カタログのようなものもある。鉢も鑑賞ポイントであったオモトのような品種では、鉢のデザインも詳細に描かれているのがおもしろいところ。 鳥類では羽の細かい模様をいかに写し取るかが見所だろう。伊勢長島藩藩主であった増山正賢(雪斎)の「百鳥図」は息を呑む細かさ・美しさである。お殿様、藩政は大丈夫だったのでしょうか・・・? 毛利梅園の「梅園禽譜」も色とりどりの水鳥・陸鳥が美しい。これ、絵の具はどんなものをどうやって使っていたのか、ちょっと興味を惹かれる。 獣類では「外国珍禽異鳥図」がおもしろい。珍しい動物が長崎に輸入されると、代官が御用絵師にその姿を描かせて、江戸に送るかどうか幕府にお伺いを立てていたんだそうな。ハクビシン、ヤマアラシ、セイウチ等々。確かにこういうものは文字で説明されるより、絵の方がよほどわかりやすい。 蟲類。栗本丹洲の『千蟲譜』は日本最初の昆虫図説と言われる。絵が優れていることから、シーボルトにより、海外に紹介もされている(cf:『ザリガニ―ニホン・アメリカ・ウチダ』)。昆虫図説、と書いたが、この時代の「蟲」は昆虫だけを指すのではない。おおざっぱにいって、名称の漢字に「虫」が付いていればよいらしく、蛸や蟹、蛙なども含まれる。 魚介類。島国で昔から海洋資源は利用してきたはずの日本だが、実は、図譜としてはあまり多くないようだ。植物図譜が広く作成されていたのに比べ、紹介されている書籍数は少ない。前述の丹洲、梅園らが表したものがある。奥倉辰行による「水族四帖 春・夏・秋・冬」は、各地での呼称や形態など注も詳細で、生き生きとした魚の姿態が楽しい。何だか「愛」が感じられる絵である。 美しい絵に引き込まれる。これほど精緻な絵を、何を思いながら描いていたのか。対象を見つめ、筆を走らせる描き手たちの息遣いが聞こえてきそうである。
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江戸時代は、浮世絵人気によって木版画が普及した時代であり、それ故動植物の図譜も多く出版されたそうだ。写真がなければ描くしかない。本草学や物産把握のためにも、動植物の絵は必要だった。 そういう、江戸に描かれた動植物の図を集めたもの、なのだけど、これがもう、本当に楽しい。まず絵が綺...
江戸時代は、浮世絵人気によって木版画が普及した時代であり、それ故動植物の図譜も多く出版されたそうだ。写真がなければ描くしかない。本草学や物産把握のためにも、動植物の絵は必要だった。 そういう、江戸に描かれた動植物の図を集めたもの、なのだけど、これがもう、本当に楽しい。まず絵が綺麗。鳥120種を描いた「百鳥図」は、なんと大名の作品である。素晴らしい。 何故か河童の絵も混ざっていたり、魚も、どうにも何の魚かわからないヤツがいたりもする。まあ、そうしたイレギュラーも愛嬌だとして、やはり本草学や物産把握という大義名分、というより目的があったからこそ、これだけのものが残せたのだろう。 おそらく、僕のほうが江戸時代の専門家よりも、動植物の数だけなら多く知っているが、とはいえ、その深刻さというか真剣さというか、そうしたものを感じ取りたい。江戸時代は転写も多かったというし、本書に収録されているものにも転写が含まれている。でもそれはコピペ、なんて手軽なものじゃなくて、しっかりと見て、手を動かして 、時間をかけねばできぬものだ。そうやって識り、憶えていく、というような学び方を、僕らはもうしなくなっている。有り体に言うと阿呆になっている気がする。昔はよかった、ではなくて、そういうことは今でも出来ると思うのだが。切実じゃないのね、きっと。
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