- 中古
- 書籍
- 新書
戦争と検閲 石川達三を読み直す 岩波新書1552
定価 ¥902
220円 定価より682円(75%)おトク
獲得ポイント2P
在庫なし
発送時期 1~5日以内に発送
商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2015/06/01 |
JAN | 9784004315520 |
- 書籍
- 新書
戦争と検閲
商品が入荷した店舗:0店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
オンラインストア上の価格と店頭価格は異なります
お電話やお問い合わせフォームでの在庫確認、お客様宅への発送やお取り置き・お取り寄せは行っておりません
戦争と検閲
¥220
在庫なし
商品レビュー
3.8
4件のお客様レビュー
現代日本に生きる私たちは文字にしろ音楽にしろ絵画にしろ写真にしろ、そして昨今賑わっている動画でさえも好きに表現できる事に慣れてしまっている。いや、それが当たり前だという感覚を誰もが持っていると思う。とは言え誰か他人を傷つけたり猥褻なものであったり、誰かの利益を損なうようなものにつ...
現代日本に生きる私たちは文字にしろ音楽にしろ絵画にしろ写真にしろ、そして昨今賑わっている動画でさえも好きに表現できる事に慣れてしまっている。いや、それが当たり前だという感覚を誰もが持っていると思う。とは言え誰か他人を傷つけたり猥褻なものであったり、誰かの利益を損なうようなものについてはダメであるという感覚も一般的な感覚の持ち主であれば、理解できるだろう。最近、ネット動画サイトにバイトテロだの回転寿司の客皆んなが使う醤油差しを直接舐めるといった動画が出回って問題になった。一般的な感覚が欠如した人間(悪いと思っても、これくらいなら楽しいから構わないだろうは、立派に欠如した方々)の仕業であるが、これも楽しむ側の人間や育てた親、社会にも問題が潜んでいると感じる。 ただそうした極端な場合を除いては、何を描こうが基本的には表現の自由として日本では守られている。 ただしこれは日本だからであるとも言える。お隣中国ではこんな事は無いだろう。政府に批判的な記事を書けばすぐに当局が削除してしまうし、社会を混乱させた罪になり最悪(日常的に?)牢屋にぶち込まれてしまう。その様な国はいくらでもある。 本書は日中戦争から対アメリカに戦いを挑んだ太平洋戦争の最中に描かれた石川達三の「生きている兵隊」を題材にあげ、我が国でも当然の様に行われていた検閲の歴史を振り返っていく。同書は私も検閲された文字を再表現した完全版なるものを読んだことがある。その際の感想としては、何故その部分が消されてしまったのか、消される理由がよくわからないものばかりだった。 削除(伏字にされる)には相応の理由があり、何が消されたのかわかる様にわざわざ印まで入っている本だったが、期待していた様な「復活した内容」はそこには無かった。寧ろそれが余計に恐怖に感じる点ではある。 現代社会の人間の感覚からすれば、理由がよくわからないものは、逆にそれでも消すべきと判断する国家や軍部の権力の大きさを表していると言える。中には消さないと仕事にならないといった不純な理由もあったであろうが、深く深く考えると消された理由との繋がりが徐々に見えてくる。言ってみれば、ジグソーパズルのほんの一ピースがやがては絵全体の一部に見えてくる感覚だ。 石川達三もこの消された感覚については、何故という疑問があったであろうが、当時の戦争一色の時代背景なら理解も早かったであろう。そうした時代に潜む暗い一面を想像しながら読み進めていくと楽しめる一冊である。
Posted by
◎石川達三を読んでみたくなる。いったいどんな本を書いたのか? そんな時代もあったのか。 小説『生きている兵隊』で発禁処分を受けた石川達三を追った本。 石川達三(1905-1985)は芥川賞作家で、戦前・戦中に新聞紙法違反の罪で有罪判決を受けました。新聞紙法は、公序良俗に反する...
◎石川達三を読んでみたくなる。いったいどんな本を書いたのか? そんな時代もあったのか。 小説『生きている兵隊』で発禁処分を受けた石川達三を追った本。 石川達三(1905-1985)は芥川賞作家で、戦前・戦中に新聞紙法違反の罪で有罪判決を受けました。新聞紙法は、公序良俗に反する出版物を制限・禁止できる法律です。 『生きている兵隊』は、石川が日中戦争に同行して書いた小説ですが、反戦小説というよりは、現地で闘う兵士たちの姿や変化、生活実態を生々しく描きました。しかし当局が発禁処分とし、回収する騒ぎに。この出来事だけでも、当時の政府は、戦争の生々しさを知らせることで疑問を持つ国民を増やしたくなかったのだろうと推察できます。 この本から考えると、反戦を表していなくても不都合な言論を封じる力が当時の政府にはあった、ということではないかと考えます。苦労して書いた原稿を伏せ字などで隠し、検閲を通るよう調整することが多々あったのですから、石川はとても辛かったのではないでしょうか。 言論封殺の中戦争へ突き進んでしまった過去は、どのように反省されてきたのでしょうか。あまり日常生活の中では気づくことができませんが、石川のいたような世の中になってしまったら、いま普通に享受できている自由はどこまで保障されるでしょう。
Posted by
先日、河原 理子 氏 による「戦争と検閲―石川達三を読み直す」を読み終えました。 夏になると「戦争」に関する本を1冊は読もうと思っています。そんな中、いつも行っている図書館の新着本の棚で目についたので手に取ってみました。 著者の川原さんは朝日新聞の記者とのこと、ある取材で石...
先日、河原 理子 氏 による「戦争と検閲―石川達三を読み直す」を読み終えました。 夏になると「戦争」に関する本を1冊は読もうと思っています。そんな中、いつも行っている図書館の新着本の棚で目についたので手に取ってみました。 著者の川原さんは朝日新聞の記者とのこと、ある取材で石川達三氏の子息でる石川旺さんと出会ったのが本書を記すきっかけになったそうです。発禁処分を受けた「生きている兵隊」という達三氏の作品を材料に、当時の言論統制の実態を顕かにしていきます。
Posted by