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中国史(上) 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2015/05/01 |
JAN | 9784003313336 |
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宮崎市定は内藤湖南や桑原隲蔵の学統を受け継ぐ京大東洋史の黄金時代の立役者の一人である。地域や時代ごとに専門分化された感の強い歴史学の世界において、東洋史の実に幅広い領域で第一級の業績を残し、かつ世界史的な視野のもとに通史を語ることができた文字通り最後の巨人だ。 宮崎史学と言えば...
宮崎市定は内藤湖南や桑原隲蔵の学統を受け継ぐ京大東洋史の黄金時代の立役者の一人である。地域や時代ごとに専門分化された感の強い歴史学の世界において、東洋史の実に幅広い領域で第一級の業績を残し、かつ世界史的な視野のもとに通史を語ることができた文字通り最後の巨人だ。 宮崎史学と言えば時代区分論が有名であるが、それは都市国家の時代から秦漢帝国までを古代とし、異民族の侵入によって統一国家が分裂し貴族階級が実権を握った時代を中世、君主独裁を強化して中央集権を確立した宋を近世の始まりとする。基本的には内藤湖南の唐宋変革論を受け継ぐものだが、そこに宮崎のもう一人の師である桑原隲蔵の交通史観を接合し、西アジア、ヨーロッパとの文化の相互伝播をダイナミックに組み込んだものである。本書ではさらに宮崎独自の景気循環史観を取り入れ、中世の景気後退局面からの回復期に近世の幕開けである宋時代を重ね合わせ、実にスケールの大きな中国史の見取図を提供してくれる。 かつて東大系史学との間ではなばなしい論争を繰り広げた時代区分論争も現在では下火になっているようだ。宮崎の時代区分論は湖南以来の京大の文化史の伝統を受け継ぐもので、マルクスの唯物史観に依拠した東大の西洋中心の発展モデルへのアンチテーゼと見ることもできるが、宮崎の時代区分論も広い意味では一つの発展史観と言えなくもない。(このことは講座派=大塚史学を批判した上山春平や梅棹忠夫ら新京都学派にはより一層あてはまる。) こうした発展史観はマルクス主義の凋落とともに、アナール学派の社会史やブローデルの唱えた長期持続への関心の高まりにより、歴史の断絶よりむしろ連続性が注目されるにつれて次第に顧みられなくなった。 かくてグランドセオリーの終焉が叫ばれて久しいが、最近ではそれが行き過ぎて、歴史学があまりに細部に関心を集中し、好事家の趣味と見紛う傾向がないでもない。歴史というものが客観性・実証性に基づくべきことはもちろんだが、それは単なる事実の蒐集・羅列ではないはずだ。精緻な考証とともに、歴史をつき動かすダイナミズムをマクロ的に捉えるグランドセオリーが宮崎史学の醍醐味だ。『九品官人法の研究』など純然たる学術書を含め、宮崎の多くの主要著作が文庫化され、没後20年を経てなお歴史ファンを魅了し続けるのも、近年の歴史学が見失った、そうした宮崎史学の懐の深さゆえであろう。
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碩学による読みやすい中国の通史。冒頭「歴史とは何か」をはじめ感銘を受けるところが多い。「常に世界史を念頭におき、世界史的立場から、最も具体的に個別の歴史研究に取り組む用意が必要だと思う」とあるように世界史の立場から書かれた通史で、世界の大きな流れの中にある中国の歴史に触れることが...
碩学による読みやすい中国の通史。冒頭「歴史とは何か」をはじめ感銘を受けるところが多い。「常に世界史を念頭におき、世界史的立場から、最も具体的に個別の歴史研究に取り組む用意が必要だと思う」とあるように世界史の立場から書かれた通史で、世界の大きな流れの中にある中国の歴史に触れることができる。上巻は、五代まで。これは著者の時代区分によれば中世の終わる時期に当たる。時代区分についても総論の中で、世界史の立場から述べられており、非常に興味深い。ただし西周抹殺論など、現在では否定された説も展開されている点には注意。
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中国史のみならず、歴史(世界史)に少しでも興味があるなら必読の名著。 歴史のダイナミックな面白さがよく分かる。
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