【廉価版】陽だまりの樹(四) 手塚治虫セレクション 星霜の彼方の巻 SAN-EI MOOK

手塚治虫(著者)

• 販売会社／発売会社: 三栄書房
• 発売年月日: 2015/05/08
• JAN: 9784779625282

商品レビュー

2019/02/20

　山田風太郎が明治ものを書いていた時期、こんなボヤキを漏らしていた。作中で活躍する実在人物の子孫から「ご先祖様はこんなことはしない」と抗議される。
　手塚（良庵）良仙を女好きで一見軽薄な人物に描こうとも、直系の子孫である手塚治虫が描いている以上、文句の出ようがない訳だ。
　良仙から手塚先生まで代々医家なのかと思いきや、祖父にあたる太郎は法曹界に進んでいる。第59章、親子の会話—
「律法を学びたいんです」
「かまわねえよ　うちの家業は継がなくたっていい」
「父上は医者が好きじゃないの？」
「そうさなァ…………　もうどうでもよくなったんだ　好きなことをやれよ　太郎」
　太郎の学生時代のノートがＮＨＫ「ファミリーヒストリー／手塚眞」で紹介され、目を疑った。フランス人講師によるフランス語の講義内容をインクで綺麗に清書している。その美しさたるや……。天才の祖父もまた天才だ。