世界史

歴史・地理

• 販売会社／発売会社: ホームスクーリング・ビジョン
• 発売年月日: 2004/06/17
• JAN: 9784901408219

商品レビュー

2009/03/03

読まずに書く、最初で最後の本だろうと思う。

そう、この本を読んではいない。
アマゾンの「なか見！検索」で、最初の数ページを読んだ（見た）だけであり、また、随意に拾い出したいくつかの章の一部分を読んだだけである。

「世界史」という表題が付けられている。
だが、この本の冒頭に登場するのは、なんと「創世記」である。
第一章のタイトルは「初期の文明」となっているが、「主は人々を、そこから地の全面に散らされた」という一文が添えられている。

これは、聖書信仰に基づく極めて保守的で偏狭なキリスト教信仰による、歪められた歴史モドキである。
創世記を前面に出し、万物は神が創造したとする古代以降は、通常の教科書で教えられている歴史に聖書の記述、預言を織り込み、あたかも整合しているかのように書いている。
歴史的根拠が確認されていない事柄について、聖書（旧約）の記述を「歴史的事実」であるかのように説明させるのは暴挙である。

出版は「ホームスクーリング・ビジョン株式会社」で、アメリカの「ボブ・ジョーンズ大学」（キリスト教原理主義、バプティスト派）の教科書、教材の出版を全面的に請け負っている。
人種差別が根強く残るサウス・カロライナ州の「ボブ・ジョーンズ大学」は私立であり、政府の直接的な干渉を受けない立場を利用し、聖書に異人種間の関係は禁止されているからという信仰で、１９７１年から２０００年までアフリカ系アメリカ人の生徒の入学を拒否していた。
だが、州政府はこの大学に高額の寄付をしており、州法に照らしても政府の管理を受けないのは違法である。

９８年に異人種間のデートや結婚を禁じる校則が問題になったとき、大学側は旧約聖書に出てくるバベルの塔の話しを盾にこう反論した。

「異人種間結婚は神が築いた（人種を隔てる）壁 を壊し、神が分離し、永遠に分離させておこうと意図したもの（様々な人種）を 混合させるものなので、ボブ・ジョーンズ大学は異人種間結婚に反対しているのです」

もちろん、まっとうなアメリカ人からは、「反論にもなっていない」と受け入れられていない。

この本は、原理主義（正しくは根本主義）の立場から、進化論に反駁し、聖書信仰（聖書の記述は逐一正しい）によって教育する目的で書かれている。

タイトルが「創世記物語」とか「聖書物語」とか「人類の起源に関する伝説」とかなら、黙殺するが、「世界史」とはなんだ！！！
嘘を書くな。
（もっとも近代に及ぶまで扱っているので、上記のようなタイトルはつけられまいが・・・）
と言う意味で、書いておく。
発禁にすべき、カルト臭ただよう悪書である。

ちなみにアマゾンでのお値段、５７７５円。
その手のヤカラ以外は、誰も買わないとは思うが。

まったく評価できないので、☆は付けない。