スーパーパティシエ 辻口博啓 和をもって世界を制す 文春文庫

輔老心(著者)

• 販売会社／発売会社: 文藝春秋
• 発売年月日: 2015/03/01
• JAN: 9784167903534

商品レビュー

2015/12/09

ＮＨＫ連続テレビ小説「まれ」の製菓指導でおなじみの辻口氏が，ドラマ以上の困難を乗り越えて世界的パティシエとなり，さらなる挑戦を続ける姿や，作品とも呼べるスイーツの数々を紹介。代表作「セラヴィ」がきっと食べたくなります！

2015/05/12

現在放送中のNHKの朝ドラ「まれ」。このドラマが作成されるキッカケの一つとなったのは、チーフプロデューサーさんが「スーパーパティシエ物語 ケーキ職人・辻口博啓の生き方」という本を読んだことだったそうです。

本書もそんな辻口さんの人生を描いたのが一冊です。もうね、辻口さんの人生でドラマが作れそうなぐらいの波瀾万丈ぶり。

能登の和菓子屋の後継息子として生まれた辻口さん。ところが友達の誕生日会で食べたケーキに心を奪われて、洋菓子職人になることを決意する。高校卒業後に東京の洋菓子店で勤めることも決まり、あとは修行に邁進するだけという状況で、父親の借金が原因で実家が倒産の危機に。「このまま実家に残って欲しい」と言う母親を「どうしても洋菓子職人になりたい」と説得して東京で働き始める。しかし東京に出てからわずか三ヶ月後に実家は倒産し、父親は失踪してしまいます。辻口さんは再び「能登に帰ってきて欲しい」と懇願する母親を振り切り、パティシエ修行を続けることを決意。ここから「家族に認めてもらうにはパティシエとして大成するしかない」と彼は人並み以上の努力を重ねていきます。そして今、彼は数々の大会で輝かしい成績を収め、パティシエとショコラティエの二つのジャンルで世界一を極めるまでに。本当に「すごい！」としか言いようがありません。

読んでいて、羽海野チカさんの漫画「3月のライオン」の主人公・桐山くんを思い出しました。桐山くんは史上4人目の中学生プロ棋士で、世間からは「天才」、「神童」と言われています。でも実はものすごい努力の人で、将棋で勝つために人一倍勉強し続けています。そんな桐山くんの姿が辻口さんと重なりました。辻口さんの華やかなプロフィールの裏にある、生半可な気持ちでは真似できないぐらいの努力の数々が印象に残りました。