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2015/05/07

そろそろ別の顔も覗かせてほしいところ

前作『メタモルフォーゼ-セレブ妻の性宴』(キャノプリCOMICS)から1年4ヶ月振りだが短編集としては『熟妻ハニー』(メガストアコミックス)以来の2年4ヶ月振りとなる新作(全10編)。この期間に描かれた作品が並ぶので僅かながら画風に変化もあったりするが、さほどの違和感はない。ただ...

前作『メタモルフォーゼ-セレブ妻の性宴』(キャノプリCOMICS)から1年4ヶ月振りだが短編集としては『熟妻ハニー』(メガストアコミックス)以来の2年4ヶ月振りとなる新作(全10編)。この期間に描かれた作品が並ぶので僅かながら画風に変化もあったりするが、さほどの違和感はない。ただ、キャリアを積めば相応に変化していくのは致し方ないとはいえ気になるのは以前と比べて画風そのものと言うか筆致が変わっていることだと思う。良い意味で人妻らしく崩れた女体描写なのであろうが、全体的なタッチには粗さが目立つようになった印象。変な描き癖でもついてしまったのかもしれないが、例えば個人的に名作認定している『ヒトノツマ』(イズミコミックス)の頃に比べて美麗さは少々失われているとも感じる。 また、人妻路線に絞ってしばらく過ぎた現在では、これはこれとして安定した1つの手法が確立されたと思うので、人妻ヒロインは程々に残しつつ、そろそろ毛色の異なる世界も見てみたい。巻末にはテイストの異なる作品『雨宿り』が収録されているが、これは以前の作風で久し振り感こそあれ新味は無いものの、結末にも違いがあることから受ける読後の印象は他と一線を画すものがあった。その意味では後ろ向きな発想かもしれないが過去のテイストをリブートするのもアリかもしれない。 本作収録の各話については良し悪しにバラつきがある印象。優しい(けどちょっとズルい)義父の執拗な愛撫に屈する『しあわせな週末』や唯一の前後編で寝取られ感が白眉だった『LOVE IS ALL』といった好印象な作品があれば、営業マンが持参する玩具で一人遊びに昂じる『月曜日の妻(カモ)』は結末こそ捻りがあるものの全体としては面白味に欠ける。あとは『夏のゴキゲン』に出てくる勝気な人妻は良かったのだが相手の軽薄さが鼻につくとか、つまり「中には光るのもあるし全体として悪くないんだけどなー、何かちょっと足りないなー、何かちょっと違うなー」から突き抜けないもどかしさを感じてしまうのはファン故の重箱の隅突きだろうか。その方向性自体は桃色煩悩琴線に触れることこの上ないだけに初見ならば相当な興奮を誘われるとは思うのである。

DSK