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遠すぎた家路 戦後ヨーロッパの難民たち
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2015/03/20 |
JAN | 9784309226262 |
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遠すぎた家路
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第二次世界大戦が誘引した欧州の悲劇で誰もが知るのはホロコーストやポグロムによるユダヤ人迫害だろう。 しかし迫害を受け、故郷から逃れ、終戦に至っても帰る場所を失った人々は、ユダヤ人だけではなかった。 ソ連、ナチスドイツによる進攻を受け受け国土を併合・分割された国の人々――バルト三国...
第二次世界大戦が誘引した欧州の悲劇で誰もが知るのはホロコーストやポグロムによるユダヤ人迫害だろう。 しかし迫害を受け、故郷から逃れ、終戦に至っても帰る場所を失った人々は、ユダヤ人だけではなかった。 ソ連、ナチスドイツによる進攻を受け受け国土を併合・分割された国の人々――バルト三国、ウクライナ、チェコ、スロバキア、ユーゴスラヴィアの人々。 そして、大戦終結後には、欧州各地から非難を浴び、立場を逆転されたドイツ系の人々が、北欧、東欧から、民族的迫害、政治的迫害を受け西欧に逃れてくる。 そうしてふくれあがった夥しい数の難民は、DP(ディスプレイスト・パーソン=行き場のない人々)と呼ばれた。 彼らの救済に取り組む国際機関はしかし、アメリカ、イギリス、フランス、ソ連ら戦勝国の思惑に翻弄される。 ソ連による共産主義国家圏の拡大、それに伴う東西冷戦の始まり。イスラエル建国に伴う中東の情勢激化。 これは民族問題、移民問題の失敗の記録である。 当時日本も敗戦で悲惨な状況だった。でも、だからこそ、現在にまで続く非常に難しく根の深い欧州と中東の問題に深くかかわらずに済んでいる。 こういう言い方は良くないのだろうが、これは非常に少ない日本にとっての幸運なのかもしれない。 この本に描かれているものは、100年越しの泥沼を構成するもの、そしてそこにとらわれた国、人々の苦難、迫害と報復。しかしそれも、山積する問題のほんの一端にしかすぎないのだ。 本書は本文500ページ超の分厚さ。そのためか後半にいくにつれ校正漏れが散見されるようになるのが残念。
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1945年、第二次世界大戦が終わった。 戦争が終わったのは喜ばしいことだった。しかしながら、人々の暮らしが、直ちに何事もなかったように大戦前に戻るわけではもちろんなかった。 大戦の6年間は、大量の人員移動を生んでいた。強制的に駆り出された外国人労働者。自発的な出稼ぎ労働者。強制収...
1945年、第二次世界大戦が終わった。 戦争が終わったのは喜ばしいことだった。しかしながら、人々の暮らしが、直ちに何事もなかったように大戦前に戻るわけではもちろんなかった。 大戦の6年間は、大量の人員移動を生んでいた。強制的に駆り出された外国人労働者。自発的な出稼ぎ労働者。強制収容所に入れられた「罪人」たち。居住地がナチス・ドイツに併合され、故郷を追われた人々。「アーリア人」風の外見を持つがゆえ「ゲルマン化」のために誘拐された子供たち。 そうした人々は、大戦終了とともに、「我が家」に帰るべきであった。 しかし、帰るべき家がなければどうか。政情が変化しすぎて、故郷に戻りたくなければどうしたらよいのか。目指す場所が決まったとして移動手段はあるか。帰り着くまでどうやって食いつないでいけばよいのか。 大規模な戦争の終結は同時に、大量の難民の発生を意味していたのだ。 本書ではこうして生じたヨーロッパの大量の難民たちの処遇を丁寧に丹念に追っている。 難民たちは、DP(=Displaced Person)と呼ばれた。「避難民」「流民」などと訳される言葉だが、ニュアンスとしては「行き場をなくした人々」といった感じだろうか。 こうした人々を助けるべく組織された国際機関がUNRRA=「連合国救済復興機関」である。 DPたちの扱われ方や目指す定住先は、それぞれの出身国や立場によってもいろいろだった。UNRRAは、彼らを支援するため、国を超えて設立された。できるだけDPたちの実情に合わせ、速やかにことを進めるべき立場にあったが、諸般の事情でいつも最適な処置をとれるわけではなかった。ロシア人、ウクライナ人、ユダヤ人、子供たち。さまざまな立場のDPの発生とその行く先を巡るあれこれが、章ごとにまとめられている。 UNRRAは必ずしも最適な処置を講じられたわけではなかった。現場にはどうにかしようと努力する多くの善意の個人がいながらも。DPに関わる悲喜劇は、数年間にわたって繰り広げられた。ここに端を発する火種もあり、また、パレスチナ情勢なども考え合わせると、いまだDPの家路を巡る問題は終わっていないとも言える。 大混乱の中で、何が起こりうるのか。先行きが見えない中で、個々人はどう考え、何を選択すべきなのか。 決して遠くない昔に起きた一連の出来事は、現代の難民問題にも通じる教訓を孕んでいるようにも思われる。 労作である。
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第二次世界大戦の終戦間際から数年間、ヨーロッパではドイツに東欧からの避難民、収容所から解放されたユダヤ人、戦時捕虜、強制労働力として占領地域から徴集されたフランスやベルギー、オランダ人等が一千万人近く溢れていた。そしてその数は、東欧の共産化の進展とともに西側に逃げ出した人々がま...
第二次世界大戦の終戦間際から数年間、ヨーロッパではドイツに東欧からの避難民、収容所から解放されたユダヤ人、戦時捕虜、強制労働力として占領地域から徴集されたフランスやベルギー、オランダ人等が一千万人近く溢れていた。そしてその数は、東欧の共産化の進展とともに西側に逃げ出した人々がまずベルリンを目指したことで、さらに増大することになった。後にはイスラエル独立やマーシャル・プラン、さらにはアメリカの移民受け入れ等で徐々にこの難民問題も解消するのであるが、本書はその渦中にあって最前線で解決に奮闘した人々のドキュメンタリーである。 ヨーロッパがまたまた、百万単位になると推測され、しかもそれがヨーロッパ社会とはまったく異質な地域から押し寄せてくるという新たな難民問題に直面しつつある今日、本書はきわめて示唆に富む書と思われる。
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