悪意の波紋 集英社文庫

エルヴェ・コメール(著者), 山口羊子(訳者)

• 販売会社／発売会社: 集英社
• 発売年月日: 2015/03/20
• JAN: 9784087607024

商品レビュー

2021/08/21

読み易さは評価しても、全体的に見ると途中から感じた冗長感でやや評価が下がる。
大金をせしめた五人組の後日談が。。という展開は人生訓によくある哲学、あたかもドミノ倒しのような運命の連鎖の惨さ。

出だしはイヴァンとジャックそれぞれの一人称パートの併走。心情たっぷりの語られるが、些か分量の多さで退屈を感じたが突如の変調・・40年という時間はそれぞれの人生の色どりを良くも悪くも多彩に飾って行く・・そして交錯。二転三転してカタルシス。

元はといえば『とてつもない好奇心』が招いた運命のいたずら、まさに悪意の波紋。
「他人の人生の流れを変える為に、いつ、どこでその人生に入り込めるかを伺うのが唯一の趣味」なんて人物の存在は信じられない。そしてじっくり味わって読んだせいか、余りの「作り物めく偶然」も評価を下げた理由になった。

2020/07/08

40年前に成功した100万$強奪事件、それを足がかりにフランスの裏社会で成功し悠々自適の生活を送る老人のもとに真実に近づいたジャーナリストが訪れる…とても魅力的な幕開けだ！
しかし後半レンヌの川沿いで起こるあまりに２時間ドラマ的な不注意な行動（老獪な元ギャングが訪問者を確かめずにドアを開ける、いくら錯乱してるとはいえ誰が住んでるかも確かめずに家に押し入る）が気になり、一気に冷めてしまった。
しかししかし、最終章ではそれさえも必然（プランドハプンスタンス！）であったという驚きの大団円。悪意の波紋とは渦を起こすための最初に小石を投げ入れることだったのね。
フランス

2019/07/12

先の読めないストーリ展開で最終章の前まではかなり楽しめました。ただ最後のエピローグの章は物足りない印象でした。ここでタイトルの意味がつながるのですが種明かし的には納得感が足りないと感じました。いっそのこと最終章読まなくても十分面白かったかも。