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大学は社会の希望か 大学改革の実態からその先を読む
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東信堂 |
発売年月日 | 2015/03/02 |
JAN | 9784798912851 |
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大学は社会の希望か
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商品レビュー
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https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB18245064
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※このレビューにはネタバレを含みます
本書は、大学改革を成功させるための基本事項を分かりやすい言葉で解説している。目先の学生集めや、文部省向けのアリバイ(書類)作りに、汲汲としている大学が、ついつい見失いがちな「あたりまえのこと」に気付かせてくれるのである。 大学改革の最も重要なこととして本書に通底しているのは、大学の構成員が自主的に大学改革にかかわることである。昨今大学では、著者が繰り返し指摘している、新自由主義のもとで進行する小さな政府やグローバル化を受けて、「大学の経営責任がある理事会の理事や学長とか副学長などの上級大学管理者の権限が強い企業経営的管理運営に変化することを期待されている」(p.181)が、「企業的管理運営」では、管理者の役割は「支持」であり、優勢な組織単位は「下位組織単位/プロジェクトチーム」なのである(I.マクネイ)。従って、「学部などを基本的な組織単位にした改革を実施し、それを積み上げて全学的な大学改革としてまとめる」(p.182)といった双方向的なリーダーシップを提唱していることは、現実的で重要な視点である。 また、改革の議論を実質化するためには、その前提として、言葉の本質を共通理解することがある。大学改革にかかわる議論では、使う用語や背景理解が異なることで、かみ合う事の無い議論が延々と続けられることが少なくないからだ。この点、著者が、使用する用語の定義や課題の背景について丁寧に整理していることは重要だ。 ただ残念なのは、大学教育のかなめのひとつである「教養教育」の定義・目的である。本書では、その定義を「高度な専門的人材や広い意味での社会的な指導者として将来活躍することを期待されている学生に、それにふさわしい基礎的な学力や教養を身につけてもらうための教育」(p.26)とし、また「教養教育で特定の専門分野や職業にとって不可欠な幅広い学問領域を体系的に学ぶことにより、幅広さと一貫性を備えた知識や技能、態度を身につけ、「教養ある人間」として成長することが期待されている」(p.27)と、その目的を述べているが、教養教育の説明に、「教養」「教育」が含まれてしまっていてすっきりしない。 いずれにしても、大学が社会の希望となるためには、大学の各構成員、基本組織、大学関係団体そして社会が連携しつつ、改革を進めることが大切で、改革が成功するか否かは、昨今の社会の潮流である「自由」を享受しつつ、その一方にある「自治」と「自律」が実現できるかどうかに掛かっているということなのだろう。
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本書を読むと、大学と社会それに関係する政策に関する概況をおさらいできる。純粋な学術論文ではなく、また読みやすいこともあるので、高等教育論の入門書と位置付けられるかもしれない。全ての論点はほとんどの大学人にとって既知のことであるかもしれない。記述されている内容が自大学で実施されてい...
本書を読むと、大学と社会それに関係する政策に関する概況をおさらいできる。純粋な学術論文ではなく、また読みやすいこともあるので、高等教育論の入門書と位置付けられるかもしれない。全ての論点はほとんどの大学人にとって既知のことであるかもしれない。記述されている内容が自大学で実施されていればかなり大学改革が進んでいるといえよう。一つのチェックリストのように活用することもできる。 ただ、1980年代以降の混迷した大学教育改革を平易に自分自身の言葉を中心として描くことは、誰にでもできることではない。高等教育分野の基礎研究を蓄積してきた著者だからこそ、この本をとりまとめることができたのではないか。
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