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草木成仏の思想 安然と日本人の自然観
定価 ¥2,200
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | サンガ |
発売年月日 | 2015/02/25 |
JAN | 9784865640090 |
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草木成仏の思想
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天台宗の学僧である安然の「草木成仏」という思想を一般の読者に向けて解説するとともに、その思想が現代に投げかけている問題について著者自身の考えを語った本です。 安然については、著者はすでに博士論文をもとにした『平安初期仏教思想の研究―安然の思想形成を中心として』(1995年、春秋...
天台宗の学僧である安然の「草木成仏」という思想を一般の読者に向けて解説するとともに、その思想が現代に投げかけている問題について著者自身の考えを語った本です。 安然については、著者はすでに博士論文をもとにした『平安初期仏教思想の研究―安然の思想形成を中心として』(1995年、春秋社)でその重要性を指摘していますが、こちらは浩瀚な専門書であり、一般の読者にとってはその内容を理解するのはかなりハードルが高いように思われます。本書は、基本的な仏教の概念についてもていねいに解説をまじえながら、安然の中心的な思想、とりわけ草木成仏をめぐる思想について、わかりやすく語っています。 そのうえで著者は、「日本人は伝統的に自然に親しみを感じてきた」といった本質主義的な日本文化論の底の浅さを指摘し、安然の草木成仏論の根底にある「真如」という概念の哲学的な深さを垣間見ようとしています。デリダとマリオンの論争といった西洋哲学の議論が引きあいに出されているのは、専門的な立場からはもしかすると危うさがあるのかもしれませんが、個人的には非常に興味を惹かれる内容の議論だったように感じました。 なお巻末には、安然の『斟定草木成仏私記』の現代語訳が収録されています。
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きれいなイメージの言葉だなと思いました。 初めて聞きますが、中曽根康弘氏が首相スピーチに「山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)」をしばしば用いたことで、一躍流行語となった言葉だそうです。 「山川草木」とは『日本書紀』にも登場し、仏典や神道書などの古典の書物にも...
きれいなイメージの言葉だなと思いました。 初めて聞きますが、中曽根康弘氏が首相スピーチに「山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)」をしばしば用いたことで、一躍流行語となった言葉だそうです。 「山川草木」とは『日本書紀』にも登場し、仏典や神道書などの古典の書物にも広く用いられている言葉だそう。 「草木などの植物も仏になる」というのが草木成仏論。いかにも仏教的な思想ですが、「山川草木悉皆成仏」という言葉は、仏教書に存在しないのだそうです。 平安時代の天台密教の僧侶、安然の著作を現代語訳し、彼の「真如」という概念にその意識が見られると著者は探り当てています。 昔から、日本の宗教には自然は欠かせないものでしたが、それは西欧の宗教にはない感覚だったようです。 近代哲学での「神」は、一神教の神を意味し、多神教である日本の神々は程度の低いものとして相手にされなかったそうです。仏教に至っては、無神論扱いされたのだそう。 そこに西洋哲学と東洋哲学の違いがあるように思います。 東洋でもまた自然との向き合い方はそれぞれで、テーラワーダ仏教では、自然はあくまで自然の法則に従うもので、災害は無情として受け止めるものだとされます。 チベット仏教の場合は、神々をなだめる必要があり、これは日本と近いようです。 自然を宗教の根幹とするほど密接に感じてきた日本人の感覚は、昔も今も変わっていないと思いますが、自然を敬いながらも大規模な環境破壊を繰り広げる日本に警鐘を鳴らしています。 現在は西欧的な思考が主流となっているため、自然への畏れを取り戻すことが必要だと説いています。 時期的なものか、原子力問題などにも言及しており、自身が新聞に投書した記事掲載等を見るに、結構強い物言いをする人だなという印象を受けます。 ただ、言わんとする内容は至極もっともで、「自然に傲慢になってはならない」というのは、特に自然災害を受けやすい日本人にとって忘れてはならないことだと改めて感じました。
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