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甘くとけあう 廣済堂文庫

川奈まり子(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 廣済堂出版
発売年月日 2015/02/01
JAN 9784331616291

甘くとけあう

¥440

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2015/03/22

作風の定着が見られる大人の甘い恋物語

廣済堂文庫からは3作目となるが、前作が『赤い地獄』(廣済堂モノノケ文庫)というホラー小説だったので官能小説では2作目である。ただ、レーベルを問わず作者のテイストが固まってきた印象で、今回も多数のサブヒロインを配置しつつも主人公の想い人たるメインヒロインと甘く結ばれる話となっている...

廣済堂文庫からは3作目となるが、前作が『赤い地獄』(廣済堂モノノケ文庫)というホラー小説だったので官能小説では2作目である。ただ、レーベルを問わず作者のテイストが固まってきた印象で、今回も多数のサブヒロインを配置しつつも主人公の想い人たるメインヒロインと甘く結ばれる話となっている。主人公がパティシエだから、舞台が製菓店だから今回はことさら甘いかと言うとそうでもなく、失恋もしたりでビターな一面もある。 32歳の主人公が久し振りの同窓会で和装の人妻同級生と会を抜け出す冒頭から官能面はしっかり描かれており、この直後には早くも3Pが盛り込まれるなど、むしろ飛ばし気味の印象さえある。やや淫らが過ぎるかなと思わなくもないが、おそらく清楚なメインヒロインとの対比も含まれているのであろう。そういった繋がりが終盤でちょっぴりスパイスを効かせている。 ただ、2人目、3人目と続く中盤以降は物語としての起伏はあるものの、主人公との関わりなどは似通った印象となり、その行方も多少の違いこそあれ流れとしては同じように感じるために1人で賄えた気もする。あと、色恋沙汰とは無縁だった修行時代もあってか「これが恋なのか」と思いながらビミョーな関係を続けるも、相手の出方によっては未練たらしく駄々をこね始める主人公に若干の情けなさを感じるのは男のヘタレ意識が妙に現実的だからだろうか。 ハイテンションな4人目が登場する頃には早くメインと絡んでほしいとも感じるのだが、ここで実は影で全てを操り、主人公も全く頭の上がらない、男勝りでやり手のできる女にしてプロポーションも抜群という姉(37歳)の唯一の場面が瞬間的に炸裂する。物語方面だけの出番かと思っていたところの不意打ちであり、複雑な心境に陥る主人公に共感してなかなかの寝取られ感を味わう場面ともなろう。この1シーンで個人的に4人目はどうでもよくなった。 満を持して動き出すメインヒロインとのエピソードは予想のつく流れながら、このためにここまで綴ってきたと思えるほどに過去と現在から未来を見据えたものとなる。官能描写も濃厚で、体だけでなく心も通わせていく、念願叶って通わせていく充実感に溢れている。最後はきっちり纏まり今回も読後感はほっこり良好と言える。

DSK

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